勉強会の趣旨 2012

作物生産に直接被害をもたらす雑草や害虫については、これまで多くの研究がなされてきましたが、それ以外の生物についてはあまり関心が寄せられてきませんでした。

しかし、そうした生物の中には、雑草や害虫を補食したり作物の結実を助けたりすることで、様々な恩恵を我々に与えてくれるものもいます。逆に、雑草を運んできたり病原菌を媒介したりすることで、間接的に被害をもたらすものもいます。

これまで見落としがちだった生物間のつながりを意識すると、圃場で起こる様々な出来事(作物の成長や結実、雑草の繁茂や害虫の発生など)をより深く理解することができるのではないでしょうか。

このような生物の多くは、圃場だけでなく周辺に広がる環境も利用しながら生活を営んでいます。従って、圃場とその周辺環境が、その生物の動態にどのような影響を与えているのかを理解する必要があります。

今回は、雑草種子を食べる種子食昆虫や害虫を食べるクモ類の生態について、圃場内と圃場周辺環境の両方に目を向けて研究している方々に話題を提供していただきます。そして、改めて圃場という環境を周辺環境をも含めて捉え直す機会にしたいと思います。