勉強会の趣旨 2011

雑草は,人為的撹乱の中で生き延びる手だてを持った植物です。

それって,どんな手だて?

この疑問に答えようとするのが,雑草生物学という研究分野です。

すなわち,雑草生物学では,人為的撹乱環境下で生育できる植物が持つ,生物学的特性を理解しようとしてきました。そのような雑草が持つ特性は,雑草性と言われています。また,雑草生物学は雑草学の基礎分野でありますが,文字通り,雑草防除の“基礎”となる研究分野であります。すなわち,雑草生物学の知見なくしては,現場ごとに異なる多様な雑草問題を解決することはできません。

これまでの雑草生物学的研究は,雑草と呼ばれる植物が持つ共通の特徴を明らかにし,雑草性の一般化を試みる研究が中心でした。しかし,水田,畑,路傍,公園など,雑草が生育する環境は多様であり,そこで雑草が受ける人為的撹乱も多様であります。また,同じ場所に生育していても,人為的撹乱に対抗する雑草性は様々です。したがって,個々の雑草が持つ多様な雑草性を見つめずに,雑草性の一般化ばかりを求めていては,雑草性を正しく理解することはできないでしょう。

本会では,これまでの雑草生物学の問題点を整理するため,長年雑草研究に取り組んでこられたお二人の雑草研究者をお招きし,これまでの雑草生物学的研究の概要や雑草防除研究から見た雑草生物学の意義などの話題を提供していただきます。

そして,様々な立場の方々とともに,雑草生物学の進め方や雑草管理への活用の仕方,そして,雑草の見つめ方について考える機会を設けたいと思います。