つくば地域のダウン症の会から県への申し入れ内容

第23回茨城県難病団体連絡協議会との懇談会報告

つくば県南のダウン症の会関連のやり取りを地域共通の情報として収録しました。
今回の懇談会には茨城県ダウン症協会、日本リウマチ友の会茨城支部、茨城県心臓病の子どもを守る会、いばらきUCDCLUB、茨城県腎臓病患者連絡会、全国筋無力症友の会茨城支部、日本てんかん協会茨城県支部の11名の役員が出席しました。難連の個人会員というお二人も参加していました。

 県庁からは教育庁の特別支援教育課、財務課、義務教育課、福祉部の障害福祉課、少子化対策課、保健医療部、医療人材課から延べ 18名の課長や係長など担当者が出席しました。

令和4年12月12日(月)に水戸市茨城県水戸市笠原町978-26にある茨城県市町村会館で「第23回茨城県難病団体連絡協議会との懇談会」が開催されました。県ダウン症協会からは会計の黒澤と事務局の百溪が出席しました。

 この日の懇談会は、昨年秋までに茨城県難病連傘下の9団体がそれぞれの会員の抱える問題の中で茨城県庁当局が関わることを整理し、茨城難病連が取りまとめて、県庁に提出しました。懇談会では県庁の担当部署からの説明や回答をしてもらうというものです。

 県ダウン症協会は渡辺顧問が難病連の会長を担ったこともあり理事として参加してきましたが、継続的に理事としての参加が困難になり、現在まで休会中という状態になっています。しかし、難病連事務局のご配慮により懇談会への参加が実現しました。県からの資料を全て掲載します。

(2)療育機関の現状についての質問

  (茨城県ダウン症協会つくば県南地区)

 1)   子どもに応じた療育の内容や頻度などについて助言してもらえる機関が欲しい。

 2)  仕事をしているため月2回のリハビリ(OT)しか通えないが、この時期にもっと療育を受けさせてあげた方がよいのかなという心配がある。

 3)  言語面で相談して的確にアドバイスしてもらえる施設が1つでもあるとかなり安心できます。自分は見つけることができたが、茨城県内の療育機関で言語指導を受けられるところはどのくらいあるのでしょうか。個人で探すのは労力がいります。

 4) もう少し施設の情報が共有できるシステムがあれば良いと思う。

 5) 療育施設は親同伴が多い。親が働いている場合母子通園ができない。
      数時間だけでも子どもだけで受け入れてくれる療育施設があると助かります。

 6) ダウン症児の療育機関においては運動面、言語面、集団生活適応などに加えて、親の支援(精神、身体的サポート)もして欲しい。

茨城県ダウン症協会からの要望    
学校教育に関する要望 2.特別支援学校について

巨大化したつくば特別支援学校の教育条件を改善するために早期に県南地区に学校を新設してください。
また、他の特別支援学校の施設充実もお願いします。

 茨城県教育委員会の「県立特別支援学校教育環境整備計画 ~いばとくプラン~」においても、慢性的な教室不足があげられている。この点においては、県教育委員会、教員、親など関係者の意見は一致している。

 つくば特別支援学校は親や教員など障害児を持つ関係者が長年要望して設置されたが、開校時に措定した施設規模を超える生徒数であった。従って、この時からTXの開通などをふまえた次の計画が必要であったが、未だ対応がされていない。

 *このことは、障害児者の通う学校を一般校よりも低く位置付けていると言わざるを得ない。日本国憲法第26条に定める教育を受ける権利として、早急な学校の新設をお願いする。その際、県の機関だけで考えるのではなく、より良い場所や校舎ができるよう、現在つくばなどで学校新設を求めて活動している現場の学校教員や親との意見交換を行っていただきたい。


県からの回答
◯ 県では、令和2年に策定した「県立特別支援学校教育環境整備計画~いばとくプラン~」に基づき敷地内での校舎増築などにより教室不足の解消を進めており、つくば特別支援学校は、今年度実施している校舎増築が完了すれば、教室不足が解消される見込みです。


 *備考 つくば特別支援学校の校舎増築について

    整備予定室数 18室

    不足教室数 R4   16室 → R5   0室


◯ また、特別支援学校の施設充実については、エアコンの更新、トイレ改修などの教育環境の改善や、屋上防水や外壁の補修などの校舎老朽対策を計画的に行っております。引き続き、施設の充実に努めてまいります。

茨城県ダウン症協会からの要望  
3. 社会福祉施設等施設整備費補助金の充実について

茨城県内で活動している障害児者関連団体は利用者の発達や生活の向上が行われるよう懸命な努力をしている。

また、放課後等児童デイサービスなどでは新型コロナウイルスの感染による休校についても、日中からの保育を行うなど県の「補完的役割」を果たしてきたと言える。

 しかし、これらの福祉施設によっては老朽化していて新築や改修が必要な箇所もある。これらの施設に対する必要な補助金を充実していただきたい。

 茨城県も、生活介護や放課後等児童デイサービスについても補助を行っていただきたい。上記の活動を行っているつくば市の「につこりの森」などへの補助を行っていただきたい。


県内の障害児に対応できる児童デイサービスの実施についての現状のまとめを出してほしい。


【障害福祉課(自立支援)からの回答】

 施設の老朽化による改築、耐震化や災害への対応など、利用者の安全 安心を確保するための大規模な修繕等は重要であると認識しており、本県は国の障害者施設整備補助金を活用して整備を行っております。

 今後とも、県としても十分な予算の確保に努めるとともに、全国知事会や関東信越都県と連携し国に対し財源の確保を要望してまいります。

茨城県ダウン症協会からの要望  

 4. 厚生労働省から指示されている優生政策について

厚生労働省から各都道府県に対して、全年齢の妊婦に対して「ダウン症などを対象とした出生前診断の周知徹底を全妊婦に対して」図るように通達がなされていると聞いていますが、この事は明らかに優生思想に基づく政策であり憲法に定める基本的人権の侵害に当たる。この施策に関してダウン症の人たちや親の意見を聞いた経過は無いものと理解している。

1) ダウン症児の命の選別排除につながるマススクリーニングに準じる施策と考えられますが、茨城県当局としてはどのように考えているのかを明らかにして欲しい。

2) 厚生労働省より、この件でどのような司令を受けたのかを明らかにして欲しい。

3) 厚生労働省が全妊婦に周知させるように指示してきた文章や資料を提示してほしい。

4) 出生前診断の説明は産婦人科や保健所の保健師が説明するだけではなく、ダウン症者を育ててきた親なども含めたカウンセリングを行うなどのきめ細かな取り組みを行っていただきたい。

5) 厚生労働省から各都道府県に通達された、カウンセリング担当者(保健士)について、厚生労働省から指示された施策の実施に先駆けて、茨城県ダウン症協会との意見交換や学習会を開催していただきたい。


【少子化対策課(母子保健)からの回答】

令和3年6月9日付の厚生労働省の通知には、「出生前検査は、胎児の状況を正確に把握し、将来の予測をたて、妊婦及びそのパートナーの家族形成の在り方等に係わる意思決定の支援を目的とすること。」、「ノーマライゼーションの理念を踏まえると、出生前検査をマススクリーニングとして一律に実施することや、これを推奨することは、厳に否定されるべきであること。」とされており、県といたしましては通知に基づき対応してまいります。

また、相談支援体制の整備について検討してまいりたい。


令和3年6月に厚生労働省から県に司令された「出生前検査に対する見解・支援体制について」の構文の写しが提出された。この文書は厚労省のホームページに公開されているものです。

https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000793148.pdf

この記事は茨城県ダウン症協会の機関誌「SSKAみんなでワイワイ」2023-1よりつくば関連の情報を抜粋し引用しました。
この機関誌については県ダウン症協会にメールでお問い合わせください。

茨城県ダウン症協会事務局:office_ids@idsa.sakura.ne.jp