昆虫の体のつくり(小学校3年生)
この生物は昆虫かな?分かるかな?
上記の写真はこちらから http://serigaya.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/post-060b.html
小学校3年生で昆虫の体のつくりを学習しますが、
約半数の児童しか「昆虫の6本の脚は胸に付いていること」を理解していないことが報告されています。
多くの児童は腹にも脚が付いていると勘違いしています。
そこで、昆虫かどうかが悩ましい生物を提示し、昆虫かどうかを考えることで、
昆虫の体のつくりを理解させることができるのではと思い、この教材を考えました。
この授業のポイントは「アリグモ」という言葉を使わないことです(笑)
アリグモではなく「この生物は昆虫かな?」と発問してください。
写真だけでは判断が難しいので、アリとこの生物(アリグモ)のアルコールジェル標本を作製し、児童に比較してもらいました。
写真では先端部の構造が「あしなのか触角なのか」が判別が難しく、そこが昆虫かどうかを考える上で重要なポイントになるため、
児童には標本を見る際はそこを観察するように言うと良いと思います。
※もちろん「あし」が正しいのですが、そもそもクモ類には触角はありません。触肢はありますが。
アルコールジェル標本の作り方は動画をご覧ください。
簡単に作製でき、あらゆる方向から観察できるので、とても良い標本だと思います。
子どもたちは「なぜアリグモはアリに似ているのか」について知りたいはずです。
そこでアリグモがアリに似ることのメリットについて紹介する映像も作りました。
進化の学習にも繋がります。
●期待される教育効果
・昆虫の6本の脚は胸に付いていることを理解できる
・生物の体のつくりは生存や繁殖上有利な性質を備えていることを理解できる
関連論文
山野井貴浩・大坂里奈・及川貴也(2015)
昆虫の体のつくりの理解を促すとともに進化的視点から考察を行う機会を提供する生物教材の開発~アリとアリグモの比較を通して~.
科学教育研究,39(4):367-379.