手投げのオリガミバード実験では4世代の変化しか確認することができませんが、
例えば30世代経つと、オアシスの多い環境に生息する集団とオアシスの少ない環境に生息する集団とでは、
交尾できなくなるような進化、つまり種分化が起こるのかどうかを確認できるコンピュータシミュレーションが「オリガミバードシミュレータ(OBS)です。」
30世代後の各集団の個体を選択し、交尾できるかどうかをアニメーションにより確認でき、面白いです。
世代数だけでなく、突然変異率、集団の個体数も自由に変化させ、進化の様子を確認することができます。
集団の個体数を小さくすれば(例えば10個体)、遺伝的浮動により、自然選択の効果がゆらぐことを確認できます。
突然変異によって変化するのは前羽と後羽のサイズのみです。(手投げ実験ではクリップの数や羽間の距離、羽の色も変化します。)
手投げ実験と同様に、前羽が小さく後羽が大きい個体はよく飛び、前羽が後羽より大きい個体はあまり飛ばないという設定になっています。
交尾は写真のように二通りの方法を想定しており、形が似ている場合は交尾できるようになっています。(青色が雄、黄色が雌)
交尾が成功した場合は子どもが生まれるアニメーションが表示されます。交尾が成功しない場合は、近づいても交尾ができない様子が表示されます。
興味を持たれた方はまずダウンロードして、色々と試してみてください。
ダウンロードはこのソフトの共同開発者の岩嵜氏のHPからできます。
https://github.com/heavywatal/oribir/releases
手投げのオリガミバード実験の後に1コマの授業で実施する場合のワークシートを用意しました。
手投げ実験なしでも、オリガミバードの生態等の説明をすれば、授業で利用できると思います。
●期待される教育効果
・地理的隔離による種分化のしくみを理解できる
・遺伝的浮動が進化の方向に与える影響を理解できる
関連論文
Yamanoi, T. & Iwasaki, M. W. (2015)
Origami Bird Simulator: a teaching resource linking natural selection and speciation.
Evolution: Education and Outreach, 8:14
http://evolution-outreach.springeropen.com/articles/10.1186/s12052-015-0043-6