魔動通話機から聞こえてきた言葉に、ルンフォメイドは絶句した。
メイドが黙り込んだためだろうか。通話相手は同じ言葉を繰り返す。
「再度繰り返します。
スノーリア様、任務の途中で行方が分からなくなりました。
軍部にて捜索しておりますが、捜索が難航しております」
再度、一言一句確認するが、現実は変えようになく、
ルンフォメイドは深呼吸をして、どういうことだと声を荒げたい気持ちを抑える。
護衛がついていながら何故とか、
そもそも何故スノーリア様が囮などするような事態になったのかなど、
詰問したい事柄はたくさんあるが、今はそれすら惜しいと、口を開く。
「情報感謝いたします。
こちらでも捜索にあたる人材を送りますので、スカイシップの使用許可をいただきたく存じます」
ルンフォメイドは是の返答を聞くや否や、知己の相手に連絡を取った。
おりしも仮面武闘会が開催されるとあって、スカイシップは連日試験飛行を繰り返している。
そのうちの一回に同乗させてもらおうと願うルンフォメイドの願いに、相手は快く了承の意を示した。
次に、人員の手配をと考え、港町スゴンドムに滞在している同僚に連絡し、指示を出す。
(スノーリア様……どうかご無事で……ご無事でいたくださいまし)
[卓情報]
開催日:2017/06/28 21:00~24:11
参加PC:
★一般兵
アイカ(ナイトメア/女)
ラリサ(ナイトメア/女)
★スノーリア'sメイド
リズベット(ラミア/女)
ノンシュ(タビット/女)
ゲイル(エルフ/男)
登場NPC:
★スノーリア'sメイド
アン&ドゥ&トロア(ルンフォ/女)
★護衛
ドレイユ(ソレイユ/男)
★高級軍人
スノーリア(ドレイクナイト/女)
リザルト:
経験点:1000EXP(基本)+120EXP(追加)+(1ゾロ×50EXP)
報 酬:雪の結晶バッチ(装備箇所『その他』/効果:命中・回避・魔法行使[魔法種別]いずれかを+1/売却価格1500G)
名誉点:20点(基本)+22点(追加)
成 長:1回
【あらすじ】
その知らせを受けたルンフォメイドの行動は早かった。
スカイシップに搭乗したのは、本邸の執事をしているラミアと下働きエルフ男。
寄港した港町スゴンドムからは、スノーリアの直属の部下二人とウサギメイドが搭乗し、目指した先はティジエ村とヌヴィエ村の中間にある野営地。
そこは、スノーリアが最後に目撃された場所で、偽情報に踊らされた刺客たちがスノーリアたちを襲った場所だった。
そう、現在、スノーリアが行方知れずとなっているのだ。
捜索隊を結成するも成果は芳しくなく、PCたちも捜索にあたることに。
そんななか、スノーリアの部下であるナイトメア双子娘の片割れは、自身たちが保護した少女の居場所が妙だと気になっていた。
グラッセにいるはずの少女が、どうやら近辺にいるのだ。
捜索隊からは緑髪の少女の誘拐事件が多発しているという情報が手に入り、もしや何か関連がと、その場所に向かってみるPCたち。
ラミアな執事は年若い美女に人化し、エルフ男は寄ってたかって女装させられ、敵の油断を誘おうと作戦を立てた。
そして、向かった先で出会ったのは緑髪の少女。
誘拐された少女だと直感したPCたちの前で、彼女は魔神に変化する。
どうやら苗床になり、魔神を宿しているらしいと気づくも、助ける手はなく。
襲ってくる魔神を撃退していると、奥からは竜の咆哮とともに光のブレスが迸る。
ツンデレ上司は、部下の保護する少女を助け出し、ついでに苗床な少女たちを片付けてきたという。
再会を喜ぶ者たちをしり目に、スノーリアは目の前の変装エルフをまじまじと見、男女で同じ名では紛らわしいと、名前を授けるのだった。
一方そのころ、気絶した苗床少女を見た某ソレイユが、自身の探し人ではないと慟哭していた。
女はわなわなと震える手で、届いた書簡を見つめていた。
その手にあるのは、尊き御方からの大切な文。
封を切る前は、女を天にも昇るような、この世の春を集めたかのような浮足立った心持ちにさせたものだった。
だが、文面を読んだ今となっては、喜び過ぎたことへの反動も相まって、その心うちは荒れに荒れまくる。
されど、差し出し人である尊き方の御名を思い起こせば、激情のままに破り捨てるわけにもいかず、
捨てるに捨てられぬジレンマで、身体はブルブルと震えだす。
(忌々しいこと。すべてはグラッセのバジリスクが策略。
おいたわしや……あの女狐のせいで、かの方は心を濁らせ、苦しまれておられるのでしょう。
待っていてくださいまし。必ずや、このイヴェールが、お救い致しますわ)
女の耳はありもしないバジリスクの嘲笑を幻聴し、さらに憤りを深める。
それでも、すぐに誤解を正さねばと、側近たちに指示を飛ばす。
「フロマージュ辺境領へ返答をしておきなさい。
わたくしどもに、ヴェルグラール様への叛意がないことを示すのですわ」
もし、言葉だけでは誠意が伝わらない場合はと、女は考えをめぐらす。
「最悪……ブリュレは手放すことになりますわね。
誠に業腹なこと。されど、ヴェルグラール様との和解がそれで済むならば僥倖ですわ」
動き出す部下たちに、これだけは忘れるなと念を押す。
「分かっておりますわね? アレはサレ伯領とは無関係でしてよ」
そう、グラッセに手を出した馬鹿は、自分たちとは無関係なのだと示さなくてはならない。
たとえそれが、こちらがたきつけたことだとしても、その事実はなかったことにしなくてはならないのだ。
「サレ伯領としても不本意だと、きちんと明言しておきなさい。
あくまでもアレが独断で勝手に動いたのだと、サレ伯領としても寝耳に水で、対応に困っているのだと」
部下たちは十二分に承知しているとばかりに、深くうなずいた。
後日、フロマージュ辺境領主ヴェルグラールの元に、隣領であるサレ伯領から書簡が届く。
その書簡には、サレ伯領の総意として、フロマージュ辺境領に叛意の意思なく、また、工芸都市グラッセへの計略にも無関係だと記述されていた。
そして、グラッセへ嫌がらせしていると見られる者についても、このようなことがわかっていれば市長の任を任せることがあるはずがなく、
逆にくだんの者に騙されたサレ伯領としても戸惑い驚いているとの弁明も記されていた。
そのうえ、叛意の無いことを示すためと、グラッセ南方にある都市ブリュレを献上する用意があると書簡を携えた使者が述べるのだった。