優美な家具が上品に配置された執務室。
気を付けの姿勢でスラリと立つスノーリアの前には、執務机を挟んで優雅に椅子に座るオニキスの姿があった。
「貴女、グラッセに赴任してから、領都に帰省していないでしょう?
お兄様がとても心配されていたのよ」
差し出されたのは、兄である領主からの手紙。
受け取った手紙を裏返し、封蝋に押された印璽を見れば、兄個人の印章が押してあり、この手紙が私的なものだと示されていた。
「……仮面武闘会の開催があり、忙しくしていたものですから」
言い訳がましく告げれば、分かっているとばかりにオニキスは頷いた。
「真面目な貴女には、休暇を与えるよりも、任務を与えたほうが心穏やかでしょう?
ちょうど、タイミングが良いことに、仮面を領都に運ばなければならないの。
あまりにも簡単なお仕事だから、休暇代わりにちょうどいいんじゃないかしら」
にっこりとほほ笑むオニキスの言葉に、スノーリアの答えは諾以外なかった。
「連れて行く人員はこちらで手配してあげたから、貴女は旅行気分で領都まで言って構わないわよ」
「ありがとうございます」
「フフッ……用件はそれだけよ。
さすがに個人的なものだとは言え、領主様の手紙を誰かに託すわけにもいかないでしょう。
時間を取らせてしまって悪かったわね」
まったく悪いと思っていない声色で告げると、オニキスは退出するよう視線で示した。
部屋に戻ったスノーリアが兄からの手紙を開くと、そこには……
(これは……もしや、今回の任務、何かがあると?)
スノーリアは眉根を寄せて、じっとそれを見つめた。
[卓情報]
開催日:2017/06/14 21:00~24:01
参加PC:
★小隊長兼指導員
アーシュラ(バジリスク/女)
★副官
ディオゲネス(ドレイクブロークン/男)
★一般兵
トワ(人間/女)
アディーレ(ヴァルキリー/女)
★スノーリア'sメイド
ノンシュ(タビット/女)
登場NPC:
★高級軍人
スノーリア(ドレイクナイト/女)
★護衛隊
ドレイユ(ソレイユ/男)
アティモット(ダークトロール/女)
イパス(ナイトメア/女)
★スノーリア'sメイド頭
アン(ルーンフォーク/女)
リザルト:
経験点:1000EXP(基本)+180EXP(追加)+(1ゾロ×50EXP)
報 酬:雪の結晶バッチ(装備箇所『その他』/効果:命中・回避・魔法行使[魔法種別]いずれかを+1/売却価格1500G)
名誉点:20点(基本)+20点(追加)
成 長:1回
【あらすじ】
雨の香りをまとった風と遠くで響く雷鳴が嵐の予感を感じさせた。
仮面武闘会領都戦に合わせて、選手団の宿泊先の手配等々で領都グラッシアルに向かうことになったPCたち。
ちょうど同じころ、仮面輸送のために領都に向かうスノーリア一行と同行することになった。
軍部に行程表を提出し、グラッセから出発した日の夕暮れ。
豪雨により森の中の洞穴で雨宿りする一行。
雨に打たれるソレイユ男とヴァルキリー娘が確認したのは、謎の追跡者。
ヴァルキリー娘が仲間に情報を渡し、しばらくののち、襲い掛かってくる追跡者たち。
バジリスク女史に耳打ちされたのは裏切者の存在。
港町トロワジエムのとある宿屋に向かうよう指示されるも、敬愛するスノーリアから離れることを良しとしないメイドウサギ。
ジレンマの中のバジリスク女子の決断に、任務ならばとドレイク側近と人間娘はウサギを抱えて走り出す。
与えられた任務を遂行する一行の前に現れたのは、3匹のボガードソーズマン。
田舎者のボガソたちを打ち負かし、ボガソたちから得られたのは隣領の北方にある(つまり隣領の中でも一番グラッセに近い)都市の市長動向。
ボガソたちは回復の礼を言い、自分たちは近隣の町で職を探して仕送りをすると旅立った。
夜も更け、仮眠をとるPCたちが自分たちに支給された背負い袋を覗いてみれば、二重底の奥底に鎮座した仮面。
不穏な影を感じ取りつつ、指定された『子ウサギ亭』へ行ってみれば、そこにいたのはスノーリアの領都邸にいるはずのメイド頭ルンフォ。
ルンフォメイド頭からスノーリアが、自ら囮となって偽の仮面を携え、提出した行程表の道筋をたどっていると聞き、驚きあきれる面々。
次の協力者(中編2参加PC)に仮面を預けることを告げられ、報酬代わりに渡されたのは、スノーリア個人の紋章を象ったバッチだった。
そして、PCたちは、子ウサギ亭に宿泊し、夜が更けていく……
命からがら逃げだしたナイトメアの少女は、本来の主の元へ向かってひた走っていた。
待ち合わせとして指定されたグラッセ郊外にある空き家。
そこに行って、弁明せねばと、心が焦る。
そして、たどり着いた先には……
「なぜ? 隣領の……市長が?」
空き家の中にいる、ここにいるはずのない人物を目にし、呆然と呟く。
傍らに控える己が主は、平然としていて、もしや、何か裏があるのではと勘繰るも、早々にそれは打ち砕かれた。
「もう盲目的に、お父様に従うことは止めたの」
嫣然と微笑む女に少女は反射的に「何故」と問いかける。
自身のグラマラスな肢体をギュッと抱きしめて、女は告げた。
自分に期待をせぬ父親を見返すのだと。
父親が自分を見なければならないような状況にしてみせると……
「あんな娘ばかり気に掛けるお父様なんて……もう知らないわ」
子供の反抗というには、少々笑いごとで済まない事態に、このままでいいのかと少女は迷いを生じさせる。
その迷いを見抜かれたのか、ソレは嗤った。
「ちょうどいい背格好だね。声も似ているし、彼女にピッタリだ。
髪の色はいいものが手に入ったからね、問題ない。
少々角が邪魔だが……顔と一緒だ。なんとかしようじゃないか」
酷薄にゆがめられた唇は残酷な言葉を放つ。
「気に入りまして? でしたら、差し上げますわ」
そこには、イパスの敬愛していた、父親の関心を求める哀れで、虚勢に満ちた主(こども)はいなかった。
なにをしても年下の叔母と比較され、それでも向上心を失わずに懸命にあがいていたのが嘘のように、微笑を浮かべる。
「無能モノでも、最後に役立てるなら本望でしょう」
残酷な宣言が耳の中に忍び込む。
イパスの目の前にいたのは、拗らせるベクトルを180度かえた、内通者の姿だった。
始まりました、フロマージュ辺境領紀行 実験卓!
今回から舞台は工芸都市グラッセを飛び出して、フロマージュ辺境領に移っていきます。
まずは、工芸都市グラッセから港町トロワジエムを目指します。
その途中、襲撃があり、PCたちとNPCたちは別れるわけですが……
裏切り者の存在に、別PCたちが受けた少女捜索の密命、
そして、無事仮面は領都まで輸送できるのか?
すべてのことに(力ずくでも)決着がつけられるよう頑張ります!
出来るといいな……(´・ω・`)