●「ニューひとみ」とは何か
歩行ガイドロボット「ニューひとみ」は、
視覚障害者が歩いて日常的な移動をするときに、
案内役をするロボットです。
ロボット言っても、人間の形をしているのではなく、
電動車椅子を改造してカメラの眼やコンピューターの頭脳を組み込んだ、
自動走行三輪車です。
「ニューひとみ」に、朝の散歩コースや友人宅への訪問コースなど、
自宅から往復したい場所(複数)への道筋を、あらかじめ覚えさせておけば、
その道筋を自動走行して案内してくれます。
利用者は、杖がわりに「ニューひとみ」のハンドルにつかまって、
後をついて行けば、つまずいたりよろめいたりしないので安心して、
ひとりで外出できます。
屋外で散歩、買い物、通院など、
日常的な移動に安全で便利な電動の三輪車です。
高齢になって盲導犬を利用できなくなった人や、
自動車運転の経験のある中途失明者は、
「ニューひとみ」をすぐに使えるようになります。
ロボット「ニューひとみ」は
ゆっくりと時速3kmで、2時間の走行をすることができます。
その大きさは、前後長さ1010cm、横幅は70cm、高さは1050cm、
重さは40kg(本体、操作盤、コンピューター、カメラ、電池とも)です。
動力となる電池は、家庭用の100ボルト電源から、4時間で充電します。
●「ニューひとみ」の頭脳と眼の仕組み
図1はロボット「ニューひとみ」の写真です。
「ニューひとみ」の頭脳であるコンピュータに、
自宅から目的地までの道順を記憶させておきます。
複数の目的地への道順を記憶させることができます。
その道順の記憶は、「ニューひとみ」操作の訓練を受けた専門オペレータが、
利用者の希望を聞いて作成します。
利用するときは、まず操作ボックスの3つの選択ボタンを順に選んで押します。
「スタート」ボタンを押すと、走行を開始します。
このボタンは押すたびに、走行と停止を繰返します。
ロボットの使い方は簡単で、すぐに覚えられます。
ただし、「ニューひとみ」は、道順に交通信号機があっても認識をできません。
横断歩道の前で自動停止しますから、
利用者が自動車の流れの音などを聞いて
渡るタイミングを自分で判断しなければなりません。
「ニューひとみ」が走行するときは、カメラの眼で道筋を見つつ進みます。
ビデオカメラで道路の白線などを認識し、
ステレオカメラで塀、生垣、街路樹、電柱などを認識しつつ、
自分の位置を確認し、補正して進みます。
道筋で出会う人や、邪魔な集積ごみ等に出会うと、避けて通ります。
図2の右上の写真は、ビデオカメラの原画像で、右下は検出した距離画像です。
赤色は近距離(2m程度)を示し、黄色は中距離(3m程度)で、
緑色が遠距離(5m程度)です。
図2の左側は、ステレオカメラによる距離画像を垂直方向に投影したもので、
三角形は幅1mの走行範囲を示します。
横線は距離1m、2m~7mを表します。
壁と歩行者、街路樹などが投影されています。
図3を見てください。
距離画像は、路面から高さ15㎝の範囲内にある物を除いています。
こうすると路面に映った影などは垂直投影画像の三角形の走行路から消えます。
高さ15㎝以下の障害物は、バンパーセンサが検知します。
図3 路面の影を消す
図4のガードレイルや、図5の生垣などを認識し、
路面からはみ出ないように位置を制御します。
図4 ガードレイル 図5 生垣
●「ニューひとみ」についてのお問合せ
「ニューひとみ」は、 電子情報工学の専門家である
森 英雄・山梨大学名誉教授が、
大学の研究において開発し実用化しました。
そして開発・普及・啓発を行うために、
NPO法人歩行ガイドロボット開発普及研究会を設立しました。
理事長 森 英雄
〒407-0263 山梨県韮崎市穴山町4060-3
https;//sites.google.com/site/robotictravelaid/home/