ひとみQ&A

ニューひとみについての質問と回答です(2011年11月改定)

NPO法人・歩行ガイドロボット開発普及研究会

次世代インテリジェント車いす

ニューひとみ

1)ニューひとみはどんなロボット?

ニューひとみは、眼のついた手押し3輪車です。

市販の標準仕様の電動車いすを改造して、

駆動輪ユニット、ビデオカメラ 、障害物検知用の光電センサー、

コンピューター、スピーカーなどを取付けたました。

ニューひとみは、進む方向をコンピューターが 記憶していて、

つかまって歩く人を目的地に誘導します。

2)利用者はどのような人?

ニューひとみは、手押し車をロボット化したものといえます。

ニューひとみにつかまって歩くと、散歩や近所のコンビニや友人宅の訪問などに、

自分で進んで連れていってくれます。

ニューひとみの主な利用者は 、視覚障害者を想定しています。

特に中途失明者には有用です。視覚障害者は白杖を携えれば、

一般の道路でひとみを利用できます。

3)一般の道路でも利用できるか?

ニューひとみは、車いすが安全に走行できるような、

幅が1メートル以上ある通路で利用します。

屋外ならば、点字ブロックが敷設された歩道、縁石が敷設された歩道などで、

道路を渡るときは横断歩道を走行します。

視覚障害者が一般の道路でひとみを利用するときは、白杖を携えます。

4)電子地図を使って移動するか?

ニューひとみは登載しているコンピュータによる独自の電子地図を使います。

市販のカーナビと似ていますが、ひとみの電子地図とをカーナビを

比較して説明しましょう。

<共通点>

どちらも経路、交差点、施設名などを

電子地図に記録しておけば誘導する ことができます。

記録していない経路は誘導できません。

<相違点その1>

カーナビ付き自動車ではドライバーが

眼で道路環境を認識して車を操縦するのに対し、

ニューひとみは眼の代わりにビデオカメラと光電センサーで環境を認識し、

車いす自身が操縦します。

<相違点その2>

電子地図の精度が違います。カーナビでは地図上で車の現在いる場所、

すなわちどの道路のどの交差点の近くにいるかを、

ドライバーに知らせればよいので、

位置の誤差は数メートルあっても差支え ありません。

ニューひとみの地図の誤差は、廊下や歩道からそれないようするために、

許容範囲は数センチに限られます。

<相違点その3>

カーナビの電子地図は、利用者を誰にでも使えるように作られていますが、

ニューひとみの電子地図は、ひとりひとりの利用者個人の行きたい場所 や、

障害のレベルに応じて、個別に作る必要があります。

5)走行環境をどうやって認識して動く?

ニューひとみはサインパターンを見て動きます。

サインパターンとは、ニューひとみの通る経路に沿って長く伸びているもので、

例えば、室内ならば、床と壁の境目、カーペットの端、

歩行者案内用の床に貼ったテープなどです。

道路ならば、縁石の列、点字ブロックの列、白線などです。

サインパターンを含む通路環境の映像をビデオカメラで撮り、

その映像をコンピュータで画像処理して、サインパターンを認識します。

ニューひとみは通路の、どこに、どのサインパターンがあるかを記憶しています。

ニューひとみは、このサインパターンに沿って走行し、

サインパターンが途切れる曲がり角や、横断歩道の前などでは一時停止します。

そこで利用者が安全を確認してから、スタートボタンを押すと、

次のサインパターンに沿って移動します。

室内の通路となる玄関、エレベータのドア、廊下の曲がり角などには、

あらかじめQRコード(10~15センチメートル平方角) を貼っておきます。

ニューひとみはこのQRコードを認識することで、現在位置の確認と補正をします。

6)前に障害物があるときは?

ニューひとみの進む前方に、人とか他の車いすなどの障害物がある場合は、

光電センサーで、前方3メートル以内にある物の位置を検出します。

ただし、柱などの固定した障害物は、あらかじめ避けて進むように経路を作ります。

進行中に障害物を検知したら、ひとみはまずピンポンと音を鳴らして

知らせると共に、減速します。

約10~20センチ手前に来るとそこで一時停止し、

ピンポンピンポンという音を繰返して鳴らします。

そこで障害物が避けてくれたら、走行を再開します。

7)走行速度や持続時間などは?

ニューひとみの移動速度は、時速で1キロ、2キロ、

3キロメートルに変えることができます。

横からの飛び出しなどから貴方うを守るために、

また、飛び出した人にも対処する時間があるように、

1キロまたは2キロメートルにすることをお薦めします。

1回の充電で、約1時間半の走行をすることができます。

8)エレベーターの乗り降りはどうする?

エレベータのドアの開閉やエレベーターに他人が乗っているかどうかを知るため、

QRコード をエレベーターのドアの表と奥の壁に、それぞれあらかじめ貼っておきます。

ニューひとみはエレベータの前に停止し、

QRコードでドアが閉じていることを確認します。

そこで利用者はエレベータ ーの昇降ボタンを押して、ドアが開くのを待ちます。

ニューひとみが、ドアのQRコードを検出できなくなったらドアが開いてると判断します。

ドアが開いても、エレベーターの奥のQRコードが検出できない場合には、

その中に他人かあるいはストレッチャーなど乗っていると判断し、

スタートボタンを押しても動きません。

奥の壁のQRコードが検出できなかったら、ひとみはそのことを利用者に

「誰か乗っています」と知らせます。

そこで利用者がスタートボタンを押すと、ひとみはエレベーターの中に乗り入れます。

目的階に到着したら、スタートボタンを押してバックでエレベーターから出ます。

9)移動経路はどのようにして決める?

ニューひとみに移動経路の登録は、専門のオペレータに依頼します。

オペレータは、操作ボックスのレバーを操縦して、経路にそってひとみを走らせ 、

経路のデータを記憶させます。この操作をティーチングといいます。

ティーチングを行うオペレーターは、ティーチングの研修・訓練を受けた人です。

ティーチングは、利用者が行きたいところ、

例えば自宅から公園や知人の家などへの経路は安全なものを選びます。

安全な経路とは、道幅が1メートル以上あり、5センチ以上の段差がなく、

電柱などが道の真ん中になく、交差点には横断歩道マークがあるコースです。

自宅や知人宅などの出発点や終点には確認のためQRコードを貼っておきます。

10)盲導犬とひとみはどう違う?

ひとみと盲導犬を比較すると、それぞれ長所と短所があります。

まず、ひとみの長所 です。

(1)盲導犬を利用するための利用者が受ける訓練期間は1ヶ月ですが、

ニューひとみを利用する訓練期間は数日間の短期間で使えるようになります。

(2)ニューひとみのメンテナンス(電動車いすのメンテナンスに準じる)は、

盲導犬の飼育(給餌、排便、運動、ブラッシング、シャンプー)に比べて

労力が少なくてすみます。

(3)「ひとみ」がガイドできる道順はあらかじめティーチングしてありますから、

利用者が道順を覚えてなくても使えます。

(4)「ひとみ」につかまってあるきますから、体力がない高齢者でも使えます。

(5)共同住宅のアパートやマンションでも使えます。

(6)ニューひとみ製造コストは約150万円 、量産すればもっと安くなります。

盲導犬育成コストは300万円といわれています。

(7)盲導犬と利用者の間には相性が必要ですが、

ニューひとみはマニュアル通りに操作すれば誰でも利用できます。

次は盲導犬の長所です。

(1)利用者が道順を覚えていれば、どこへでも行けます。

(2)車いすが通れないところ、すなわち階段を昇り降りできます。

(3)電車、バス、タクシーなどの公共の交通機関に乗れます。

(4)どのような状況下でも利用者が指令できれば障害物を回避できます。

(5)犬と心の交流ができます。

ニューひとみの短所は

(1)道路交通法14条では、視覚障害者が道路を通行するときは、

杖を携えるか盲導犬を連れていなければならない、

となっていてロボットの利用は認められていません。

また、同法2条では電動車いすを利用する人は歩行者とみなされ

歩道や道路を歩けますが、ロボットの利用は認められていません。

歩行ガイドロボットの実用化すなわち製造販売には道路交通法の改正が必要です。

(2)歩行ガイドロボットは身体障害者福祉法のさだめる

日常生活用具の貸与や支給の対象になっておらず、

購入またはレンタルのコストは自己負担か篤志家による寄付に頼らざるをえません。

(3)歩行ガイドロボットの研究開発には、当初は国からその費用が支給されましたが、現在の改良と普及には補助金が支給されません。

盲導犬の短所は

(1)日本の盲導犬の数は平成22年に約1,100匹で、需要に遠く及びません。

1年に平均20匹しか増えません。

全国の盲導犬訓練センターでは年間200匹弱の新しい盲導犬を育成していますが、

大半はリタイアした盲導犬の代替に使われてしまい、

新規な需要にはなかなか回ってきません。

(2)盲導犬は利用者は、貸与された後も盲導犬の訓練を続けなければなりません。

可愛がってばかりいると、ただの犬に戻ってしまいます。

(3)毎朝の犬の散歩や排泄物の世話など、普通の犬の飼育と同じ世話が要ります。

(4)アパートやマンションなどの共同住宅では大型の盲導犬は飼育できません。

11)利用者の訓練はどうする?

(1)まず、利用する前に行なう作業の訓練です。

これは電動車いすを乗る前に行なう訓練と同じです。

バッテリの充電のチェックとタイヤの空気圧のチェック、

ブレーキとクラッチの入れ方の訓練です。

(2) スタートするときの訓練です。

車いすの置く位置と向きを合わせる訓練と、

左右のブレーキを外し、クラッチを入れる訓練です。

(3)操作を誤ったときの訓練です。

多いのはブレ-キを入れたまま、クラッチを入れないでスタートする誤りです。

特に片方のクラッチを入れて、他方のクラッチを入れないでスタートすると

車いすはクルクル回って危険です。このような場合に操作をやり直す訓練です。

(4)エレベーターの乗り降りの訓練です。

エレベーターの乗降りのルールは病院や施設によって異なり数種類あります。

そのルールに合わせた訓練を行います。

(5)信号のある交差点を渡る訓練です。

ニューひとみは交差点の横断歩道の手前で一時停止します。

利用者は信号が青に変ったのを音声案内や自動車が停止する音で判断します。

青になったと判断したら利用者は白杖を挙げて周囲の車に渡ることを知らせ、

スターとボタンを押します。

ニューひとみは横断歩道上に障害物がないことを確認します。

そして横断歩道の位置を検出し、あらかじめ登録した経路に沿って走行します。

このように交差点を渡る訓練は、信号が赤から青に変ったことを判断し

白杖を揚げてスタートボタンを押します。

NPO法人 歩行ガイドロボット開発普及研究会

理事長 森 英雄

〒407‐0263 韮崎市穴山町4060‐3

電話(昼間) 055-220-8637

電話(夜間)とファクス 0551-25-3929

Email: mori-rota@hb.tp1.jp

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