「ひとみ」が「newひとみ」になるまでの各地での動きです
◆成田空港における歩行ガイドロボットの誘導実験(平成14年)
山梨ティー・エル・オーからの受託研究により、国土交通省総合政策局情報管理部委託「歩行ガイドロボットを使った空港案内の実現に関する調査・研究」を行った。
目的
見知らぬ国の空港に到着し飛行機を降りてゲートを出ると、何が何処にあるのか分からず誰かに尋ねたくなることは誰でも経験するところである。 看板等による万人向け案内は、当事者にとって必要な情報なのかを判断する必要があるが、ロボットによる案内は個人対応であり、必要な情報だけを提供することが可能である。 そのため、このような状況下では文字や音声などの、いわゆるマルチメディアによる案内ではなく、ロボット等の行動メディアによる案内が有効である。 また、ロボットによる案内は、ヘルパーによる視覚障害者の案内と同じく、行動により目的地まで案内するので、不案内の外国人や高齢者・障害者に安心感を与えるという効果も有する。 本研究・調査は、このような利点を有するロボットによる案内の実現可能性を、山梨大学と企業3社で共同開発した視覚障害者向け歩行ガイドロボットを国際空港の環境において適用することにより、把握することを目的として実施するものである。
◆第12回国際網膜世界会議におけるデモンストレーション
平成14年8月3日~4日(土) 幕張プリンスホテル
8月3日にRI世界大会が幕張プリンスホテルで行なわれ,そこでデモを行なってきた.今まで行なってきたほとんどのデモは晴眼者が対象であったが,今回は100名ほどの視覚障害者が対象でいつもとは勝手が違った.そのためスムーズに進行することができなかったので,今回はこのデモの状況の報告と反省を書きました。
予定していたデモの流れ
今回のデモを行なうに当り,予め小谷先生から"今度のデモは大勢の視覚障害者が対象だから,やり方を考えたほうがいい"と注意を受けていた.そこでデモは次のように行なうことを予定した.1. 人を集めた後,ロボットの説明とコースの説明を行なう.2. ロボットに触れてもらい,ロボットがどんな形をしているのか知ってもらう.なお,このときどこを触られても危険がないようにロボットは主電源のスイッチをオフにしておく.3. 何人かにロボットによる誘導を体験して貰う.晴眼者を対象にしたデモとの違いは2番にある.視覚障害者は触れることでその形を把握するので,触れてもらう時間をとる.また,混乱を避けるためロボットを触れてもらう時間と誘導を体験する時間は分ける.また,なるべく多くの人に体験してもらうためコースは短く設定し,人の回転を良くする.実際のデモの状況デモは1組の見学者(4,5人)の"電車の時間があるから"という理由で予定していた時間よりも15分~20分早くから始めることになった.この1組にまずロボットに触れてもらい,その後誘導を体験してもらった.ところが誘導を体験してもらっている最中,すでに大勢の見学者が集まっていた.予定ではデモの進行や説明は全て学生だけでやる予定だったが,そのときは誘導を行なっていたため,小谷先生が代わりに説明をした.小谷先生による説明が終わり実際にロボットの誘導を体験してもらうことになった.3,4回誘導を体験してもらったところで,見学者がどっとロボットに集まってしまい,一度に何人もの人から質問されるという状況になった.このような状況では誘導を行なうのは困難であり,またしばらくすれば落ち着いてくれるだろうという期待から,誘導を体験してもらう時間を一時中断してロボットに触ってもらう時間にした.そしてしばらくして"ロボット動かないの?"という声が高まってきたので,誘導を体験してもらうことを再開し,見学者がいなくなったところで予定より早くデモを終了した.
反省点
このデモで予定通りに進行できなかった理由は,まず見学者とロボット体験者とをはっきり分けておかなかったことが挙げられる.厳しく分けておかなくてもきっと暗黙の了解のうちに分かれてくれるだろうと期待していたが,そうはいかなかった.また,ただでさえ,大人数の視覚障害者を対象にしたデモに慣れていないのに,急に飛び込みの見学者を認めたため予定が変わってきてしまったということも理由の1つになったと思う.
デモでの注意点
以上を踏まえて,今後のデモをスムーズに行なうために,次のようにしたほうがよいと思う.
1. 大勢の人を対象にデモを行なうときにはロープで区切り,
ロボットが走行するところと見学者とをはっきり分ける.
2. 慣れないうちは可能な限り予定した流れでデモを行なう.
ただし,予定を強行して見学者に不快な思いをさせてしまっては
デモの意味がないので,その程度は難しいところである.
3. 一度に質問が集中しないような工夫を考える.
4. デモに来る人は非常に強く興味を持っているということを意識する.
◆2005年愛知万博に出展
2005年の愛知万博において、「プロトタイプロボット展」(2005年6月9日~19日)が開催されました。
この「プロトタイプロボット展」は、独立行政法人NEDOが公募したプロジェクトで、「2020年の実用化を目指すロボット」がテーマです。
公募の結果、65件のロボットが採択され、出展しました。
万博協会は、その展示期間中に来場者にアンケートをして評価をしました。
その中で、『次世代インテリジェント車いす「ひとみ」』は、次のように高い評価をいただきました。
1)「ひとみ」が動いていたところを見たという稼働率94%
2)「ひとみ」を来場の以前に知っていたかという認知率は18%
3)「ひとみ」は全出展ロボットの平均的なイメージよりも高い評価
4)「ひとみ」は「将来実用化されそう」とのイメージが最も高い
5)「ひとみ」への感想は「さらなるロボットの進化を期待した」が最も多い
●万博協会報告の抜粋はこちら
●愛知万博における「ひとみ」の風景(平成17年)
◆ケアセンター市川(山梨県西八代郡市川三郷町、2006年7月5日
) 介護老人施設ケアセンターいちかわ2階で
30分インテリジェント車いす「ひとみ」に関する講演を行い、①食堂からトイレ、②食堂から美容室、③食堂からティルームまで
3つのコースを作りデモを行なった。参加者は27名。
◆日本ロービジョン学会と視覚障害リハビリテーション協会合同会議(東京女子大2006年9月17,18日)に出展、試乗者は約40名。
◆南部町福祉健康まつり(山梨県南巨摩郡南部町、2006年10月4日)
試乗者は視覚障害者1名、他に祭りに参加した人10名。
◆茨城新聞地域版 2006年9月27日、「ナザレ園に車いす、障害物避け自動で走行」のタイトルで掲載
◆日本経済新聞日本経済新聞夕刊12月7日の第1面「スイッチオン!ロボット社会:お供はハイテク盲導犬」のタイトルで奈良ニッセイエデンの園でのひとみの利用を掲載
◆日本機会学会福祉関係市民フォーラムにおけるデモ
2007年9月9日、関西大学千里山キャンパス、日本機械学会年次大会に併設の市民フォーラムで「招待講演機械工学における介護支援・生活支援」とデモ
◆LV学会視覚リハ合同会議におけるデモ
2007年9月23~24日、大阪国際交流センター
◆船橋市八木が谷地区福祉祭りにおけるデモ
2007年10月13日、船橋市八木が谷公民館
◆埼玉県立盲学校 霜月祭におけるデモ
2007年10月27日、場所:埼玉県立盲学校
◆西日本国際福祉機器展 デモ
2007年11月16日(金)~18(日)、西日本総合展示場 新館
◆夢のつばさ 福祉フェスタ2007(福岡県中間市)におけるデモ
2007年12月9日(日)、中間市生涯学習センター
◆視覚リハ大会(仙台)H20年)
◆電子通信学会地域講演会(H20年)
◆電子通信学会東京支部講演会(H20年)
◆福祉情報工学研究会(H20年)
◆ティーチング風景(大阪教育大学H21年)
◆精密工学会画像処理ワークショップ(H22年)
このときから「newひとみ」バージョンになった