繁殖と子育て

ロボロフスキーハムスターは他のハムスターの仲間と比較すると、若干繁殖が難しいとされている種類です。一方で、特に何の工夫もしなくても、ぽこぽこと赤ちゃんのうまれるペアもいます。これは、ロボロフスキハムスターにとっての繁殖と子育てが単純にオスとメスが出会えば良いということだけでなく、そのタイミングや環境、同居している他のハムスターとの力関係、なによりペア同士の相性がとても重要な鍵であるためと考えられています。ロボロフスキーハムスターは、自分の繁殖相手を選ぶ傾向があります。時として同居させたオスとメスが仲良く寿命を全うするまで生きたものの、子供は一匹も生まれなかったなど、これを裏付けるさまざまなケースが聞かれます。また、ほかのハムスターに比べ野性味を多くのこすロボロフスキーハムスターは、半家畜化された今でも春先から夏にかけて繁殖するものが多くいます。日ごろから夜はきちんと暗くなり、昼は窓から天然の光の入る部屋で規則正しい生活をさせる事によって、ハムスター達は日照時間の変化から季節を感じる事ができます。

ロボロフスキーハムスターを繁殖する事を決めたら、まず下準備をします。はじめに産まれた子供を自分で飼育するのか、どのような方法で里親に譲渡するのか、よく検討しましょう。次に、これから親になるオスとメスを選びます。繁殖を行うハムスターはオスは生後3ヶ月以上、メスなら生後4ヶ月以上~1才半未満の個体であることが理想的です。これらのハムスター達は別々に飼育しておき、十分に休養や栄養をとらせ、運動をたくさんさせて、良いコンディションを保った状態にします。この時期、小さく切ったゆで卵を餌に添加する事は、特にメスにとって妊娠に必要な様々なビタミンやタンパク質を摂ることができるので、すすめられています。

次に交配から出産用のケージを準備します。新品かまたは綺麗に洗浄した水槽などのケージを用意して、床材を3~6センチの厚さに敷き詰めます。水ボトルは2つ用意し、餌入れは使わずに、床にパラパラと撒いておきます。このケージは今後そのまま母ハムスターが子育てに使うことになるので、高さのある登り木など、妊娠した母ハムスターにとって危険となりうる備品は入れないようにします。

ケージの準備が出来たら、そこへオスとメスのハムスターを同時に入れます。出会いたてのハムスター達はお互い追いかけあい、チューチュー鳴いたり、ボクシングの様な動きをしたりしますが、このような小競り合いは全く普通の行動です。但し、中には噛み付き合ったりして本当にケンカになってしまうペアもいます。同居させてしばらくは問題が無いかどうかよく観察しましょう。

ロボロフスキーハムスターのメスは4日に一回発情しますが、他のハムスターの仲間と違い、その発情のサインは殆どわかりません。また、ロボロフスキーハムスターは性別に関係なく、グループの中での優位性を主張するため他の個体に「マウント」することが知られています。つまり、力関係によってはメスがオスにマウントしたり、オス同士がマウントし合うこともあります。結果として、ロボロフスキーハムスターの交配では、いつ実際に交尾が行われたのか分からないことがよくあります。出産に向けた準備を進めるためにも、観察を欠かさないようにしましょう。

交配が成功した場合、メスにはおよそ20~22日の妊娠期間が訪れます。メスが妊娠したかどうかは大抵妊娠の後期(17~18日目)になるまであまりよく分かりません。妊娠後期、メスのお腹は大きくすこしでこぼことした感じに膨らみ、お腹側を見ると乳首が少し腫れたようになっているでしょう。子供のサイズが小さい時や、数が少ない場合、おなかの膨らみは殆ど分からない場合もあります。この時期に差し掛かったら、ケージの掃除をし(出産後3週間は大掃除が出来ないことを見越して)、中にある回し車やおもちゃ、水の入ったボウルなど、赤ちゃんにとって危険と思われる備品は全て外しておきます。また、2つある水ボトルも、巣から離れた方の1つを除いて取り去ります。そして、ケージの床に多めに餌をまいておきます。

ロボロフスキーハムスターの平均的な産子数は4匹~6匹ですが、最小1匹から最大10匹産まれることもあります。出産中、母親ハムスターは仔を一匹ずつ産み落としながら活発に動き回ります。ケージの床に赤ちゃんがばらばらになっていることは全く普通です。後で母親が戻ってきて巣に集めるでしょう。赤ちゃんが生まれたかどうかは、彼らのたてるチーチーという大きな鳴き声でわかります。赤ちゃんが生まれたことが分かった場合、その後10日間は掃除などの世話は中止します。水や餌の交換が必要な時は、静かに素早く行います。出産後の母親ハムスターはとても神経質になっていて、巣が安全ではないと感じた場合、赤ちゃんを食べてしまうこともあります。くれぐれも、産後10日間は絶対に刺激しないようにしましょう。この時期、ふだんの餌に加え、小さく切った緑黄色野菜、ゆでたまご、豆腐、牛乳に浸したオートミールなどを少量与える事は、たんぱく質や脂質その他栄養分の補給に効果があります。

ロボロフスキーハムスターの仔は赤裸で産まれ、生後21日で独り立ちします。日数ごとの成長の目安は以下です。