03. Research Theme:
研究テーマ
私の研究の根本は、さまざまな分野において、筋力や年齢を越えて存在する能力、熟練の技といいますか、その「能力」を用いて、最大限に発揮されるパフォーマンスとはどのようなものかの探求にあります。本研究テーマは、ヒトの「能力」のさらなる成長・発展の可能性を明らかにしていく取り組みです。その負の側面を、ストレス、ストレス関連疾患として位置づけて研究を行っています。
そのために、自律神経系の機能、ステロイドホルモンをはじめとするさまざまなホルモンの脳への作用、さらには、大脳皮質や海馬そのものの機能、分子レベル・遺伝子レベルのメカニズム、そして呼吸のストレス低減効果など、多岐にわたるテーマに注目し研究を行っています。
認知機能とは何か
「認知機能」とは、具体的にどのようなことでしょうか?
さまざまな状況に応じて、物事に注意を向けたり、認知したり、記憶したり、識別(再認)したりする機能を従来は指しますが、近年では、そのあとに続く判断や意思決定を行ったり、反応すること、行動することといった後の段階の機能も含めて、総合的に指すことが一般的です。
ではここで、失敗が許されない大きなプレッシャーのもとにあるときの自分自身を想像してみて下さい。実社会でそのような局面を例に挙げてみますと、
大舞台での発表会・討論会
自分の人生の方向性を決める面接・オーディション
億単位のお金が動くビジネスでの交渉・契約
アウトバーン(高速道路)での車やバイクの運転
世界一を決めるスポーツの決勝戦
生死を分ける武術の立会い
その際、私たちは、自分の周囲の状況、相手の出方、そして、その中にいる自分の現状を瞬時に観察し把握します。このとき用いられているのが、「前半段階の認知機能」です。それに続いて、判断および意思決定を行い行動を起こします。この一連の認知システムにおける能力において、それぞれの人の持つ経験(記憶)や識別の仕方(再認)が顕著に影響する「前半の認知機能」は、大変重要な役割を担っていると考えられます。
その識別能における重要性については、こちら、脳内の情報処理の原理原則については、こちらになります。
このような背景を踏まえて、現在私は、ヒトを用いたfMRI実験とマウスを用いた光操作実験の2つの側面からのアプローチを基盤に、多角的かつ包括的に研究に取り組んでいます。
現在取り組んでいる研究テーマは、AとBとなります:
B. 呼吸制御によるストレス低減の認知神経基盤の解明 (HIC事業)
C. 内受容感覚の本質「感性」
D. 識別能を高める方法
E. 脳内の情報処理の原理原則
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