最近登場しつつある、分譲タイプの太陽光発電投資について、検証してみたい。
最も代表的なパターンは、
売電する相手となる電力会社への接続を低圧(600V)とする場合の容量上限である50kW未満のパネル及び関連機器、設置工事、20年間の定期借地権を纏めて分譲するものであり、2,000-2,500万円程度、年間の売電収入が200-250万円、年間リターンが10%近辺のものである。
■背景
平成25年度は若干買い取り単価が下がったものの、家庭用と異なり、
①20年間の買い取り価格維持、
②余剰分ではなく全量買い取り
(余剰分とはその名の通り、自家消費しなかった余剰分のみが買い取られるのだが、現在の家庭用電力単価は約24円/kWhなので、発電した分は自家消費させられずに全量買い取ってもらう方が効率がいい)、
という特徴がある。
また、買い取り価格だけではなく、グリーン投資減税と呼ばれる税制優遇により、民間への設備投資を促進しようとしており、昨今の報道にもあるように、企業がこぞってメガソーラー建設に動いている。
<グリーン投資減税概要>
①青色申告をしている中小企業者に限り、設備取得価額の7%相当額の税額控除
②青色申告をしている法人又は個人を対象に、普通償却に加えて取得額の30%相当額を限度として償却できる特別償却
③青色申告をしている法人又は個人を対象に、取得価額の全額を償却(100%償却、即時償却)できる特別償却
この、メガソーラー建設ムーブメントの中で、多額の設備投資を要するイメージのある太陽光発電事業を、個人や中小企業へも取り組みやすい印象を与えるため、前述した
・50kW未満のパネル及び関連機器一式
・候補地探しと借地権契約の締結
・設置工事一式
・電力会社・役所等の申請一式
をパッケージングし、土地やマンションの分譲と同じく購入しやすくしているのが特徴といえる。
■検証モデル
分譲価格:2,000万円
出力・面積:50kWh・200坪
年間売電収入:200万円
年間支出:60万円
※管理費、修繕積立金、計測ユニット使用量、定額電灯契約、保険、土地賃借料、固定資産税
■総評
年間支出の欄で既におわかりの通り、正味の年間収支はプラス140万円、20年間でも2,800万円となる。
不動産投資とは異なり、20年後には何ら資産が残らない。
(正確には、残らないわけではないが、買い取り価格保証及び借地権契約は終了、太陽光パネル等発電設備は概ねメーカー保証が終了)
差し引き800万円、年間で40万円、利回りは2%となり、金融商品としてみると殆ど旨みがないことがわかる。
ここへ他の事業との損益通算や、グリーン投資減税を組み合わせてどこまでリカバリーできるかは、別途時間を取って検証したい。
■参考
・太陽光発電ビジネス
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130308/244728/?P=1
・分譲タイプの太陽光発電
特定の分譲事業者への検証は意図しないため、各自Google等で「太陽光発電 分譲」と検索されたい(検索キーワードへの広告へも注目)。
・グリーン投資減税
http://www.enecho.meti.go.jp/greensite/green/green-outline.html
・ドイツの政策
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20121222/241428/
高値買い取り制度による家計への負担が2011年に月額1000円を超えるなど弊害が出ているが、これは「想定」されたことであり、予定通りに修正していく方向で、買い取り価格はすでに段階的に引き下げられている。例えば、容量1MW以上のメガソーラーについては、2012年時点ですでに日本円換算で10数円に下がっているが、それでも事業が成り立つのは、コスト削減も順調に進んでいるからだ。さらに、太陽光発電の累積設備容量が5200万kWに達した後は買い取りを中止することを議会で決定している。それは、早ければ2016年にも実現すると見込まれているが、その時点では、買い取り制度なしでも十分に競争できるようになっているだろう。