■OOHメディアの力
● ● ● ● ● ● ● ● ● ●
首都圏では四千万人の電車利用がある
とよく聞くが、実際どれほどの人に広告
が届いているのか。提示される数字と
得られる広告効果に解離を感じている。
● ● ● ● ● ● ● ● ● ●
交通メディアにはたくさんのとても細かいビークルが存在し、付随するサーキュレーションデータにも様々な形がある。メディアパワーについていくつかのわかりやすい数字をおおまかな単位で提示して、解離の穴埋めに役立てたい。
四千万人というのは路線別サーキュレーションの延べ数であり、(東京七十キロ圏十二歳以上の)一日あたりのユニークユーザーは約一千万人となる。エリア人口が約二千八百万人なので、電車利用者がおおよそ三十六パーセントを占める。
ユニークユーザー数は一週間で約一.八倍になる。交通メディアには一週間で最大六十四パーセントの生活者に接触するチャンスがある。
七割の人がJRを利用し、八割の人がJR以外の電鉄を利用している。
土日はビジネスマンの利用がぐっと減るため、平日利用者数の概ね半分程度になる。
一日あたりの累積電車利用率は、大阪都市圏で約三十パーセント、それ以外の都市では二十パーセント以下となる。
利用人数で主要七都市を比較すると、東京都市圏で五十パーセント強、大阪都市圏で約三十パーセント、名古屋都市圏で十パーセント弱を占める。
● ● ● ● ● ● ● ● ● ●
新しくできた商業施設の大型ビジョン
メディアへ広告出稿を検討している。
ビジョンはメインエントランスの上り
エスカレーター正面に設置されており
施設利用者五万人のうち八割がこの
エスカレーターを日々利用すると言う。
十五秒CMを一時間に四回、一日十時間
放映した場合の媒体料金が二十八万円
(一週間)となっている。とてもリーズナブル
な料金設定だと感じるが、そう捉えて
間違いないか?
● ● ● ● ● ● ● ● ● ●
「エスカレーターを一日四万人が利用するから、一週間で最大二十八万人の視聴が得られる。二十八万人で二十八万円の媒体料は、大型ビジョンとしては安価な媒体料設定と言える。」と考える方もいるかもしれない。ただ実際には “二十八万人の視聴が得られる” 可能性はおそらくとても低い。媒体の大きさや、数量、設置のロケーションによって異なるが、訴求対象全員がCMを視聴するということは考えにくい。
例えばエスカレーターが常時四、五十人を運ぶ大型のものであったとしても、CMを視聴するのがその内の十人程度があれば、週二百八十回の放映で得られる視聴者数は二千八百人にとどまる。二十八万人の百分の一である。
古典的なようだが、大型ビジョンの訴求力を確認する方法として、 “現場へ行き、人々の視線を追い、十五秒の間に何人くらいの人がCMに視線を向けたか数えてみる” というのはとても有効である。大型ビジョンは概ね視線を少し上げるような位置に設置されているので、見ている人と見ていない人がわりと容易に見分けられる。