2016年09月21日
2016年09月21日
<シンポジウム>
空間史学研究会 後援シンポジウム
第11回アジアの建築交流国際シンポジウム2016:歴史系オーガナイズド・セッション
聖と俗の界面――東アジアにおける仏国土の技法と意匠
The interface between pure and impure lands:
The technique and design of Buddha lands in East Asia
菩薩の誓願と修行によりつくられた仏国土。東アジア圏に仏教が請来されると、理想的な仏の世界がさまざまな文物の組合せにより実現した。柱や梁の構築、仏像や須弥壇の安置、読経や散華の遂行など、建築・美術・庭園の制作や法会の挙行を通して、聖なる仏の世界が俗なる人の世界に企図されてきたのである。
では、この聖と俗の具体的な境界はどこに求められるのか。例えば日本の場合、内陣と外陣を併せ持つ中世の仏堂では、前者が聖なる仏の空間として、後者が俗なる人の空間としてかつては考えられていた。この場合、内陣と外陣の境に立つ柱間装置こそが、聖・俗を隔てる具体的な境界だったことを意味する。
しかし、実態はそう単純ではない。中世の仏堂では、人々の身分や儀礼によってさまざまに空間が区別され、他方で仏は空間のカテゴリーを超越することで人々に応じていた。また古代では、仏堂の外にまで儀礼の空間が求められることもあった。聖と俗の境界は、時と場合により柔軟に措定されてきたのである。
あらためて、この柔軟な措定を私たちはどのように理解することができるのであろうか。聖と俗の空間はどのような枠組みのもと区切られ、囲まれ、隔てられてきたのか。床・天井・柱・組物や仏像・仏具・絵画など、仏国土の表徴に要した具体的な文物はどのように選択されたのか。聖と俗の<界面>をめぐって、日本・中国・韓国における新しい研究成果のもと、各国での共通点や差異を明確にしながら、東アジアにおける仏国土の技法と意匠について議論したい。
基調講演: 藤井 恵介(東京大学) 中世本堂の意匠の成立――特に天井・組物からみる
特別講演: 長岡 龍作(東北大学) 古代日本の仏教空間と表象――世界観と思想から考える
丁 垚 (天津大学) 遼代仏教芸術に関する研究
金 王稙(明知大学校) 韓国密教の方位思想と四方仏信仰
コメント: 韓 東洙(漢陽大学校)
海野 聡(奈良文化財研究所)
司 会: 野村 俊一(東北大学)
日時:9月21日(水)13:30~18:00
場所:東北大学川内キャンパス 文科系総合講義棟2階 法学第1講義室
リンク先地図のC19番建物の二階です。