5.カエルの産卵場所選択

ニホンアカガエルやヤマアカガエルは早春、一時的な水場を好んで産卵しますが、その時、田んぼ一面卵だらけ、のように、一箇所にかたまって産卵する光景がよく見られます。カエルはわざと集めて産んでいるのでしょうか。それともたまたま皆好きな場所だったのでしょうか。

←このような囲いを作って実験しました。二つの水場を作り、片方に同種の卵やオタマを入れておきました。ペアを連れてきて真ん中におき、翌日どちらに産卵したかを記録しました。

すると、左のグラフのように、先にあった卵の発育段階が早いものであれば、卵のほうに産卵しましたが、発育の進んだ卵がある場合は、卵の無い方に産卵しました。先に産んである卵の発育段階まで考慮して、どちらに産むか判断しているようでした。卵を別の卵と一緒に産んでおくと、凍結や乾燥から守れる一方で、もし相手が先に孵化しすぎると、共食いで捕食されてしまいます。そのへんのバランスをどこかで嗅ぎとって??いるようです。

Iwai N, Kagaya T and Okochi I. 2007. Choice of oviposition site by Rana japonica: role of the developmental stage of conspecific eggs. Herpetologica 63: 31-34.