中村研究室の活動内容(筑波大学)

(1)中村研究室の概要

中村研究室では,財務会計に関する研究を行っている。財務会計(財務報告)を取り巻く現状は,国際財務報告基準(IFRS)を中心にして日々,刻々と変化を遂げている。その中で,会計学の先進的な知識をベースに,会計情報が実務のどのような局面で利用されているのかを研究している。

  たとえば,以下の研究テーマをもつ学生の指導を行う。

(ア)会計データや株価データなどを対象に計量経済学的手法を用いて調査する実証的会計研究

(イ)会計制度について過去の文献や会計基準設定団体などが公表している資料などをもとに研究する制度会計研究

(ウ)特定の産業または企業の会計的分析 など

これ以外の研究テーマでも,財務会計に関するテーマを持っていれば,相談いただきたい。

Keywords

会計・簿記・会計基準・国際会計基準(IFRS)・企業分析・企業価値評価・監査・融資契約・報酬契約・財務諸表分析・キャッシュ・フロー・無形資産・不正経理・M&A・包括利益・会計発生高・公正価値会計・時価会計 など

 

(2)教員の主な研究テーマ

私の主な研究は,上記(ア)の実証的会計研究である。

① 財務制限条項に関する研究:これまでの研究では,債権者と企業の間の契約で締結される財務制限条項に実際に抵触しても,日本では必ずしも一括返済を求められないケースが多く,その存在意義について再検討しなければならないことがわかっている。そこで,より効率的な財務制限条項の設定にはどのようなファクターが必要なのかを研究している。

② ポイントプログラム・疑似通貨に関する研究:現在,電子マネーに関する会計処理については,基準が必ずしも確立されておらず,様々な会計処理が採られているのが実情である。ところで,私は以前に日本で代表的な提携型ポイントプログラムを運営している企業を資料およびインタビューにより調査し,多様な提携型ポイントプログラムとそれらの会計処理の実態を検証した結果を報告した。ポイントと疑似通貨は,①ペーパーレスのため,実態が見えにくい,②必ずしも会計基準が確立されていない,③企業単位を越えて取引がされている,という点で共通しており,かつ疑似通貨にはポイントが付与されることが多いことから,同じ俎上で語られることが多いといわれている。このような背景から,ポイントプログラム会計研究との関わりで,疑似通貨を対象としてその会計実態を明らかにしたいと考えている。

 

(3)指導スケジュール

特に決まっていない。学生の予定に合わせて随時ゼミを行い,特定の書物に関心があれば適宜,輪読を行っていく予定である。

 輪読の際のテキストは,たとえば以下を考えている。

実証会計:大日方隆(2013)『アドバンスト財務会計〔第2版〕』中央経済社。

企業価値評価:伊藤邦雄(2014)『新・企業価値評価』日本経済新聞出版社。

桜井久勝編著(2010)『企業価値評価の実証分析』中央経済社。

企業分析:パレプ・ヒーリー・バーナード著,斎藤静樹監訳(2006)『企業分析入門[第2版]』東京大学出版会。

(4)現在の指導体制

2014年度は,修士:主指導学生1名を担当。

2015年度は,修士:主指導学生1名を担当。

2016年度は,修士:主指導学生2名,博士:主指導学生1名を担当。 

2017年度は,修士:主指導学生3名,博士:主指導学生1名を担当。

2018年度は,修士:主指導学生3名,博士:主指導学生1名を担当。

2019年度は,修士:主指導学生2名,博士:主指導学生3名を担当。

2020年度は,修士:主指導学生2名,博士:主指導学生2名を担当。

2021年度は,修士:主指導学生5名,博士:主指導学生2名を担当。

2022年度は,修士:主指導学生3名,博士:主指導学生5名を担当。