期間限定展示 世界初のドンコ化石 2023年10月11日~12月28日 入口近く
イキムカシドンコ
Odontobutis hayashitokuei Yabumoto and Zhang, 2023
ハゼ目ドンコ科ドンコ属魚類は日本と韓国、中国に生息する淡水性のハゼの仲間で8種が知られています。今回の研究でドンコ属魚類は二つある背鰭の間隔が長い種と短い種の二つのグループに分かれることが判明しました。さらにイキムカシドンコは背鰭の位置関係が日本のドンコとほぼ一致することから、日本のドンコの直接の祖先ではないかとも考えられ、日本のドンコのルーツを探る上でたいへん重要な化石であることがわかりました。さらに、この化石の発見によってドンコ属魚類がおよそ1500万年前にあらわれたこともわかりました。
和 名: イキムカシドンコ
和名の意味: 壱岐にかつていたドンコ
学 名: Odontobutis hayashitokuei
学名の意味: 属名「Odontobutis」はドンコ属の属名、種名「hayashitokuei」は壱岐の化石の研究に貢献された林徳衛先生に献名されました。林先生は「壱岐島長者原化石誌」を編纂されています。
体 長: 約8.5cm
採 集 地: 長崎県壱岐市芦辺町
産 出 層: 壱岐層群長者原層(いきそうぐんちょうじゃばるそう)
時 代: 新生代新第三紀中新世中期(約1500万年前)
本種の特徴: 頭が小さいことと尾椎(脊椎骨の後ろの部分)数が21と多いこと。
Cupello, C., T. Hirasawa, N. Tatsumi, Y. Yabumoto, P. Gueriau, S. Isogai, R. Matsumoto, T. Saruwatari, A. King, M. Hoshino, K. Uesugi, M. Okabe, and P. M. Brito. 2022. Lung evolution in vertebrates and the water-to-land transition. eLife, 26 July, 2022. https://doi.org/10.7554/eLife.77156
2018年にパリ郊外のシンクロトロン:ソレイ(SOLEIL)でポリプテルスの仔稚魚と両生類の幼生を、2020年に兵庫県のシンクロトロン:スプリング8(SPring-8)でオーストラリアハイギョの仔稚魚をX線CT撮影した結果が主要部分をしめる研究です。ブラジル、フランス、日本の共同研究で、当館も参加しています。
シンクロトロンでは数ミリから十数ミリの小さな仔稚魚でも鮮明なX線CT画像を得ることができます。
Siniperca ikikoku Yabumoto, 2020
長崎県壱岐から2020年7月に新種として記載されたイキムカシケツギョのホロタイプの展示
Siniperca ikikoku Yabumoto, 2020
アースモール 白亜紀
マウソニア プラジリエンシス Mawsonia brasiliensis Yabumoto, 2002
2002年に新種として記載されたマウソニア科のシーラカンスの化石(ホロタイプ)の展示
Mawsonia brasiliensis Yabumoto, 2002
ウィンドーミュージアム
パルナイバイア マランハ オエンシス Parnaibaia maranhaoensis Yabumoto, 2008
2008年に新属新種として記載されたマウソニア科のシーラカンスの化石(ホロタイプ)を展示、 マウソニア科の進化を大陸移動とともに解説。
アースモール 三畳紀・ジュラ紀
ワイテイア オオイシイ Whiteia oishii Yabumoto and Brito, 2016
産地 インドネシア 西チモール
時代 中生代三畳紀
ブラジル産前期白亜紀の魚類化石の展示
産地 ブラジル セアラ州 アラリペ
時代 中生代白亜紀前期
日本産魚類化石の中で最も保存状態の良い、日本の現在の淡水魚類の起源と進化を考える上で重要な魚類化石群。
北九市立自然史・歴史博物館にはこの魚類化石コレクションが収蔵されています。
タカヤマムカシカワムツ Nipponocypris takayamai Miyata, Yabumoto and Hirano, 2018
ぽけっとミュージアム 「シーラカンスと海のおいたち」
タッチパネル
ワイテイア ウエノテルヤイ Whiteia uyenoteruyai Yabumoto, Brito, Iwata and Abe, 2019
リサーチゾーンとエンバイラマ館
湖の時代 ー魚類化石
(脇野魚類化石群のホロタイプ、パラタイプなどを展示しているコーナー)
Type specimens on display.
エンバイラマ館(CGにより復元された魚が泳ぐ、魚類相の変遷を見ることが出来る展示)
1989年に新種として記載された福岡県大牟田市産始新世のホホジロザメ属化石(ホロタイプ)
Carcharodon nodai Yabumoto, 1989
北九州市産漸新世のサメやエイの歯化石
九州島の誕生
イキウス Iquius nipponicus Jordan, 1919とイキクルター Ikiculter chojabaruensis Yabumoto, 2010
長崎県壱岐産中新世の淡水魚類化石
日本の魚類化石の中で最初に学名が与えられたイキウスの分類学的位置に関する解説
2010年に新属新種として記載されたイキクルターのホロタイプの展示
壱岐からはこれらの他にギギ科のイキムカシギギ Pseudobagrus ikiensis Watanabe and Uyeno, 1999、ケツギョ科のイキムカシオヤニラミ Coreoperca maruoi Yabumoto and Uyeno 2009、イキムカシケツギョ Siniperca ikikoku Yabumoto 2020が記載されています。
イキウス と イキクルター