データベースを作る必要はない。だから、メモが不要になればそれを捨ててしまってもかまわない。自由にデータを組み替え、カテゴライズしたものを別の場所に移動し、原本を改変せよ。全体が有用であり続ける状態をつくれ……。この発想を元にして、MoEの原型はできあがった。あとは、これをPCで実現すればいいわけだ。
最初は区分せず、とりあえず入れる場所を用意してなんでもそこに放り込んでいく
半自動的にそれが保てるシステムを構築する
の二点をPC上で実現するために、以下のことを行う。
特定のフォルダを作成し、それをバッファーとして利用する。そこにテキストファイル形式で、メモをためていく
時間が経過したら、そのフォルダにあるメモを、問題関心で区分して別フォルダに移動する
不要なメモが見つかったら、それを廃棄用のフォルダに移動する
フォルダから関連するメモを取り出し、別フォルダに移動するプロセスは、関連するメモ同士のまとまりを作るという意味だけではなく、バッファーの秩序を保つという意味も持つだろう。また、メモを廃棄するためのフォルダをあらかじめ用意しておく。不要だと判断したメモを容易に捨てられる状況を作ることは、全体の秩序を維持することにつながるだろう。
では次に、フォルダ構造とファイル移動の観点から見てみよう。必要なのは、
一時フォルダ……最初にメモファイルを保存するためのフォルダ
カテゴリーフォルダ……カテゴリー分けのためのフォルダ
ゴミ箱フォルダ……不要なメモを捨てるためのフォルダ
の3つのフォルダである。メモファイルを、以下の図のように順番に移動することで、常に有用なメモのみを利用できるようにする。
アイデアメモは全て、一時フォルダに無差別に保存する。メモの種類も、カテゴリーも、以前に書いたメモとの関係性も一切気にせず、どんどん思いつくままに作っていこう。
時間が経過すれば、各々のメモが、どのような問題意識で書かれたものか明確になってくる。そうしたら、そのとき初めてカテゴリー分けを行う。カテゴリーフォルダに新たにフォルダを作成し、関係するファイルをまとめて移動する。個々のメモの内容は、タイトル表示とビューアで確認すればいい。
こうして、カテゴリーフォルダの中に、個々のカテゴリーフォルダを作っていく。後は、各々のフォルダへ行ってメモを閲覧しながら、知的生産をすればいいわけだ。
一時フォルダ内やカテゴリーフォルダ内のメモの内容を、ビューアで閲覧している時に、不要になったメモが見つかることがあるだろう。例えば、作成した文書に内容が反映されているメモや、状況の変化によって、すでに問題意識自体が古くなっているメモだ。それを見つけたら、その都度、ゴミ箱フォルダに移動する。フォルダ単位で不要だと判断したものがあれば、それも同様に、ゴミ箱フォルダに移動する。
※ここでは便宜上、一時フォルダとカテゴリーフォルダを分けて説明しているが、実際の運用では、一時フォルダの下に個々のカテゴリーフォルダを作ることになる。そうすると、一時フォルダに行けば今取り組んでいる課題がひと目でわかることになり、効率がいいのだ。
ファイル操作にはPaper Plane xUI(PPx)を使う。
PPxからエディタを起動し、一時フォルダにメモファイルをためていく。
メモファイルがたまったら、ビューアで内容を確認しながら、関係するメモファイルをカテゴリーフォルダに移動する。また、不要なメモファイルを見つけたら、それを適宜ゴミ箱フォルダに移動する。