どうしてマジシャドは立体的に見えるのでしょう?
偏光板に一部に2分の1波長板が貼っているマジシャドフィルムを、2分の1波長板が内側に来るように円筒状に丸めます。これでマジシャドができました。このマジシャドを見ると様々な立体的な模様が見えるはずです。
では、マジシャドに入ってくる光が見ている人の目に入っていくまでを考えましょう。そうすれば、なぜ立体的な模様が見えるのか判るはずです。 マジシャドに入った光が、見ている人の目に入るまでには次の4つのパターンがあります。
① 2分の1波長板が貼られていない部分(偏光板だけの部分)から入って、2分の1波長板が貼られていない部分から出る
② 2分の1波長板が貼られていない部分から入って、2分の1波長板が貼られた部分から出る
③ 2分の1波長板が貼られた部分から入って、2分の1波長板が貼られていない部分から出る
④ 2分の1波長板が貼られた部分から入って、2分の1波長板が貼られた部分から出る
それでは、上の4つのパターンにについて光がそれぞれどうなるのか見ていきましょう。ちょっと面倒ですが、お付き合いください。
① 2分の1波長板が貼られていない部分から入った光は内部で縦方向に振動する光となり、内部を通過します。そこで、縦方向の光を通す偏光板に当たるため光はそのまま抜けてきます。
② 2分の1波長板が貼られていない部分から入った光は、①と同様に縦方向に振動する光となって内部を通過します。そして、偏光板の内側に貼られた2分の1波長板を通過します。この時、縦方向に振動する光は横方向に振動する光に変わります。詳しくは「2分の1波長板の話」をご覧ください。光は横方向に振動する偏光になって2分の1波長板を出てきます。この”横方向に振動する光”が”縦方向に振動する光を通す偏光板”に当たりますからここで吸収され抜けてきません。
③ 2分に1波長版が貼られた部分から入った光は、”縦方向に振動する光”になったあとすぐに”横方向に振動する光”になり内部を通過しますそのあと、縦方向に振動する偏光を通す偏光に当たりますから、ここで吸収され抜けてきません。
④ ③で書いたように、2分の1波長板が貼られた部分から入った光は、横方向に振動する光になって内部を移動し、2分の1波長板に当たる。2分の1波長板では偏光の回転方向が90度回転し”横方向に振動する光”は”縦方向に振動する光”になって、縦方向の光を通す偏光板を通過する。
ここまでをまとめると、マジシャドに当った光で2分の1波長板を1回だけ通った光は吸収されて外には出てこないけれど、2分の1波長板を通らなかった光と、2回2分の1波長板を通った光は外に抜けてくる事になります。
これを言いかえると、2分の1波長板を貼った部分と貼らなかった部分で、どちらかの部分から入って同じ部分から出てくる光は抜けてきて、違う部分から出てくる光は吸収されることになります。