交通事故死 2−3万件/年(国土技術政策総合研究所資料)
有害鳥獣捕獲等 シカの場合、23万頭/年(環境省資料)
などにより、毎年、数多くの野生動物が命を失っています。
これらの動物の命を、少しでも何かに役立てたい。
私が行き着いたのが、比較的簡単にできる、DNAの抽出ができる状態で組織を保存することでした。
方法は非常にシンプルです。
耳や舌などの採取しやすい部位をはさみ等で切って、エタノールに入れるだけです。
これだけで、数年~数十年にわたってDNA解析に用いることができる試料になります(詳細はページ下部をご覧ください)。
野生動物のDNAの解析は、これまでは一部の地域の個体群にのみに注目しており、断片的な情報しかありませんでした。
また、野生動物のDNAの解析をすすめる研究者も、研究を行うにあたって、その都度サンプルを収集する場合もあり、
研究が進みにくいという問題がありました。
このため、全国の多くの方の力をお借りして、日本各地で命を失った動物の組織を収集し、
保存した試料を研究者間で共有することで、野生動物の活用および研究の発展に貢献すると考えました。
現在、「野生動物×試料保存プロジェクト」として活動をしております。
現在、私費で購入した収集キットで活動を行っており、これまでに、発見時にすでに息絶えていたシカやハクビシンといった哺乳類や、
オオルリ、カラスといった鳥類について試料を収集し、保存しています。
現在は私費で運営しているため、数に限度はありますが、できる限り試料を集めたいと考えています。
ゆくゆくはどこかの財団等に申請をして、本プロジェクトの運営資金(主にチューブ、エタノール、輸送代)を獲得したいと考えています。
もしこのプロジェクトに協力もしくは運営資金を寄付してくださる方がいらっしゃいましたら、
ymatsumoto.ac@gmail.comまでメールをいただければと思います。
その他質問などありましたら、お気軽にお問い合わせください。
話題のタイムチケットにも参戦してみました。
売り上げはこの活動の資金として使わせていただきますので、もしよろしければ購入をお願いします。
◆ DNA抽出用の組織の採取・保存方法
1. 器具の入手
近くの道路でよく動物が敷かれている、近日中に狩猟の予定があるといった場合、私(ias.tokushima@gmail.com)に連絡をください。
試料収集用のキットと返信用封筒をお送りさせていただきます。
動物が息絶えているのを発見し、たまたまエタノールやハサミを所持しており、試料の収集ができる状態にある場合も以下の手順で試料を採集することができます。最低限必要なものは以下の二つです。
・組織を切断するためのエタノールなどで消毒したハサミ
・純度の高い(70~99%)エタノールが入ったチューブ
1個体以上から試料を作る場合は、以下のものも必要です。
・ハサミの消毒用の着火マンなど
・ハサミの消毒用のエタノール(70%)
・テッシュなど物理的にゴミをとるもの
2. 器具の準備
切断する際に用いるハサミやチューブに入れるピンセットなどは、あらかじめ以下の手順で消毒したものを使います。
まず、使用する器具に70%エタノールをかけたのち、器具にエタノールがかかっている状態で着火マンで火をつけ、エタノールを燃やします(この操作で、滅菌や余分なDNAなどの破壊します)。
次に、このもう一度70%エタノールをかけたのち、テッシュ等でエタノールを拭き取ります(破壊されたDNAなどを物理的に取り除きます)。
DNAの解析は、一個体ずつDNAを抽出する必要があります。
このため、試料を採取する個体が複数存在する場合は、1個体ごとにこの操作を行い、前の個体のDNAを、次に採取する個体のDNAと混ざらないようにします。
エタノールや火を使って、1個体のサンプリングごとに器具をきれいにします。
3. 組織の採取
動物のどの部分を試料として残すかを決めたのち、その部位を採取します。
耳や尾といった部分が比較的採取しやすいと思われます。
DNAの抽出には、組織の小さい切片(1~数センチ四方程度の組織片)が3~5つあれば十分です。
0.5mm四方の組織片が1つでもあれば、ひとまず解析に用いることができます。
それらを1つのチューブにまとめていれます(希少種など貴重な個体であれば、保存用のためにもう1セット作っておいた方が良いです)。
チューブに毛や羽が混入している場合は、DNAの解析に支障をきたす恐れがあるので、できる限り削ぎ落として、肉片のみの形で回収します。
写真では比較的採取しやすいカラスの舌を用いました。哺乳類では、耳なども簡単に採取できます。
4. 組織の保存
純度の高いエタノール(70~99%エタノールなど)が入った実験用のチューブに、採取した組織をいれます。
その後、チューブがいっぱいになるまでエタノールを追加します。これで、この組織は数年~数十年の間、DNAを得ることが可能な状態になります。
保存は冷蔵庫などが望ましいですが、日の当たらない涼しい場所で常温でも保存可能です。
エタノールが入った実験用のチューブに組織片を入れます。
5. 試料の送付
上記の手順を行ったのち、私宛に試料を送ってください。