purpose

【趣旨・目的】

いま世界では大きな変化が起こっています。それは、哲学の意義と役割が注目され、哲学的な思考と対話を行うことが奨励されているということです。なぜこの世界において、哲学的な思考と対話が求められているのでしょうか。

現代世界においては、人や物、情報が行き交うなかで、さまざまな背景を持った多様な人びとが社会を作りあげています。そのような世界で必要とされるものは、共同社会を形成していくための市民性です。共同社会においては、市民が自立して思考し、判断し、行動することが求められています。それにもっとも資すると考えられるものが、哲学ではないでしょうか。

哲学な思考と対話を行うということは、市民性を実現するための一歩です。哲学を通じて、あらゆる種類の議論と向き合い、他人の発言を尊重し、独断や偏見、古い因習にとらわれずに自分自身で思考し、判断し、行動する自由な市民であることが養われます。

ただし、ここで言う哲学とは、難解な書物を読んで、一人で思索に耽るようなものではありません。人びとが集まり、特定のテーマについて議論を重ねるといった対話型の哲学です。この哲学においては、必ずしも結論を出さなくてもよいのです。

古代ギリシャの哲学は、アゴラという広場での公開の問答から始まりました。そこで論じられていたことは、正義、自由、友愛、平等といった市民に共通の問題でした。

哲学カフェではこのような哲学の原点に立ち戻って、日常や社会で出会うさまざまな問題について話し合いを行います。毎回テーマを決めて、集まった人たちでそのテーマについて話し合うというスタイルをとります。

哲学を通じた新しい市民性の獲得のために、多くの市民のみなさんに参加していただきたいと思います。