生活の中で呼吸法を気にしていますか?
合気道の稽古で、呼吸を意識して稽古をしてますか?実は私は意識してはできていないのです。座儀呼吸法のときだけは確実に意識していますが、通常の技のなかでは、意識し切れていません。力んで呼吸を止めていないのは確かですが、常に意識しては居ないというのが正直な答えです。
通常の生活では呼吸は無意識に行っていますから気にしていないでしょう。しかし、電車に乗っているときや、ちょっと時間のあるときには呼吸を意識してみませんか?複式呼吸を意識して行うことで、日々姿勢を意識するようになり、姿勢の悪さからくる背筋の疲れや肩こり等から開放されましょう。
今、いすに座っているとき、自分の姿勢を気にしたことがありますか。ディスプレーを覗き込み、キ-ボードを見て、気づかぬうちに前傾姿勢になり、背中を丸め、肩がこって、腰が痛い、良くあることですよね。気がついたら、立っていても頭が前に傾斜し、背中が丸まった気弱な姿勢になっていませんか。
合気道をやってられれば複式呼吸は聞いたことありますね。この世界では丹田呼吸と言われたりします。お腹の筋肉を使って呼吸する方法です。通常はお腹ではなくて、胸の肋骨を広げたり(胸式呼吸)、もっと大きく呼吸するときには、肩を上下させて大きな呼吸をしているはずです。さらに大きな呼吸をしようとして、肺活量の測定のときにはどうしてますか?体を大きくそらし、胸を膨らまし、肩をあげ、さらにはお腹を膨らませてできる限りたくさんの空気を吸い込もうとします。
そのときに最後の手段である、お腹を膨らませて横隔膜を舌へ引き下げ、胸の体積を大きくする動作が腹式呼吸の一部です。そして吐く時も、最後にお腹をへこませ、場合によっては前傾姿勢になっても溜め込んだ空気を吐き出そうとすると思います。
お腹を使っても呼吸ができることが理解されたでしょう。そのときの、お腹だけを使うような意識で呼吸を行うことを試してください。体を前後にすると楽にできますって。そう、それでもできます。でも、前かがみになったり、後ろに反り返ったりせずとも、呼吸ができませんか。お腹を出したり、引っ込めたりはやりにくいかもしれませんし、慣れるまでは少し苦しいと感じるかもしれません。
お腹の筋肉を使う呼吸は、前かがみではやりにくく、苦しく感じますので、自然に背筋を伸ばして行うことになります。背筋を伸ばして、お腹を前後させる動きをすることで、今まで使っていなかった、腹筋や背筋、さらには腰骨や背骨を支えるインナーマッスルと言われる内部の筋肉を鍛えることができるのです。
現代人は便利になったこともあり、座った生活が長く、歩くことも少なく、知らず知らずのうちに、インナーマッスルが弱り、体を支える機能が低下しています。その結果として、背筋が前傾し猫背になったり、そり過ぎてそり腰になったりしています。その結果が、腰痛、膝の痛み、坐骨神経痛、ヘルニア、その他諸々の病気を引き起こしていると言われています。まあ、それらの効果は副次的なもので、姿勢を良くして呼吸をする習慣を身に着けることの方がまず最初の目標かも知れません。なにしろ、背筋の伸びて姿勢のいいことは、若さと健康であることの表現です。
私の腹式呼吸方
椅子でも、正座でもかまいませんが、背筋が伸ばしやすいように、お知りの後方が少し高くなるようにクッションを入れて座ります。(立っていてもかまい名ませんが、姿勢の整え方が難しいのでまずは座って行ってください。)
背筋を伸ばし、少しあごを引き(上向きにならない)、畳に座っているなら畳一枚先を見ます。
上半身を前後左右に少しゆすって、一番安定した位置で、頭上を紐で引かれているような気持ちになれば良い。手は太ももにそっと置いて楽にしてください。
ゆっくりと、「いち、にー、さん、しー、ご」、と数えながら、5拍に分けて息を吸い込んでください。最初は腹式を意識しなくて良いと思います。(今は10拍でやっています)
次に、吸い込んだ息を止めたまま、「いち、にー、さん、しー、ご」、と数えます。体の中で空気が移動し、この間にお腹に力が入ります。
今度はまたゆっくり五拍で息を吐き出します。「いち、にー、さん、しー、ご」、と数えながら息を吐いていくと、ペースを抑えるためにはお腹に力が入ります。(今は10拍でやっています)
吐ききったところで、また「いち、にー、さん、しー、ご」、と数えます。
4に戻って、ゆっくりと、「いち、にー、さん、しー、ご」、と数えながら、息を吸います。苦しくてもゆっくりと吸い込むようにしてください。このとき、肩を上下させて呼吸をしてもかまいません。5拍で呼吸をするということは、深い呼吸になっているはずです。肩の上下動があっても、お腹を使っての呼吸になっているはずです。
5と同じように、息を止めて、五つ数えます。そしてどこを使ってこきゅうをしているか意識してください。お腹に力が入っているはずです。そしたら、6と同じようにゆっくりと5拍で吐きます。
4-7までを2-3回繰り返しますと、だんだんと呼吸が楽になってくると思います。
4から7の動作を繰り返しながら、お腹の動きを意識してください。呼吸に合わせてお腹を動かすようになってると思います。そして、呼吸をしやすいようにさらに背筋を伸ばすなど、若干の姿勢あるいはお腹の伸ばし方などに意識がいくようになります。意識にあわせ、呼吸が楽になるように姿勢を修正してください。より背筋が伸びる方向へ行くと思います。
腹式呼吸に関する混乱
腹式呼吸と言われるものには、いくつかの種類があります。腹式呼吸、逆腹式呼吸などと呼ばれいます。腹式呼吸と言われるもので、呼吸を吐くときにお腹を凹ませ、吸うときにお腹を膨らませる方法です。これは、横隔膜を上下させるという意味での説明に合致しています。逆腹式呼吸というのは、全く逆で、息を吸う時にお腹を引っ込め、息を吐くときにお腹(実際にはへその下の丹田)に力を入れて膨らませます。
日本武道では丹田呼吸(吐くときにお腹を膨らませる逆複式呼吸に近いもの)
私は、腹式呼吸もできますが、上記の呼吸をしていると自然に逆腹式呼吸(丹田呼吸とも言われる)に移行してしまいます。弓道、合気道を含む多くの武道では、この逆腹式呼吸が多く説明され用いられているようです。単に腹式呼吸(逆腹式呼吸とは言いません)と言って説明されるため、両者を混同することが多いようです。武道は基本的に力を出したり、パワーを出したりする時にゆっくりと息を吐きながら、丹田に意識を集中します。そのため、自然に吐く動作と丹田に力を入れるといううより意識を集中する動作が同期します。上半身には力を入れずリラックスしながら体の中心である丹田を安定させて、矢を放つ、技をかけるという動作をするわけです。
腹式呼吸、逆腹式呼吸のどちらでもかまわないと思います。としかく、呼吸しやすい方法で腹式呼吸を行ってください。
慣れてきたら
最初は5拍で始めても、徐々に7拍、10拍と呼吸を深くしながら、一回のサイクルを長くしていってください。呼吸が深くなれば、最初は一回のサイクルが20秒程度であったものが、1分程度にはすぐになります。無理をせず、楽な姿勢で、ゆっくりとやってください。現在私は10拍を基本にして行っています。
電車のなかでも
呼吸を数えながら吸う吐くを繰り返す方法ですので、色々な考えに惑わされにくいでしょう。家でなくても、電車の中でもできます。電車の中では、背筋を伸ばそうとすれば、自然に椅子の背もたれから背中を離した姿勢になるでしょう(椅子でも同じですが)。上半身は電子に合わせて揺れているように見えるでしょうが、ゆれているのは体ではなく電車です。
最初は3分でも気持ちが楽になります。20秒のサイクルを、3分で9回できます。呼吸が深くなり、長くなれば、一回が1分になれば、呼吸10回で10分になります。
興味のある方は試してみてください。電車の中でも自分の世界を楽しみましょう。ただし、くれぐれも降りる駅を通り過ぎないようご注意ください。