実践レポート

「上手な聴き方」と「承認」で社員を復職に!

私は企業で保健師をしています。休職中のAさんは、産業医から復職訓練のために「毎朝9時に図書館に行く」という課題を与えられたのですが実行していませんでした。そこで彼の話を聴いて支援することにしました。


《8月15日》 面談に来てもらい話を聴いたところ、夜あまり眠れないので朝ぼーっとしてしまう、図書館に特に興味がないので面白くない、図書館に行く意味がわからない、などの気持ちを話してくれた。

「図書館に興味が持てない、つまらない」という気持ちを受け止めながらも、産業医がなぜその指示を出したのかを考えもらうことにした。私からも、定時に起きて図書館に通うという作業には働くためのリズムを整え体力や集中力を回復させる効果があることを説明した。すると、Aさんは納得できたようで、明日から毎日9時に図書館に行くことを約束してくれた。私は「復職訓練のために図書館に行くことが、今のあなたの仕事ですね。毎日やってみましょう」と伝えた。

《8月22日》面談。毎日図書館に行っていると報告してくれた。先週の状態から考えると別人のようによく頑張っていると思ったので、それを伝え、頑張りをほめたところ、Aさんは嬉しそうな表情を見せてくれた。

《8月29日》面談。今週も欠かさず図書館に行っているとのこと。夜よく眠れるようになり体調がよいと嬉しいそうに話してくれた。顔色もとてもよくなっていたので「よくがんばっていますね、元気そうなので安心しましたし、嬉しいです」と伝えた。

《9月5日》産業医の診断により復職が決定。

《9月7日》復職

話を「聴く」ことによって、Aさんが図書館に通うことに納得できていない気持ちを理解し、それを受け止めることができました。Aさんも、不安や不満を吐き出すことができてすっきりしたようで、その後の私の指導をすんなりと受け入れてくれました。そして私が図書館に通えていることを認めて誉めたことが「定時に図書館に行くこと」の持続につながったのだと思います。体調が復職訓練できるレベルに戻っても、職場復帰に向けての一歩が踏み出せなかったAさんに対して効果的な支援ができたと思います。