本研究室では,言語習得の認知的と実践的側面の両方から言語習得の本質に迫る研究を行っています。
特に言語学的・心理学的理論を融合させた実証的アプローチを基盤に,文および語彙の認知処理に関する研究を展開しております。
また,多言語アプローチを通じて,言語処理における普遍性と個別性の解明にも取り組んでいます。
本ゼミでは,科学的リテラシーと探究能力の育成を目指します。「ことばのしくみ」をテーマとしていますが,人文学の枠を超えて ,心理や認知など多角的な視点から問いを立て ,データに基づく実証的検討を通じて分析力を養成します。
中国語に関する習得研究にとどまらず,実証的アプローチに基づく多様な研究に関心のある方も大歓迎です!
言語習得は,単に音や文字を受け取って意味を理解するという単純な作業ではありません。インプットから最終的なアウトプットに至るまでには,実に複雑で精緻な認知プロセスが背後で働いており,そこには多くの要因が複雑に絡み合っています。とくに母語以外の言語を習得する場合には,学習者ごとに大きな個人差が見られ,言語習得には共通する普遍性がある一方で,予測できない個別性も顕著に現れます。こうした点からも,第二言語の処理プロセスは,母語よりもはるかに複雑で奥深いものだといえるでしょう。
「では,こうした言語習得の不思議を,どのように明らかにすればよいのか?」という問いに向き合う中で,実験やテスト調査などの実証的なアプローチにたどり着きました。データに基づいて言語処理を多角的に検証することで,その複雑なメカニズムの一端が見えてくると感じています。
また,言語習得は一方向からではなく,多面的に捉え直すことで,実際の教育現場や指導法にも応用可能な知見が得られる――そのように研究と実践が結びついていくところに,実証的研究の醍醐味があると確信しています。