Cultural Exposure

中華料理の分類

(2023年723日更新)

 日本語において,「中華料理」「中国料理」という2つの言い方があります。「中華料理」は日本人に合うよう味をアレンジした料理です。それに対して,「中国料理」は本場中国の味を再現したものです。このビデオでは,「中華料理」と表記していますが,中国本場の料理のことです。

時空を超えた文化苦旅:

麦積山石窟

(2023年6月30日更新)

シルクロードの起点:

長安(現:西安)

(2023623日更新)

中国の“垃圾分类(lājī fēnlèi)”

(2023年6月14日更新)

毎日,人々は大量のゴミを出し,捨てています。最近では,環境にやさしく資源を最大限に活用するために,ゴミを適切に処理するようになりました。中国以外の国々の生活ゴミの分別方法を見ると,ゴミの成分,量,リサイクル,処理方法の違いに基づいて分別が行われているようです。たとえば,ドイツでは,紙,ガラス,金属,プラスチックなどに分類しています。オーストラリアでは堆肥化ができるゴミ,リサイクル可能なゴミ,リサイクル不可能なゴミに分類しています。日本でのゴミ分別の取り組みは,地域や自治体によって異なりますが,1980年代から始まりました。その後,1990年代には各地域でさまざまなゴミ分別の制度が導入され,2000年代には全国的な取り組みとなりました。一般的に,プラスチックボトル,再利用可能なプラスチック,その他のプラスチック,資源ゴミ,大型ゴミ,可燃ゴミ,不燃ゴミ,有害ゴミなどに分類します。

中国では,1996年からゴミの分別を推進され,近年急速に進展しています。2019年6月25日に「固体廃棄物汚染環境防治法」という改定草案が全国人民代表大会常務委員会に提出され,「生活ゴミによる環境汚染の防治」に関する法的規制が強化され,2019年9月に全国の公共機関に生活ゴミの分別を適切に行うよう指示されました。その後,国家機関事務管理局が「公共機関の生活ゴミの分別作業評価の参考基準」の通知し,更なる生活ゴミ分別を強化しました。

中国のゴミ分別は,一般的には以下のようになっています:

1. “可回收物(リサイクルゴミ)”:紙,プラスチック,ガラス,金属などのリサイクルできるものです。これらのゴミは,専用の回収箱やコンテナに分別して捨てる必要があります。

2. “厨余垃圾(生ゴミ)”:食べ残しや生ごみなど,食品に関する廃棄物です。これらのごみは,専用の生ゴミ処理容器やバッグに入れて出すことが求められます。

3. “有害垃圾(有害ゴミ)”:化学物質や有害な物質を含む廃棄物であり,環境や人間の健康に悪影響を及ぼす可能性があるものです。例えば,電池,薬品,塗料,農薬など。これらのゴミは,専用の収集ポイントや指定された場所に持ち込む必要があります。

4. “其他垃圾(その他のゴミ)”:可燃性ゴミや分別しにくいゴミ,その他の一般的な廃棄物が含まれます。これらのごみは,一般のゴミ袋に入れて分別せずに捨てるのが一般的です。

ただし,ゴミ分別の具体的なルールや取り組みは,中国の自治体や都市によって異なります。たとえば,上海では,ゴミの分別名として“干垃圾”(乾いたゴミ)“湿垃圾”(生ゴミ)“可回收物”“有害垃圾”という名称が使われています。上海ではゴミ分別の管理とその条例の施行は本格的に行われています。

ゴミ捨て場へゴミを持って行った際に,ゴミ分別監督員に“你是什么垃圾?(あなたはどんなゴミですか?)”と聞くジョークをWeChatのモーメンツにアップした人が少なくありませんでした。さらに,「2019年中国メディアのトップ10流行語」に“垃圾分(ゴミ分別)”が選ばれました。このように,生活ゴミ分別による社会的な影響が窺えるでしょう。

“第三卫生间(dìsān wèishēngjiān)”とは?

(2023年6月8日更新)

中国語では「トイレ」の呼び方はさまざまです。中国を旅すると,駅や街中の公共施設で,(wèishēngjiān)”所(cèsuǒ)”“洗手(xǐshǒujiān)”など複数の表現が見られます。その中で,“(wèishēngjiān)”という表現は“所(cèsuǒ)”よりも上品とされるためか,ホテルなどでよく使用されます。会話では,“洗手(xǐshǒujiān)”を使う人もいます。一般的には,“不好意思,我去一下洗手(すみません,ちょっとお手洗いに行ってきます)。”のように,“洗手(xǐshǒujiān)”を使うと上品な感じがします。

上の3つのトイレの表現に加えて,“化妆间(huàzhuāngjiān)”という表現もあります。日本語の「化粧室」と同じ意味で,トイレの機能に加えて女性のための化粧室も備わっており,服装を整えたりや化粧のリタッチをしたりすることもできます。上の3つの表現では,この機能を持ったトイレを正確に表現することができません。この表現は,おしゃれなデパートなどでよく見かけます。

最近,“第三(dìsān wèishēngjiān)”という表現も中国各地で見られるようになりました。“男”や“女”に加えて,“第三”とは一体なんでしょう。それは障碍者,乳幼児を連れた人など,さまざまな目的でトイレを利用できる施設です。日本語に訳すと,「多目的トイレ」や「多機能トイレ」になります。特定の状況下で,公共のトイレが利用できない場合,例えば,異なる性別の家族のメンバーが一緒に外出し,一人でトイレを使えないことがあっても“第三”を使うことができます。このような理由から,2016年12月に中国国家観光局は全国に“第三”の設立を促進するための通知を発令しました。それ以降,全国各地に多くの“第三”が設けられました。

清明節(Qīngmíngjié)

(2022年47日更新)

 清明时节纷纷,      清明節の季節,春雨がしとしと降り,

 路上行人欲断魂。  通りを歩いている人達は元気がなさそうだ。

 借酒家何有,  酒場がどこにあるかと牧童に聞くと,

 牧童遥指杏花村。  遥か先の「杏花村」を指さした。

      ―(唐)杜牧『清明』

 

 この唐の詩人である杜牧が詠った『清明』は,清明節を詠んだ詩の中で,もっとも多くの人達に知られている作品です。清明節の当時の江南(長江以南)の風景を描いた詩です。「清明節」は24節気24節気は,春夏秋冬の四季それぞれを6つに分けて季節の移り変わりを表した名称)の1つで,中国の伝統祝日の1つです。清明節は周の時代から始まり,すでに2500年以上の歴史を持っています。当時の清明節は古人にとって非常に重要な日でした。一家団欒で,遠足に行ったり,お墓参りに行ったりするのが主な習慣でした。1935年に,毎年の4月5日が清明節と定められ,さらに2008年に正式に法定休日になりました。清明節の風習は地域によってやや異なりますが,先祖への思いを伝えるためにお墓参りに行ったり,ピクニックに行ったりするのが普通です。また,江南地域では,清明節にヨモギ餅を食べる習慣もあります。緑色なので,“青qīngtuán”と呼ばれます。ヨモギを混ぜたもち米の中にこし餡を入れて蒸して,団子のように仕上げる伝統的な食べ物です。現在は,こし餡だけではなく,さまざまの餡を入れた“青qīngtuán”もあるようです。


元宵節に“元宵 yuán xiāo”を食べる?“汤圆 tāng yuán”を食べる?

(2022年2月28日更新)

中国の元宵節に,白くて丸々と可愛らしい伝統食品を食べる習慣があります。これはタンエン(汤圆 tāngyuán)と呼ばれ,よく知られた食べ物です。満月のような丸い形で,もちもちの食感があり,食べると満腹感もあります。中国の南の地方では,タンエンを定番の食品として,旧正月や元宵節の日に食べます。しかし,中国の北の地方では,元宵(ゲンショウ, yuánxiāo)を食べます。これは“汤圆 tāngyuán”とどんな違いがあるのでしょうか。外観では,両者は全く同じ食べ物のように見えます。ところが,作り方と食べ方に根本的な違いがあります。

タンエン(汤圆 tāngyuán)は,白いもち米で作った白団子の中に餡(あん)や肉などさまざまの具材を入れて茹(ゆ)でて食べます。一方,ゲンショウ(元宵 yuánxiāo)は,まず固体の餡を小さな塊にしてから,表面に水を付けます。水に付けた餡の塊をもち米の粉がたっぷり入ったボウルに入れて,揺らします。揺らしながら水をさすことによって,もち米の粉が付着して,餡の塊がしだいに丸くなり,白くなります。タンエン(汤圆 tāngyuán)と違って,ゲンショウ(元宵 yuánxiāo)の具材はやや硬いものが多く,黒ゴマや小豆のような甘い餡が一般です。茹でて食べてもいいですが,多くのは揚げて食べます。また,長期間放置したり,冷凍したりすると,割れたりするので貯蔵し難いという食べ物です。そのため,中国の北の地方では,元宵節の日,ゲンショウを作って,当日販売します。ゲンショウを作って食べるのは,元宵節の雰囲気を感じさせてくれます。

元宵節(元宵节 Yuán xiāo jié)とは?

(2022年2月17日更新)

中国の古人は夜を“宵 xiāo”と表現しました。そのため,一年における最初の満月の夜,つまり旧暦の1月15日は,元宵節元宵节 Yuánxiāojiéと呼ばれるのですそのほか,“上元Shàngyuánji锓小正月 Xiǎozhèngyu蔓元夕 Yuánxī”“灯 Dēngjié”という呼び方もありますが,元宵節(元宵节 Yuánxiāojié)がもっともよく使われます。これは中国の重要な伝統的な祝日の一つです。西暦2022年の元宵節は,2月15日でした。この日を迎えるとようやく旧正月が終わったという感じです。

 元宵節の由来は,遠古時代に遡ります。当時の人々は悪霊を追い払うために,満月の夜,たいまつに点火して,天神を祭りました。2000年前の漢の時代から,伝統的な祝日として元宵節を祝うようになりました。

一方,歴代の中国封建王朝では,国力の強さを見せるため,多くの提灯を灯して元宵節の行事を行います。唐の時代になると,元宵節はより盛大な行事になりました。当時の首都である長安では夜間の外出が禁じられていました。しかし,元宵節の夜だけは,元宵節に限ってはこの禁令が解かれ,民衆が提灯を見て賑わいました。その後,宋の時代になると,より盛大な行事となり,さらに豪華な提灯が作られるようになりました。また,提灯に謎掛けを行う習慣もこの時期から始まったそうです。また,当時の若者にとっては,元宵節の夜はデートの絶好チャンスでした。そのため,ロマンチックな雰囲気に溢れています。この盛大さは,当時の多くの文人の作品にも描かれています。文学者で政治家でもあった欧陽修(1007~1072)は元宵節の光景を,以下の宋詞(宋代になってから隆盛した歌辞)で描きました。この宋詞から,当時の風習が窺えるでしょう。

   

 去年元夜时,花市灯如昼。

 月上柳梢头,人约黄昏后。

 今年元夜时,月与灯依旧。

 不见去年人,泪湿春衫袖。

           ―(北宋)欧阳修《生查子元夕》

(昨年の元宵節の夜,提灯で飾った花市はお昼のように明るくてとても賑やかだった。月は柳の木のてっぺんに昇った頃に,会おうと二人で約束した。今年の元宵節の夜,月も提灯も去年と変わらなかった。ただ,去年のあの人には会えなくなり,悲しくてたまらない。)

 

 現代でも,このような民間風習も残っています。たとえば,家族で一家団欒を意味するタンエン(汤圆 tāngyuán)を食べたり,夜は提灯(花灯 huādēng)を観賞したりします。また,子供たちはウサギの形をした提灯(兔子灯 tùzidēng)で遊びます。これには,幸運・幸福になるようにという願いの意味も含まれています。おそらく元宵節の起源と関係していると思われます。

私の子供の頃,遊んだウサギ提灯は,父が画仙紙と針金で手作りをしてくれたものです。蝋燭に火を点けて,それをウサギ提灯の中に入れて外で友たちと楽しく遊んだ記憶があります。現在では,いろいろな形や素材のウサギ提灯があり,子供達はそのなかから好きなのを選ぶことができます。今年は,LEDのウサギ提灯が流行ったと聞きました。今の子供達は,本当に幸せですね。

中国のおせち料理―“年夜饭 nián yè fàn

(2022年2月15日更新)

中国では,西暦と旧暦の両方を使っています。西暦は“阳yánglì”,旧暦は“阴yīnlì”または农历 nónglì”と呼ばれます。中国は多民族国家なので,特定の国民の祝日および記念日だけではなく,民族ごとに独自の祭りもたくさんあります。多くの伝統祝日は旧暦で決められているので,毎年異なる日付になります。そのうち,最も大切なのはやはり旧暦の正月である春節Chūnjiéでしょう。今年の“春Chūnjié”は 2022年2月1日です。この日は新年の始まりを意味するので,世界各地にいる中国の人達にとって最も大切な日です。

  

ここでは,中国のお正月の過ごし方を紹介します。春節の前日は除夕 Chúxī”(大晦日)と呼ばれます。大晦日の夜,家族全員が集まって,“春节联欢晚会 Chūnjié liánhuān wǎnhuì”(中国の紅白歌合戦)を楽しみながら,“年夜niányèfàn”(おせち料理)を食べるが,中国のお正月の習慣です。最近は,生活が豊かになるにつれて,普段からおいしいものを食べるようになりました。それでも,大晦日のおせち料理年夜niányèfànは特別です。定番として鳥肉(肉 jīròu),魚肉(肉 yúròu),団子(丸子 wánzi),お餅(年糕 niángāo),エビ(肉 xiāròu)が必ず出されます。

  

一年の始まりに,縁起の良い物を食べると,すべてが順調満帆になると信じられています。いろいろな食べ物がありますが,ここでは食べ物の発音,色または形から,特に春節に良く見聞きする言葉,つまり「春節の挨拶に使える四字熟語」を連想し易い食材・料理を挙げてみます。

  

鳥肉(肉 jīròu)は,“大吉大利 dàjí dàlì”の“吉”()と“”()が声調以外は同じ発音です。すべてがうまくいき,吉()が来るようにという願いを意味しています。

魚肉(肉 yúròu)は,“年年有余 niánnián yǒuyú” の“余”()と魚()は声調を含んで発音が同じです。いつも余裕をもって生活することを意味します。

団子(丸子 wánzi)の形は丸々として可愛らしいので,团团圆圆 tuántuán yuányuán”を連想し,一家団欒で楽しく過ごせることを意味しています。これは,発音ではなく,形からの発想です。

お餅(年糕 niángāo)は,“步步高升 bùbù gāoshēng” の“高”(gāo)と糕(gāo)の発音は同じです。とんとん拍子に出世したいという願いを表しています。

エビ(肉 xiāròu)は,火を点けて調理すると赤くなるので,红红火火 hónghóng huǒhuǒを連想します。中国では,赤は縁起が良い色だとされており,暮らしが豊かでありますようにという願いを意味しています。

  

中国の南部地方と北部地方では,異なる飲食の習慣があります。それが,おせち料理にも反映されています。最も特徴的なのは,お節料理の最後に,北部地方出身の人達は水餃子を食べます。野菜と肉の中身が餃子皮に包まれた餃子の形は昔の中国の貨幣“金元宝 jīnyuánbǎo”の形に似ているので,餃子を食べると豊かになるという意味があります。これに対して,南部地方出身の人達は,汤圆 tāngyuán”(タンエン)を食べます。甘い餡(ゴマ餡,こし餡)や塩辛い餡(豚肉)がもち米に包まれて,丸々とした可愛らしい形にして,一家団欒を意味します。また,上海なら,デザートとして,甘酒を使って調理するミニ白玉団子のお汁粉風の酒酿圆子 jiǔniàng yuánzi”を最後に出すこともあります。広東や台湾などの地域では,卜糕 luóbogāo”(大根餅)を旧正月の料理として食べます。

     

大晦日(除夕 Chúxī)の夜には,おせち料理を家族全員で準備して,一家揃って食べます。その後で,子供たちにとって一番楽しい時がやって来ます。それはお年玉タイムです。中国では,赤が縁起の良い色とされているので,お祝いの色として使われます。そのためお年玉は,赤い封筒にお金を入れて渡します。赤い色にちなんでお年玉は包 hóngbāo”と呼ばれます。子供がすくすく成長しますようにという意味も含まれています。残念ながら,私はもうお年玉をもらう年ではなくなって,あげる側になってしまいました。皆さんは,お年玉を何歳までもらえますか?

中国では,

なんで大晦日の日に爆竹を鳴らすの?

(2022年2月5日更新)

 爆竹声中一除,

 春送暖入屠

曈曈日,

把新桃旧符。

       ―(宋)王安石

    (爆竹の音のなか,一年を送った。顔に吹いて来る暖かい春風に伴いながら,気持ちよく屠蘇を飲む。払暁の陽光が千門万戸を照らすその日に,旧年の桃符を新年のものに取り換える。)


この漢詩は北宋の詩人,思想家および政治家である王安石(1021~1086)が書いた《元日》です。この漢詩は今から950年ほど前の人々がお正月を迎える様子を描いたものです。この漢詩から,「爆竹」をし,「屠蘇」酒を飲み,「桃符」を貼るのが,旧正月の風習であったことが分かります。現代でも,爆竹をし,春節を祝って春聯(chūnlián)を貼る風習が残っています。

 

 なんで大晦日の日に爆竹を鳴らしますか?


中国の古代神話のなか,“夕”(年獣とも呼ぶ)という怪獣がいたそうです。毎年の旧暦の12月の最後の日に,“夕”が人間の世界に降臨して,人も動物をも殺戮します。人々はその苦しみに耐えられないので,ある賢者に解決方法を尋ねました。賢者は,“夕”は竹を燃やす音を怖がるので,火をつけた竹は“夕”を追い払えると教えました。それ以来,旧暦の最後の日を“除夕Chúxī”と呼び,また,その日に爆竹を鳴らすという習慣が生まれました。


しかし,爆竹は空気を汚染するため,各地で爆竹の禁止が定められています。爆竹が無くては春節の雰囲気が味わえないので,中国人には受け入れ難いようです。最近では,爆竹の代わり,電子爆竹が使われるようになりました。家のドアや窓に飾って,少しでも新春の雰囲気を味わいます。もちろん,これは環境にもやさしい方法です。

糯米烧卖

中国の焼売

(2021年12月4日更新)

 日本各地の中華料理店のメニューやスーパーの惣菜コーナーなどには,必ず一品として,「焼売(シュウマイ)」という名称の料理があります。開花する前の花のように愛らしい形をしています。この料理,豚挽肉と玉ねぎのみじん切りを混ぜ合わせて,小麦粉の薄皮で包んで蒸した軽食(サイドメニュー)です。もともと,中国の食べ物ですが,日本に伝わってきてから,現在では日本の庶民の料理として親しまれています。もう一品欲しい時に,「焼売(シュウマイ)」はよいチョイスですね!

それでは,焼売はいつから日本に伝来して,日本の皆さんに知られるようになったのでしょうか?日本の焼売の歴史を遡ってみると,昭和30年代に学校の給食用として提供されたという説があります。その後,お惣菜として販売され始めてから,焼売の種類も多くなり,徐々に国民の認知度が高まってきました。   

 

中国語では,焼売は“烧卖(shāomài)”と言われますが,その起源は中国の内モンゴルにあり,内モンゴルの伝統的な料理だと言われています。羊または牛挽肉とネギを混ぜ合わせて,小麦粉の薄皮で包んで,蒸した食べ物です。“稍麦(shāomài)”とも呼ばれています。内モンゴルから,中国の北京,山西,山東,広東,浙江,上海などの全国各地に広く普及したそうです。

 

さて,中国は広く,長江を境界線として,南方と北方の地域に分けられます。北方の地域の“烧卖(shāomài)”は,内モンゴルのものと似ており,中身は肉類が主です。それに対して,南方の地域の“烧卖(shāomài)”は,多種多様です。中身の主要な原料は,もち米ですが,好みによって,豚肉,エビ,シイタケ,筍,ニンジン,パクチーなどを入れて包みます。もち米のみの焼売は“糯米(nuòmǐ)烧卖”と呼ばれます。近年,上海や浙江地域では筍と豚肉で作られた焼売が流行し始めました。特に,上海では“下沙(Xiàshā,上海のある地名)烧卖”が有名で,とても人気があります。 

 

しかし,最近,ネットで焼売の漢字表記は“烧卖(shāomài)”であるか,それとも“稍麦(shāomài)”であるかという議論がありました。発音は同じなのですが,漢字表記上の違いが問題となっています。いろいろな説があって,統一した見解はありません。私にとっては,“稍麦(shāomài)”であれ,“烧卖(shāomài)”であれ,最高に美味しい料理であることに変わりはありません。

食文化:中秋節

(2021年9月21日更新)

 1912年,明治45年(大正元年)以降,日本では農暦(旧暦)は公的に使われなくなりました。中国では,古くから農暦を使っていましたが,1912年の中華民国が成立した際に,新暦に改暦されました。現在,中国は農暦と西暦の両方を使っています。そのような歴史的背景があり,改暦する前からある祝祭日や年中行事は旧暦にしたがって祝うのが普通です。特に旧正月(春節)は国が定めた休日になっており,中国人にとって非常に重要な祝日です。西暦の元旦(1月1日)よりも盛大に祝われます。その他,端午節,中秋節なども旧暦にしたがって国の休日とされています。2021年の9月21日は旧暦のカレンダーによって,8月15日で,中国の中秋節です。そこで今回は,中秋節の食文化について,ご紹介します。

  

中秋節には,中国では何を食べるのでしょうか?日本人も知っているのではないでしょうか。そうです!「月餅」です。中国語では,“月yuè bǐng”と発音します。現在,日本のスーパーでも「月餅」がお菓子として一年中販売されているようです。中国では,中秋節の前,「月餅」をプレゼントとして親友や親戚などに贈ることで,親交を深めます。また,中秋節には,一家団欒で食事をします。その後で,月見をしたり,中秋節の特別テレビ番組を見ながら,「月餅」を味わうのです。「月餅」の他に,多くの中国人の食卓に置かれるものとして,“芋艿yù nǎi”(里芋),“毛豆máo dòu”(枝豆),“菱角líng jiǎo”(ヒシの実),肉yā ròu”(カモ肉)が挙げられます。

  

中国の上海や江蘇省などの地域では,中秋節で“芋艿yù nǎi”を食べる習慣があります。“芋艿”は方言で,运来yùn lái”(運が来る)の発音に近いので,食べると幸運を招き,邪気を払うという,縁起の良い意味があります。“毛豆máo dòu”は,“毛豆máo dòu jiá”とも呼ばれます。“jiá”の発音は中国語の「良い」を意味する“佳jiā”の発音に似っています。そのため,“毛豆”を食べるのは,「万事如意」を願うためです。また,枝豆の中には豆がたくさんあるので,「子孫繁栄」を象徴するという説もあります。“菱角líng jiǎo”は7月から成長し,最もおいしくなるのは中秋です。“菱líng”は頭がよいことを意味する“伶俐líng l씓伶líng”と同じ発音です。そのため,子供が“菱角”を食べると賢くなると信じられています。

 

以上の3つの食べ物と違って,中秋節には,肉yā ròu”を食べる習慣があります。これには,歴史的な逸話があります。元の時代(1271〜1368)の末期,漢人は,元人の厳しい統治による虐政(ぎゃくせい)に不満を抱いていました。そこで,元人の統治を覆そうとしました。しかし,元人の統治は非常に厳格であったため,漢人は暗号を用いて反抗することにしました。当時,漢人は元人を子dá zi”と呼んでいました。子yā zi”の発音が似ているので,8月15日の中秋節に“子”を食べるということで,元人の統治を覆すという意味の暗号として利用したのです。このような話しから,中秋節には“肉”を食べる習慣ができました。また,漢方の観点からも,秋に“肉”を食べると体に良く,補養の効用があるという説もあります。カモを使った料理にはいろいろありますが,個人的には,母の手作り料理であった“老鸭汤lǎo yā tāng”(カモスープ)が大好きです。

 

秋は収穫の季節であり,食欲の季節でもあります。“菊黄蟹肥秋正天高气爽桂花香jú huáng xiè féi qiū zhèng nóng, tiān gāo qì shuǎng guì huā xiāng”といわれるように,「爽やかな秋風とともに,金木犀(キンモクセイ)の花の香りが漂い,蟹もおいしくなる最高の季節」―紅葉が錦(にしき)の織物のように美しい錦秋(きんしゅう)の季節が到来しましたね。

食文化:上海の「四大金剛」

(2021年9月19日更新)

中国には,“夜市yè shì”(夜市)と“早市zǎo shì”(朝市)があります。“早市”は,主に朝ごはんを販売します。早いところでは午前5時から,遅いところでは午前6時から始まります。そして,昼頃まで営業します。上海人の朝市は,とても賑やかです。朝ごはんを準備する時間のない会社務めの人達,授業に行く学生達は,よく早市で朝ごはんを買って食べます。上海の朝市の朝食は多様です。その中,一番人気があるのは,四大金刚sì dà jīn gāng”と呼ばれる上海の伝統的な朝食でしょう。

「四大金剛」とは,仏教の四大護法神という意味ではありません。上海朝食の「四大金剛」は,“大dà bǐng”“油条yóu tiáo”“粢zī fàn (tuán)”“豆dòu jiāng”を指します。これらは上海人の最愛の朝食です。安価でとても美味しいです。上海生まれで上海育ちの上海人は,老上海人と呼ばれますが,彼らにとって,朝市で「四大金剛」を買うのは,日常的な生活習慣になっています。そのため,海外に住む老上海人にとって,上海の生活の懐かしい思い出です。今回は,上海の朝食である「四大金剛」を紹介します。

“大”は練り粉のかたまりを焼いたものです。“甜大tián dà bǐng”と“咸大xián dà bǐng”と2種類に分けられます。サクサクとした歯ごたえで,香ばしい香りがします。“甜大”は中には,砂糖を入れて表面にゴマを振りかけて作るので,甘い味がします。一方,“咸大”は塩を練り粉と一緒にこねて,ネギをトッピングとして作られるため,塩っぽい味になります。

“油条”は細長い形の中華風揚げパンです。パン自体は,特に味はありません。そのため,上海人は“油条”に醤油をつけたり,熱々の豆乳に浸したりして食べます。個人的には,“油条”に醤油をつけて食べるのが好きです。

“粢)”は中華風のおにぎりのようなものです。ただ,日本のおにぎりと違うのは,“粢)”は好みによって,“油条”,ザーサイ,ソーセージ,肉田麩などの具材を選んで,もち米で包むことです。粘り気のあるもち米はほんのり甘く,お腹の持ちもよいのです。そのため,朝ごはんとして最適なチョイスです。甘いのが好きな方は,砂糖を具材と一緒に包んで召し上がってください。

“豆”(豆乳)は,特に珍しいものではありません。日本にもあり,みなさんもよく飲むのではないでしょうか。中国には,甘い豆乳と塩味の豆乳があります。朝は,熱々の豆乳と一緒に「四大金剛」を食べると,一日の元気がもらえます。

みなさんも,上海へ行けば,ぜひ試してみてください。