第11~15回

第11回

日時: 2014年 2月22日(土) 15:00~17:30

場所: 広島大学(東広島キャンパス) 総合科学部A棟3階 A312

タイトル: 正当だから差別する?-地位格差のある集団間状況における外集団卑下の生起過程に関する検討-

発表者:  杉浦仁美(広島大学)

発表内容:

社会は階層的な構造を持つため,多くの集団間には地位差が存在します。このような地位格差は,集団間葛藤の生起にどのよう な影響を及ぼすのでしょうか。本研究では,人がよく知らない外集団のメンバーに対して,否定的な評価や攻撃行動を示す状況を特定し,その心理メカニズムを 明らかにすることを目的としています。発表では,外集団卑下(outgroup derogation)に関して,(1)集団間地位による動機の違いを反映するため,集団間地位だけではなく集団内地位による影響もみられること,(2)集団の階層に関する社会的なイデオロギーが,外集団卑下を正当化する機能をもっていることの2点について検討を行った実験の結果をご報告します。また,この結果をふまえ,外集団卑下の生起メカニズムに関して,社会的アイデンティティ理論(Tajfel & Turner, 1979)にもとづく動機的過程と,社会的支配理論(Sidanius & Pratto, 1999)にもとづく正当化過程に弁別し,考察します。参加者の皆様から様々なご意見を頂ければ幸いです。



第12回

日時:2014年 5月10日(土) 15:00~17:30

場所:広島大学(東広島キャンパス) 総合科学部事務棟3階 第一会議室

発表者 竹村幸祐(滋賀大学)

題目 個人主義を支える集合的豊かさ: 中国31省のデータによる検討

発表概要

本発表では、個人主義的傾向と集合レベルの経済的豊かさの関係を検討した研究を報告する。

これまでの比較文化研究によって、個人主義的(あるいは相互独立的)な心理傾向には、社会によって差のあることが示されてきた。また、こうした社会間の差異は、経済的な豊かさと正の相関を示すことが示されてきた。本研究では、この相関関係が、個人レベルの相関関係の延長線上にあるもの(だけ)ではなく、集合レベルで生じている可能性を検討した。この検討にあたり、中国31省で収集された調査データならびにアーカイブデータを用いて、マルチレベル分析を行った。

分析の結果、個人主義的傾向と経済的豊かさの間には、個人レベルの相関関係を超えて、省レベルの相関が存在することが示された。このことは、平均的に豊かな省の住人は、個人的に豊かであるか否かとは独立に、一定程度、個人主義的であることを意味している。この知見は、経済的豊かさと個人主義的傾向の関係が、個人内で完結するプロセスで生じているのではなく、集合的プロセスの中で生じていることを示唆している。

これまでの比較文化研究は、数多くの文化差を示してきた。しかし、そうした文化差が、本当に集合的プロセスを通じて生じているのか(すなわち、真に「文化」と呼ぶに値するのか)、十分に検討されてこなかった。本発表では、個人主義的傾向と経済的豊かさの関係を一つの題材として、個人レベルで生じる現象と集合レベルで生じる現象を切り分けることの重要性を議論したい。

本発表は、浜村武さん(香港中文大学)、Yanjun Guanさん(中国人民大学)、鈴木智子さん(京都大学)との共同研究をもとにしています。

皆様の厳しいご批判をお待ちしております

第13回(番外編)

第13回は番外編として,

ベイズ統計学についてのワークショップを行います。

主催はRとMplusを使用した医療・心理データ解析勉強会(DARM)です。

以下詳細

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ベイズ推定による多変量解析入門

近年,経済学をはじめ,多くの社会科学分野でベイズ統計学による分析が使われるようになりました。

心理学ではまだほとんど利用されていませんが,頻度主義統計学による仮説検定だけに頼った分析に対して批判が出はじめています。

本ワークショップでは,ベイズ統計学に基づいた多変量解析の基礎と実践について紹介します。

また,Rによるマルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)によるモデルの推定や,論文の執筆方法についても取り上げます。

◆日時:2014年6月8日(日)10:00~17:00

◆場所:広島大学総合科学部 事務棟3階第一会議室

◆プログラム

●午前の部:理論編

 10:00~12:00

・ベイズ統計の概要

 福屋いずみ 広島大学大学院教育学研究科

・ベイズファクター・モデル選択法

 前田和寛 比治山大学短期大学部

・マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)

 竹林由武 広島大学大学院総合科学研究科

●午後の部:実践編

  13:00~17:00

・MCMCによる回帰分析

山根嵩史 広島大学大学院教育学研究科

・MCMCによる因子分析

小杉考司 山口大学教育学部

・MCMCによるマルチレベル分析

清水裕士 広島大学大学院総合科学研究科

・論文での報告の仕方

徳岡 大 広島大学大学院教育学研究科

主催:RとMplusを使用した医療・心理データ解析勉強会(DARM)

共催:魁!!ベイズ塾

:広島社会心理学研究会(HSP)

第14回

日時:2014年 10月25日(土) 15:00~18:00

場所:広島大学(東広島キャンパス) 総合科学部事務棟3階 第一会議室

発表者

池田功毅(学振・中京大)・平石界(安田女子大)・横田晋大(総研大)・中西大輔(広島修道大)

(当日の報告は池田さんと平石さん)

題目

福島原発事故による健康被害へのリスク認知

発表概要

国連の委員会UNSCEARやWHOは、東京電力福島第一原子力発電所事故に関連した被曝に

よる健康上の被害や死者は生じておらず、今後の被害予測も小さいと報告している

(WHO,2013; UNSCEAR, 2014)。

一方で平石ら(2013)は、日本全国740名を対象としたWeb調査において、原発事故に

よる死者数ならびに健康被害者数の推定値の中央値が、それぞれ50名と300名であっ

たことを報告している。すなわち公的機関の報告と一般市民のリスク認知にずれがあ

る。こうした”過度にネガティブな反応”の背後には、リスク認知に感情反応が関

わっている可能性がある。そこで様々なリスク要因への認知,感情,情報源への信頼

などの関連についてWeb調査により検討した。その結果、他のリスク要因と異なり、

放射能関連リスクについて特定的に、認知と感情の強い関わりがあることが示されて

た。

本研究会では、我々の分析結果を報告しつつ、より適切な分析手法について、参加者

からの意見を得たいと考えている。よろしくお願いします。

第15回

今回は番外編として比治山大学の前田先生が主催される,R勉強会Hijiyama.Rの共催として開催します。

以下,R勉強会@広島(Hijiyama.R)の案内です。

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R勉強会@広島(Hijiyama.R)

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この度、

広島市内の比治山大学にて統計解析環境Rの勉強会を開催いたします。

ぜひ多くの方にご参加いただけますよう、お願い申し上げます。

【企画趣旨】

Rはオープンソースで開発されており、近年多くの注目を集めております。その豊富なパッケージによる多様な分析に対応し

、また無料で使用することができることから研究領域のみならず企業でもデータ解析で利用されています。

しかし、コマンドラインによる操作など初心者には敷居が高く、中々手を出せないでいる方も多いのではないのでしょうか。

そこで本勉強会では、初心者や他の統計ソフトから移行したいという方に焦点をあて、「普段使っている分析をRでやってみよう」という内容を中心に構成いたしました。

詳細については下記タイムテーブルのリンク先をご覧いただき、ぜひお越しくださいますようお願い申し上げます。

【共催・後援】

広島社会心理学研究会(HSP)

RとMplusを使用した医療・心理データ解析勉強会(DARM)

【タイムテーブル・参加申込】

当日のタイムテーブルは、以下のリンク先をご覧ください。

https://atnd.org/events/57244

参加ご希望の方は、人数確認ため上記サイトで登録もしくは文末の連絡先までメールでご連絡いただきますようお願いいたします。

【日時】

2014年11月29日 13:00~18:00頃

【場所】

比治山大学1号館 01310情報処理演習室