1977年に打上げられたボイジャー探査機は、土星・木星・天王星・海王星の観測を通して惑星科学に革命的な進歩をもたらした後も宇宙空間を航行し続けております。
太陽圏と呼ばれるこの空間は、太陽から常時噴出しているプラズマのガス・太陽風によって占められています。つまり”宇宙 ”とは言っても、依然太陽の勢力範囲内に留まるものでした。
しかし2012年にいよいよその境界を通過し、現在は人類史上初めて太陽の外の世界を直接観測する時代を迎えています。
この太陽圏境界領域は太陽風の終端環境であり、太陽以外に起源を持つ星間物質との相互作用領域でもあります。そこでは従来の宇宙プラズマ物理学が主に扱ってきた内部太陽圏では見られない多様なエネルギー変換や物質交換といった物理過程が生じていることも検証され始めています。
同領域のおおよその構造は、ボイジャーによるその場観測やMHDシミュレーションで明らかになりつつある一方で、以前から注目を集めていた粒子加速器としての同領域の役割はほとんど理解できていないことも次々と示唆されています。IBEX衛星のリモートセンシングによる粒子のエネルギー分布の情報と合わせて、その諸過程の詳細に迫る研究は始まったばかりであり、今後も活況を呈することは疑いない状況です。
宇宙プラズマ物理学にとってはまさにフロンティアと言える、この外部太陽圏の物理に迫ることが本研究会の最大の目的であり、そのためにもプラズマ波動やプラズマ運動論的視点に立脚した議論を深めてまいります。