近畿支部会(櫟俳句会)

近畿大会(28・11・17~18)            

江崎紀和子特選

供へたる林檎匂へり如来像       浅田美代子

コスモスや双子の姉妹眼鏡かけ     有本 真一

路ばたの石に夕日や草紅葉       薮  信栄

奈良町の千本格子暮早し        井門 忠士

今落ちし無患子の音風の音       村上小夜子

紅葉且つ散る客待ちの俥屋に      仙波  哲

制服の子ら来て冬日匂ひけり      矢野 道子


杉山望特選

閻魔王ずしんと冬に入りにけり     石田  節

大仏師運慶めきしちやんちやんこ    江崎紀和子

塔の影ぐいと伸び来る寒さかな     中尾久美子

天平の和釘に銹や雪ばんば       井門 忠士

天平の風を摑みて芒枯る        浅田美代子


 和泉厚子特選

閻魔王ずしんと冬に入りにけり     石田  節


井門忠士特選

石垣は砦の名残り花八手        仙波  哲


武田正特選

石垣は砦の名残り花八手        仙波  哲


 中尾久美子特選

未知数の余生かがやく実南天      石田  節


 山中清子特選

極上の小春賜る一日かな        石田  節


 当日の主な句

大仏師運慶めきしちやんちやんこ    江崎紀和子

供へたる林檎匂へり如来像       浅田美代子

旧道にひつそり咲くや石蕗の花     有田 嘉子

コスモスや双子の姉妹眼鏡かけ     有本 真一

閻魔王ずしんと冬に入りにけり     石田  節

やや寒や厚き苔むす五輪塔       石矢 祥子

憶良らも見上げし山よ冬の鵙      和泉 厚子

うすうすと空に溶けこむ冬桜      伊地知あさ子

弁慶の腰掛け石や片時雨        今岡 悦子

ちと赤き冬の月あげ朱雀門       井門 忠士

大霜や朝日の昇る朱雀門        久門ヨシエ

セザンヌの絵のごと石榴盛りにけり   小西 良子

薄暗き十二神将堂冷ゆる        近藤 京子

仰ぎ見る千手観音冬もみぢ       潮見 徳子

小春日や赤膚焼の大茶碗        重松 絹子

泥縄の一生松の色変へぬ        杉山 和美

墳丘によく日の当たる大根畑      杉山  望

菊の香や鑑真像は御目閉ぢ       仙波  哲

おさなさの残りし冬の鹿の息      高松 寿美

落葉浮かべてゆつたりと鯉の髭     武田  正

炉開きや軸に歳月しかと見て      田中美千代

泡立草名も無き塚の守をして      徳井智栄子

方丈の畳を照らす冬もみぢ       戸田 一雄

塔の影ぐいと伸び来る寒さかな     中尾久美子

石仏の古疵にしむ秋の雨        深田 紀代

秋深し流しに光る銀の匙        藤本 時子

朱に染まり黄に染まりつつ紅葉狩    本多美千子

群蜻蛉スクランブルの交差点      光平 朝乃

腰まろき伎芸天の影ぬくし       村上小夜子

くら闇の平城宮趾冬の月        室  展子

冬麗の余韻の長き時の鐘        矢野 道子

路ばたの石に夕日や草紅葉       薮  信栄

小春日や遺構の中を往く電車      山川  瞳

門柱の片側に差す冬日かな       山中 清子


 

              


第一回 近畿合同句会報告

平成27年4月9日


櫟俳句会

                  

近畿支部長  仙波 哲


 前日まで3日間ほど続いた不順な天候がぴたりと治まり、


太陽が久しぶりに顔を覗かせた4月9日。


気温もまずまずの中、第一回櫟俳句会の近畿地区の6句会の合同吟行句会が、


枚方市の桜の名所「楽寿荘」に於いて開催された。


出席人数は24名。遠くより茨木句会、高槻句会のメンバーが参加されたことに感謝。


 

午前中は楽寿荘園内の桜や咲き誇る花の観察しながら吟行、


昼食後句会が開催された。句会の席は各句会の方々が交流できるようにくじ引きで決め、


なるべく同じ句会の方が固まらないようにした。

 

枚方さだ句会の八田さんが和服姿で参加され桜のあでやかさに更に華を添えて頂いた。


また披講時のよく透る声に参加者は感心していた。

 

各句会の幹事と同人の推薦句において、枚方さだ句会の 大村 博文 さんの


句が優秀句に選ばれ、江崎主宰の「月の匂い」の句集が贈られた。

 

初めて合同句会でいろいろと戸惑う事もあったが、無事句会を終了する事が出来た。


開催に当たり各句会の方々のご協力に紙面をもちまして感謝の意を表したい。

 

次回の合同句会は高槻地区で開催する事が決定。


桜に迎えられ散る花びらに見送られた楽しい一日だった。

 

              


17回近畿大会報告


小春日の11月20日21日に恒例の櫟句会近畿大会が開催された。


今年は、はるばる松山から12名、広島から1名の参加があり近畿組13名の合計26名。


昨年より多い人数となった。参加者は法隆寺や飛火野などを吟行し作句に励んだ。


20日の懇談会において江崎主宰より、枚方さだ句会幹事 仙波哲 が新しく大阪支部長となる事が発表された。


句誌でよくお名前を見かける方にも初めてお目にかかり、自己紹介タイムには句への思いなどを話して頂いた。


12月号でお名前を見れば「あの方の句」と作者のお顔が思い浮かんでくるだろう。


また驚きの「主宰の作品選考基準」についての談話があった。


参加者は耳をそばだて、必死にメモを取る姿が見られた。


その内容とは「やさしい言葉を使う」他である。


それ以外は秘密ヒミツ。参加者だけの宝である。


主宰の特選には5句が選ばれ、江崎主宰の第二句集「月の匂ひ」が贈られた。


来年は今年より多くの方が参加して頂くよう色々工夫をしてみたい、


と思いつつ第17回の大会を終えた。参加の皆様お疲れ様でした。