東京支部会
2023年8月以降
東京支部通信~故和泉北夫さんと訪ねた深大寺へ~
文責 種谷良二
東京きら句会の創設メンバーで六月に亡くなった和泉北夫さんの追悼の意味も込め、かつて北夫さんと吟行した深大寺と神代植物公園の吟行を企画。他の結社の句友にも声を掛けたところ、十三人の参加となった。
深大寺は調布市に所在する八世紀に開創された古刹。東日本最古の仏像・国宝釈迦如来像のほか、境内には虚子、草田男、波郷等寺に縁の俳人の句碑も。また、周辺には豊かな湧水を使った「深大寺蕎麦」の店も数多。隣の神代植物公園は約五十万平米の敷地に十万本の植物が。近くにお住まいだった北夫さんには自宅の庭のようなもの。吟行の際はいろいろ蘊蓄を賜った。
当日は梅雨晴れ間。気温は朝からぐんぐん上昇。午前十時に三鷹駅に集合しバスで深大寺へ。お参りの後は、釈迦如来を拝観する者、句碑を探す者、早々と蕎麦屋に陣取り「深大寺ビール」を呷る者も。次に水生植物園へ。この日は七十二候の半夏生。園には葉の一部を白くした半夏生が群生。その後三々五々植物園内を吟行したが、気温が三十度を超えたため熱中症を恐れ早々に吉祥寺駅へ。途上バスからは東京きら句会がまだ四人であった頃よく句会をした三鷹市公会堂が見え、創設メンバーの北島倫子さんと当時を懐かしんだ。
句会場は荻窪の俳句バル「鱗」。店主で俳人の野村茶鳥さんのご配慮で開店時間前から貸し切りに。
北夫さんと直接面識のない東京支部員にもそのお人柄のお話をさせていただきつつご冥福をお祈りした。
【当日の同人・会員句】
Tシャツはレノンや薔薇の名はピース 種谷良二
あぢさゐや少し早めの昼ごはん 岡野晃子
上総より下総をぬけ武蔵朱夏 小原千秋
老鶯の余裕綽々深大寺 北島倫子
色つやの佛に似たり青大将 合志伊和雄
水すまし水底の影游びたり 丹治芳樹
微風受くか細き茎やねじり花 中村 晋
切り口を揃へて涼しわらの屋根 宮内 葉双