2025年10月のくぬぎねつと句会
(ムービング句会)
最優秀句
アルバムに若き妻ゐる夜長かな 地位ひろし
肩書をひとつ減らして小六月 や ま と
優秀句
秋風にぴんと尖りし猫の耳 梨 花
秀逸句
銀杏散る学生街に純喫茶 や ま と
逆らへぬ妻の一言花八手 令 月
特選句選評
POTU 選
穭田や穂も付く稲の逞しさ 竹 籟
米の増産を目指す農家で始めた二期作でしょうか、稲の刈り入れ高さを浅くした結果、穭田の新芽が花を付けて稲穂となり、米の刈り入れが出来る稲の逞しさに感心している様子がよく観察されています。
み な み 選
木犀の香る生家を継ぎにけり POTU
生まれ育った実家を継ぐということ。淡々とした叙述であるが、作者の越し方がいろいろ想像される。木犀の季語が効果的。
ポ ニ ョ 選
銀幕の晴れ舞台待つすすき原 桐山榮路村
一瞬を待つ映画のような晴れ舞台。銀幕の銀は芒原の風に吹かれる美しさを思わせる。なぜ魅かれるのか、それは自然のなせるもう二度とはもどれない時間であるからだ。後は枯れてゆくばかりである。
竹 籟 選
少なくも子らゐて秋の祭かな 宍野 宏冶
大都市では大人も子供も人が大勢いますが過疎の進む地方は祭りを維持するのが精いっぱいです。伝統よりも個人の趣味・旅行を優先する家族もいますから。地方の人が住める政治を!
宍野 宏冶 選
運勢はあるがままなり秋の風 藪 信栄
心地よくも身に沁みるものの一つが秋の風。運命をあるがままに受け入れ堂々とすがすがしく、気楽に生きてゆく。人生を達観した一句。
不 耳 男 選
満月に隠れて逢瀬の影捜す 藪 信栄
多様な読解が生まれるところが技巧である。下五の「捜す」の意味は見えなくなったものをさがすことだから、満月に身を隠し、いまだ見えない逢瀬の現場をさぐるという姿のおかしみさえ感じられる。
桂 りん 選
今年も又三日かかりて栗ご飯 詩 流
毎年、主人の里で沢山の栗を拾います。剥くのが大変、今年はみかねて栗剥き買いまし
た。美味しい栗ご飯になりました。