2021年度
農工祭での活動
学園祭で「非木材紙トレー」と「樹恩割りばし」の導入を推進!
学園祭では模擬店から使用された容器などの大量のごみが排出されます。そのようにして排出されるごみを極力少なくし環境負荷を減らすことを目的に,私たちは非木材紙トレーやリサイクルルートが確保された割りばしの一括購入と模擬店団体への購入・使用の推進を行いました。非木材紙トレーおよび樹恩割りばしについて,概要と学園祭での使用・処理方法を紹介いたします。
非木材紙トレー
材料としてアシやケナフ(草本植物),バガス(サトウキビを圧縮した際に発生する繊維質の搾りかす。)などの非木材資源を用いたトレーのことを指し,土壌中に埋めることで容易に分解されます。通常の紙トレーとは異なり可燃ごみとしてではなく土壌に分解させることで,燃焼で発生する温室効果ガスの削減につながると考えられ,また木材パルプの使用量削減により森林資源の保護にも効果が期待されます。当然プラ容器の代わりに使用することで化石資源の使用量削減にも寄与できると考えられます。
農工祭での使用・処理方法:当日模擬店を開いた39団体のうち,7団体が非木材紙トレーを導入してくれました。当日は購入団体が食品の提供に使用し,使用済み非木材紙トレーはゴミステーション(お客さんのほうから出るごみを分別・管理するとともに分別の呼びかけをする場所)で可燃ごみと分けて回収されました。その後分解効率を上げるために細かく砕き,ごみダイエットNOKOの使用する畑に埋めて土壌へ還元しました。来年度はこの畑でナスやオクラなどの野菜を育てて活用していきます。
※写真は非木材紙トレーを裁断機で裁断し,畑に埋める様子を撮影
樹恩割りばし
認定特定非営利活動法人の樹恩ネットワークさんが販売している国産木材の間伐材から作られる割りばしです。使用後の割りばしは回収され,粉砕・圧縮しパーティクルボードにリサイクルされるため,可燃ごみとして処分される通常の割りばしと比較し排気量の減少や温室効果ガス発生量の減少,資源の有効利用が期待されます。また価格競争で輸入材に優位に立てない国内林業の収入を支援し,山林の適切な管理を維持する意味もあります。製造は知的障碍者福祉施設で行われており,ハンディキャップを持つ人々の働く場を提供する効果も期待されます。またリサイクルにあたりパーティクルボード製造の過程で洗浄を必要としないため,排水の減少にも効果があるとされます。
農工祭での使用・処理方法:農工祭当日は食べ歩きを原則禁止とし,実行委員のほうから所定の飲食スペースにて割りばしが配られるという形式がとられました。そのため,実行委員のほうでお客さんに配る用の樹恩割りばしを購入してもらいました。また串の代わりとして使用するために樹恩割りばしを購入する団体もありました。使用済みの割りばしはゴミステーションにて分別回収され,リサイクルに適さないもの(種類が異なる,汚れがひどい,折れているなど)を可燃ごみとして分けた後,農工祭終了後に生協のほうで回収してもらい,樹恩ネットワークさんに受け渡してもらいました。
(画像は樹恩ネットワーク様ホームページより転載 http://juon.or.jp/activity/activity_53.html)
「エコレシピ」の認定活動を行いました!
ごみダイエットNOKOは、調理や販売の方法を工夫したり、食材の余りを活用したりすることでゴミの量の削減に貢献するレシピを「エコレシピ」として認定しています。
エコレシピ認定活動の目的
①農工祭で出るゴミの減量
②エコレシピを通じた,来場された皆さんや各模擬店の環境保全活動への参加
今年度の農工祭でエコレシピに応募してくれたのは3団体でした!
*押す会
メニュー:農工味噌ホルモン焼き
ポイント:見た目の悪い野菜や廃棄される野菜を八百屋から譲り受けて使用+調理過程で出た野菜くずを肥料として畑に還元
*農工やさい塾
メニュー:野菜スープ
ポイント:調理過程で出た野菜くずを肥料として畑に還元
*狩り部
メニュー:鹿串カツ
ポイント:鳥獣害防除を目的に獲られた鹿肉を使用
エコレシピ認定を受けると,模擬店出店場所の希望が優先される,農工祭のパンフレットや立て看板で紹介されるなどの特典があります!
来年もたくさんの団体の応募をお待ちしています!!
廃液処理に関して
農工祭で出る廃液は,去年度まで土に大きな穴を掘って流していました。しかしこれでは土壌の汚染につながるので好ましくないと考え,今年は凝固剤で固めるか新聞紙などに吸わせて,可燃ゴミとして分別しました。ただ廃液を可燃ごみとして出すということは,可燃ごみを燃やすのにかかるエネルギーを増やすことに繋がります。土壌汚染とエネルギー,どちらがより地球にやさしい選択なのか,来年度以降も考えていくつもりです!
揚げ物などで廃棄油が多く出てしまう団体さんにはかなり大変な作業をさせてしまいました。ご協力ありがとうございました。
ごみの計量について
有志の方,OBの方と共に農工祭において出されたごみの重量を計測しました。
日時:農工祭期間中 2021年11月12日から14日
場所:中央集積所(農工祭期間のみ設置、図書館と9号館の間の道路)
学祭で発生した全てのごみが集まる場所である中央集積所で計測を行いました。
※1中央集積所の様子
目的:非木材紙トレーの利用推進と使用後の土壌還元,生ごみ(野菜くず)のたい肥化,割りばしのリサイクル,エコレシピの推進などにより私たちは今までごみの減量へ向けて活動を行ってきました。しかし,どのぐらいごみを減量できているのか定量的な分析を行っていなかったため,今年度はごみの計測を行うことにしました。
ごみの発生源:ゴミステーション,模擬店,一般企画,学祭委員
主に来場者の方がゴミステーション※を利用しました。また,学祭委員からのごみにはフェスに出演した方々のごみも含まれていました。
※3ヵ所設置。農工祭で臨時に設置されるごみ捨て場
分別:可燃(串,楊枝含),不燃・金属(アルミ等),生ごみ,非木材紙トレー,わりばし,ペットボトル,ビン,カン,段ボール
※2ゴミステーションでの分別の様子
方法:運ばれてきたごみの重量をはかりで計測し,Googleスプレッドシートにスマホで記入しました。はかりは一つ使用しました。全員が記入できるようにスプレッドシートを設定しました。
模擬店,一般企画に参加した団体には事前に団体名(略称)を記入したごみ袋(模擬店:可燃,不燃,生ごみ|一般企画:可燃,不燃)を配布しました。それによってどこの団体から出されたごみであるのかを判断しました。また,ごみ袋に入れられていないもの(段ボールやカン,ビンなど)や配布したごみ袋に入れられていないものは持ち込まれたときに団体名を聞きました。
ゴミステーション以外から発生したごみは,袋の中がしっかりと分別が行われているか確認した後に計測を行いました。ゴミステーションでは,ごみを捨てる方への分別の呼びかけやその場での分別を行いました。
記入形態:発生源別に,ごみの種類ごとに記録しました。模擬店と一般企画では団体別に記録しました。ゴミステーションに関しては,一日目(11月12日)では場所別に記録を行いましたが,二日目以降はまとめて記録しました。
計量結果:2021年度の農工祭の廃棄物重量はグラフのようになりました。
手元に残っている2005年度の廃棄物重量と比べると、どの項目でもおよそ半分以下に抑えられています。
感染症対策のため来場者を平年のおよそ2分の1に制限したことが主な要因と考えられます。
減量目標もすべて達成! 少し目標設定が甘かったですね。
模擬店のごみ量ランキングは以下の通りです。どの団体様にも分別と減量にご協力頂きました。心から感謝申し上げます。
農工祭を終えて
今年度は非木材紙トレーを購入した団体が少なかったり,また樹恩割りばしも実行委員のほうでまとめて購入してもらったりと,食品を販売する模擬店団体にこれらの製品の使用を推奨する意義を十分に訴えることができなかったと考えております。しっかりと意義を理解してもらったうえで,コストに見合っているかどうか,採用するかどうかを決めてもらい,その基準に届くために必要なことを行っていく,というのが普及のためには必要であり,今後はまず使用をお願いするその製品の有用性・環境負荷についてしっかりと理解を深めていくようにしたいと考えます。