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廃プラスチックの行方(輸出入)

クイズ 2015年の世界全体のプラスチック輸入量のうち、中国の輸入量は何割?

(答)約6割

しかし、2017年中国はプラスチックの輸入を禁止した...

中国国務院は2017年に「固体廃棄物輸入管理制度改革実施案」を公表しました。

この動きを受けて、アジア諸国の廃プラスチック輸出規制も強化され、日本を含め,これまで廃プラスチックを輸出していた国では,廃プラスチックの行き場を失ってきています。これまでのプラスチック利用について見直す必要があります。

プラスチックのリサイクル過程

廃プラスチックは粉砕→異物の除去(洗浄)→乾燥の過程を経てペレット化し,再利用されています。

廃プラスチック貿易における問題点

①本来リサイクルできないものも一緒に輸出されている

→輸出されるときは洗浄されていることが前提。容器の中にまだ食品や飲料が残っている状態だとコストがかかるため,リサイクルされない。

例:2004年4月日本から中国山東省に向けて大量のリサイクル不能な廃棄物を含んだ廃プラスチックが輸出されており,大量放棄されていた

②リサイクル処理の過程で環境汚染を引き起こすこと

→ペレット化で廃プラを溶融する過程で添加物がガス化し,大気汚染を引き起こしている。また,冷却に使われる水に汚染物質が溶け出して,周囲の環境を汚染している。

例:ベトナムには環境汚染がひどい廃プラリサイクル業者が約2000社ほどあり,これらのほとんどが小規模の家庭経営で,各家庭の敷地内で作業しているため,行政の指導が行き届いていない。

2021年、バーゼル条約において廃プラスチックが規制対象に

2019年5月、バーゼル条約の付属書が改正され、廃プラスチックを条約の規制対象としました。2021年1月1日から発効し、条約の対象となるプラスチックの輸出には相手国の同意が必要となります。有害廃棄物は国内での処理が原則となります。

参照した文献・サイト

小島道一(2018)『リサイクルと世界経済 貿易と環境保護は両立できるのか』中央公論新社

・環境省(2020)『廃プラスチックのリサイクル等に関する国内及び国外の状況について』    https://www.env.go.jp/press/files/jp/114077.pdf

・環境省(2019)『バーゼル条約第14回締約国会議の結果について』 https://www.env.go.jp/council/03recycle/ss6.pdf

・日本貿易振興会 (2019) 『行き場を失う日本の廃プラスチック』https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2019/0101/fceb0360455b6cdf.html

・DOWAエコジャーナル  (2019) 『中国の廃プラ輸入規制(3) 海外での廃プラスチックリサイクル~ベトナムの実例~』http://www.dowa-ecoj.jp/naruhodo/2019/20190401.html