◎健常者の他動体性感覚識別課題:馴染みのある図形と馴染みのない図形、長さの識別課題での異なるネットワークの活動

Passive somatosensory discrimination tasks in healthy volunteers: Differential networks involved in familiar versus unfamiliar shape and length discrimination

(健常者の他動体性感覚識別課題:馴染みのある図形と馴染みのない図形、長さの識別課題での異なるネットワークの活動)

Ann Van de Winckel, Stefan Sunaert, Nicole Wenderoth, Ron Peeters, Paul Van Hecke, Hilde Feys, Els Horemans, Guy Marchal, Stephan P. Swinnen, Carlo Perfetti, Willy De Weerdt

Neuroimage (2005)

見ていない対象物の体性感覚識別は固有受容感覚と触覚情報の過程に頼り、形や長さなどを習得された指の探索的な動きによって、空間的な特徴を検出する。この能力は、脳卒中後に体性感覚と運動の障害によって、機能障害をきたす。他動的な体性感覚識別課題は、運動機能の改善の訓練のために使用される。自動運動識別の神経的な関係は繰り返し同定されている一方で、体性感覚情報の他動的識別中の活動した神経ネットワークについてはわずかな報告のみである。本研究では、10名の健常者の右示指が非磁性のロボットによって、形や長さなどが異なる複数のバリエーションを他動的に動かされている間、機能的MRI(fMRI)で測定した。

体性感覚識別中から識別を要さない他動運動間(聴覚刺激の識別)の差分では、楔前部を含む頭頂-前頭ネットワーク、上頭頂溝、吻側頭頂間溝、縁上回、さらに補足運動野(SMA)と背側運動前野(PMd)、腹側運動前野(PMv)の活動を確認した。さらに、長さの識別と親しみのある図形(長方形や三角形)、親しみの無い図形(無作為な四辺形)のように、異なる形の空間的な特性の識別を比較した結果、長さの識別では主にPMdの活動が認められたが、親しみのある図形の識別では、さらに外側の下頭頂小葉やPMvの活動が認められた。これらの異なる頭頂前頭ネットワークは、体性感覚情報から空間的な特徴の抽出の神経基盤の新たな視点を提供し、異なる他動的な識別訓練は器質に特異的な脳卒中後の訓練のために使用することができることを示唆する。

(文責:濵田)