ACL再建術後における認知神経リハビリテーション(2014.5/28)

Neurocognitive rehabilitative approach effectiveness after anterior cruciate ligament reconstruction with patellar tendon. A randomized controlled trial

F. Cappellino, et al (2012)

【背景】

前十字靭帯(以下ACL)再建術後には早期から適切なリハビリテーションを行う必要がある.その中でも左右の対称性,固有感覚,腫脹の軽減,歩行訓練,下肢の伸展訓練,そしてメンタルケアなどの回復に主眼を置くべきである.

【目的】

本研究の目的は,ACL術後の改善指標である重心-荷重量・歩行機能・その他臨床所見の変化について,固有感覚および適切な運動ストラテジーの改善を目指している認知神経リハビリテーションと一般的に行われているリハビリテーションとを比較することである.

【デザイン】

ランダマイズコントロール試験

【対象】

14名(27.9±5.2歳)のACL再建術後の患者を2グループに分けた.

【方法】

患者をランダムに2群に分け,1つは認知神経リハビリテーションを実施するグループ(以下TG)と,もう1つは一般的なリハビリテーションを実施するグループ(CG)とした.追跡評価は術前,および術後1,3,6か月後に行った.評価項目は静的・動的な重心-荷重量,痛みの評価としてVAS,QOLの評価としてSF-36,ROM,大腿周径,浮腫,MMT,MRIによる評価を実施した.

【結果】

TGグループおよびCGグループにおいて静的な重心-荷重量の左右対称性に改善がみられ(TGグループがより多くの改善),歩行中の歩幅の増加(TGグループがより多くの効果量)がみられた.より統計的に有意な改善として,SF-36の結果,TGグループにのみ有意な改善がみられた.CGグループでは歩行スピードの高値を示した.

【まとめ】

たとえより多くの対象者が必要であったとしても,ACL再建術後のリハビリテーションとして,認知神経リハビリテーションを実施することがより効果的であったと推察される.なぜならば,本研究よりTGグループではより早期に重心-荷重量の左右対称性,歩幅の改善,早期の浮腫の改善がみられた.

【臨床的位置付け】

認知神経リハビリテーションはACL術後のリハビリテーションとして姿勢,歩行,臨床的徴候およびQOLの改善に効果的である.

(文責:安田真章)