卒論・修論・博論のキーワード
緑地や地域のマネジメント:人口減少時代においてはマネジメントをベースとした地域、緑地の管理が不可欠です。とくにパブリックスペースについては、良質なデザインを提供するだけでは、その空間を持続的に維持することが困難になっています。各地域の置かれている様々な状況に合わせて、コミュニティ空間の再生や公民連携などの多様なアプローチのあり方について探求します。今後は、ハードランディングではない、合意形成によって実現する都市や地域の縮小や脱成長のための具体的な方法論についても、マネジメントの観点からアプローチしてゆきたいと考えています。
コミュニティ再生:コミュニティ醸成のための緑地サイドの重要なツールの1つがコミュニティガーデンです。ただし、コミュニティガーデンの運営は容易ではなく、マネジメントのための技術や工夫が不可欠です。また、コミュニティガーデンの適地等については研究が十分になされていません。また、コミュニティ醸成の手段は緑だけではなく、多様なツールの組み合わせも必要です。現場を通じて、実践的にコミュニティの再生のあり方について探ってゆきたいと考えています。
被災地域の復興・再生:2011年の東日本大震災の発生以降、被災した様々な地域で復興に関する実践と研究に取り組んできました。これまでに関わってきたのは岩手県大槌町、釜石市、陸前高田市、宮城県石巻市、千葉県旭市などです。被災地での実践的取り組みが高く評価され、2018年度には復興大臣から感謝状による表彰を受け、震災から10年を経た2021年には日本造園学会賞(事業・マネジメント部門)を受賞しました。地域再生の取り組みには長い時間が必要ですが、人と自然との関わり方を軸としながら、研究と実践の両面から被災地の復興をサポートし、安心で安全なまちづくりに繋げてゆきたいと考えています。
景観づくり:これまで「美の基準」で著名な神奈川県真鶴町の景観づくりに研究と実務の両面で長く関わってきています。2004年の景観法の制定後には多くの自治体の景観条例、景観計画策定に関わってきました。造園分野は一般にLandscapeと英語表記され、日本語ではLandscapeは景観と訳されますが、このことについても様々な議論があり、研究面でも奥が深く、懐も深い分野です。また、パリの研究者等と連携しながら、国際共同研究にも取り組んでいます。