【三四六さんの講演で盛り上がる病院祭:市立大町総合病院】2011.6.1

長野県の大町市立大町総合病院は29日、「地域とともに歩む明るく開かれた病院を目指して」をテーマに、院内と駐車場で初めての病院祭を開きました。台風2号の影響で大雨のところ、約2000人の参加者でにぎわい、三四六さんの講演はテントの中で立って聞く人もいるほどの超満員で、病院祭は大盛況でした。

地域の基幹病院としての役割を果たす大町総合病院は、地元の皆さんにとって、なくてはならない大事な病院です。しかし、医師減少などで、経営難に苦しみ、それを知った市民有志が再生に向けて2009年から大町病院を守ろうと立ち上がりました。今では昨年5月に発足したばかりの「市立大町総合病院を守る会」(北村喜男会長)が協力して、地域住民と病院職員が一丸となって大町病院再建に力を注いでいます。そうした中で多くの参加者とともに開いた、初めての病院祭でした。

病院祭には、大北(大町北安曇)地域の周辺市町村のみならず、松本市、塩尻市などからも参加者が訪れました。守る会会員は会への加入や、東日本大震災の募金を呼びかけ、各種団体や地元商店街は、ケーキ、お汁粉、焼き鳥などを屋外テントで販売して祭を盛り上げました。

医師、看護師など病院職員はミニ検診や、大震災支援のために3月11日から釜石市に行った時のパネルなどを院内に展示し、説明をしました。

病院祭で関心を集めたのは、地元仁科台中学校吹奏楽部63人によるブラスバンドの演奏や、500人ほどの皆さんが雨の中最後まで待っていた、タレントの三四六さんによる「命について」と題した講演です。横殴りの雨が降りしきる中開かれた病院祭のいくつかを、写真と共にご紹介しましょう。

【引き継いだ「命」を大切に:熱く語る三四六さん】

当日大町方面では台風による大雨で、大町アルペンラインや、新高瀬川発電所管理用道路が通行止めになっていました。午後1時過ぎ、颯爽とした姿の三四六さんが、サーカスのテントのような、駐車場の特設ステージに姿を現したのは、そんな土砂降りの雨の中です。待ちに待った観客に大歓声に迎えられ、会場を埋め尽くす聴衆に向け、「命について」をテーマに、語り始めました。

当日の雨は時宜にかなったぴったりの話題。冒頭では「5月に降る雨は五月雨(さみだれ)と言って・・・五月雨の『さ』は早苗の『さ』。『みだれ』は水が垂れる。早苗を植えたところに水が垂れるので『さみだれ』と言った」と、日本人が自然と寄り添い、名付けた五月雨の語源を話し初めます。聴衆は真剣に聞き入り、うなづいています。

そして「僕自身が命について学んだ」と、「生老病死」について話しが進みます。三四六さんはマイクだけあれば、もう机なんかいらない。ステージ前に出て「命は、重いのではなく『はかない』、『軽い』んです。誰かが支えていないと、守らないと、倒れて死んでしまう。だから軽いんです」と、力を込めます。

そしてホワイトボードに大きく「命」と書きます。「『命』から『口』を除いたら、『令』の字になります。命令の『令』ですが、はたしてどういうことなの?」聴衆は神妙に考えます。

「上からの命令で、生かされているんです『あなたに授けますよ』と。極楽浄土に行きたいけれど、そこを守っている人が、修行が足りないと言って、与えたものが命です。『命』の語源は、皆さんがしている『息の道』だそうです。死ぬ時には『息を引き取る』・・・と言います。バトンをつないだんです。命を引き取るんです、残された家族が。日本人は人が死ぬことすらロマンチックに考えています。残った家族が引き取った『息』、だから『命』を大事にしなきゃいけない・・・」と、力を入れ、熱く語ります。身を乗り出すようにして話しに聞き入った大勢の聴衆からは、拍手喝采でした。

三四六さんに花束を贈呈した、大町病院職員で守る会の事務局次長の宮脇哲子さんは「台風の大雨にもめげず、大勢の大町市民の皆さんに来ていただいたことは、それだけ大町病院を思う気持ちが強いと言うこと。感謝でいっぱいです」と感慨深く話していました。

余談:最後に私は楽屋に飛び込み、守る会として写真掲載のお願いをするまでは良かったのですが、大事なことを忘れて来てしまいました。三四六さん本人に、デジタルカメラの写真を確認していただいたにもかかわらず、握手も、サインを頂くことも、すっかり忘れて来たのです。ああ、なんと残念なことか・・・

【会場風景】

仁科大中学校吹奏楽部の演奏

まちなかウォーキングの会の皆さんは、お汁粉と焼き鳥を提供

普段は新聞社勤務でも「今日ばかりは家庭サービスと、大町病院のために」と、雨の中を駆けつける北沢さん一家

東日本大震災のための募金箱を設置

いつもすてきな笑顔でクッキーやパンを売る、共同作業所がんばりやさんの皆さん

クラムチャウダーを販売する児玉さん

餅つき、焼うどん、綿飴などを提供した大町駅前本通り商店街振興組合と高南商店街など地元商店街の皆さん

癒しの館では、手のマッサージを

守る会は会員を募集中

大町病院を守る会代表の北村喜男さん(大町市)は「大盛況ですね。骨密度検診などは長蛇の列。それほど市民は病院に関心があるので、しっかり守らなくてはいけない」、会員の黒岩良介さん(大町市)は「塩尻市の若い男性が守る会に入ってくれました。嬉しいです」と話していました。


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問い合わせは、市立大町総合病院内 守る会事務局 電話0261・22・0415

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