『平家物語』は冒頭の<祇園精舎>を全体の序文と考えた場合、第一話が<殿上闇討(てんじゃうのやみうち)>、第二話が<鱸(すずき)>という形で物語が展開していくことになります。
そして、<鱸>の前半までは平清盛の先代、平忠盛を主人公とする物語です。
『平家物語』は冒頭の<祇園精舎>を全体の序文と考えた場合、第一話が<殿上闇討(てんじゃうのやみうち)>、第二話が<鱸(すずき)>という形で物語が展開していくことになります。そして、<鱸>の前半までは平清盛の先代、平忠盛を主人公とする物語です。
この短い物語には、これから長大な『平家物語』を読み進めていく上で、極めて重要な情報が凝縮されているといっても過言ではありません。語り手の視点であったり、価値観であったり、あるいは登場人物の人間関係であったり、歴史的背景であったり-----。
これらの情報について、特に洛東という地域に着目しながら、何を読み取るべきなのか掘り下げて考えてみたいと思います。ここでの「洛東」とは鴨川の東で、「鴨東」とも呼ばれます。歴史的な痕跡をたどりつつ、忠盛の物語世界を逍遙いたしましょう。
本学能楽資料センター研究員 池田 英悟