よく研究として行われることの一つは、物事の「相関関係」や「因果関係」を明らかにすること。つまり、「事柄Aと事柄Bの関係を明らかにする」ことです。例えば、
「植物の育つ条件を調査する」
というテーマだと、内容の幅が広すぎて詳細な比較ができず、見えてくる関係性もぼんやりとしたものになってしまします。そこで、このテーマを
「植物の育成速度と肥料の量の関係性を調査する」
に変えると、比較する対象が明確になり、相関関係や因果関係がはっきりしてきます。また、
「プランターの大きさと土の乾燥速度について調査する」
のようにしても、明確な比較が可能になります。このように、大きなテーマをどのように調査可能、比較可能な小さなテーマにしていくかが、テーマ決めでは大切です。
また、相関関係や因果関係については次のファイルを参考にしてください。
大学などで研究する際には100%必須のポイントですが、いまの皆さん(中学生)であれば、書籍とインターネットを一通り調べてみても、はっきりしない事であればテーマにしてもよいと思います。
また、調べてみて何かしらの情報が一応出てきたときも、次のような場合はテーマにする余地が残っています。参考にしてください。
・因果関係や相関関係が明確でない。
・きちんと数値化されておらず、調査する余地が残っている。
・数値化はされているが、精度を高める余地が残っている。
・別の視点に気付き、それについてまだ調査されていない。
・全く別の可能性が秘められていそう。
・正反対の情報が出てきた。
全く何の仮説も立てずに研究を行うと、ただやってみただけの中身のない研究になってしまいます。次のような仮説の立て方は、イメージしやすくて活用しやすいでしょう。
・既に分かっている情報から仮説を立てる。
・身近な現象や経験から仮説を立てる。
・いくつかの情報を組み合わせて仮説を立てる。
・仮説やテーマを決めるための仮実験や仮調査をひとまずやってみて、仮説を立てる。
仮説と言うと難しく考えがちですが、テーマによっては「○○には最適な量や比率や濃度があるはずだ」といった単純な仮説も考えられます。この場合は、最初の項目にあげた「論点や焦点を絞る」ということがより重要になります。
また、仮説を立てる際には「帰納」という手法が大切になります。
大学や研究機関だけではなく、全国の高校生や中学生が既に行った研究はたくさんあります。また、これまでの高田中学校の理科研究で行われてきた研究も数多くあります。今では、書籍だけでなく、インターネットで検索するとたくさんの研究が出てきます。
そういった先行研究たちも、全ての疑問が解決されている訳ではなく、まだまだ未知の部分はたくさん残されています。先人の跡を継ぎ、未解明な部分をさらに調査するというのは、大学や研究機関におけるテーマ設定としても一般的です。後を継ぐ分、より洗練された内容にする必要はありますが、よいテーマ選びの方法であることは確かです。
とてもありふれたテーマの決め方に感じるかもしれませんが、案外強力な手法です。急に「身近な疑問や興味を言いなさい」と言われるとなかなか出てこないかもしれませんが、2~3日の間、日々の生活の中の疑問や興味を意識的に探していれば、何かしらの分からない事柄や未知な事象は見つかるでしょう。そういった感性や嗅覚を大切にすることも、テーマ決めにおいては重要です。
職員室に置いてある書籍より、テーマ決めの参考になるような内容を抜き出してあります。