慶應義塾大学 文学部 人文社会学科 倫理学学専攻・同大学院 文学研究科 哲学・倫理学専攻 倫理学分野のWebサイトです。
倫理学は、「人はどう生きるべきか」を問うとする学問です。グローバル化の著しい進展により従来の価値観が揺らぐ現代において、誰もこの問いを避けて生きることはできません。倫理学専攻では、この問いに答えるためのさまざまな理論的枠組み(義務論や功利主義、正義論、徳倫理学、メタ倫理学など)を学び、倫理学の一次文献を自ら読み解く技術を身につけることができます。
慶應義塾の倫理学専攻には6人の専任教員がいます。伝統的に、近現代のドイツ・フランス・イギリスの倫理思想とその歴史を専門領域とする教員が多いのですが、それ以外の領域についても多くの科目を開講し、学生の幅広い関心に対応しています。現代の社会問題を問い直す応用倫理学(生命倫理学や環境倫理学、情報倫理、ビジネス・エシックス、グローバル・エシックスなど)や、キリスト教を中心とした宗教思想、法・政治思想の研究や教育にも力を入れています。
「どう生きるのが正しいのか?」 このシンプルで深遠な問いに、感情や直感ではなく、徹底した論理で挑むのが倫理学です。私たちは、歴史に名を刻む思想家たちの言葉を道標に、この問いの答えを解き明かしていきます。
まずは、数百年もの間、人類が積み上げてきた規範理論をじっくりと学びます。
「義務」の倫理学(カントなど) 損得や結果に関わらず、人間として「絶対に守るべき一線」とはどこにあるのか。理性が導き出す揺るぎないルールを探求します。
「幸福」の倫理学(功利主義など) 「みんなが幸せなら、それでいいのか?」という問いです。全体の幸福を最大化する論理と、そこからこぼれ落ちる個人の尊厳をどう調和させるかを考えます。
「存在」の倫理学(実存主義・ニーチェなど) あらかじめ決まった正解がない世界で、私たちはどうやって自分自身の価値を創り出していけるのか。自由に伴う責任と孤独に向き合います。
古典から得た鋭い視点を、現代社会が直面している問題へと投げかけます。
ビジネス・エシックス 利益の追求と社会的責任(CSR)は両立しうるのか。企業の不祥事や労働環境の是非、公正な取引とは何か。グローバル経済のなかで私たちが直面する問題を、倫理学の視点で問い直します。
生命・環境の倫理 出生前診断や安楽死といった生命の根源に関わる問題や、人間以外の自然や将来世代に対して私たちが負うべき責任の根拠を検討します。
情報・技術の倫理 AI(人工知能)の進化が、人間の意思決定やプライバシーをどう変容させるのか。技術革新が進む今だからこそ必要な価値の基準を分析します。
倫理学専攻の学びの醍醐味は、一冊の本を数ヶ月かけて、原語で丹念に読み解くことにあります。効率が重視される現代において、自明視されている問題を立ち止まって考えることで、言葉の表面的な意味だけでなく、その裏側にある著者の思考の飛躍を追いかけることで、あなたの世界の見え方は一変するはずです。
倫理学は、便利なマニュアルは提供しません。しかし、暗闇の中で自分自身の行先を照らす論理を授けてくれます。一冊の本と向き合い、他の人と議論し、自分の考えを鍛え上げる。そんな、厳しくも豊かな知の冒険に、あなたも参加してみませんか。