コラム1で紹介しましたが、現在和紙には明確な定義がありません。そのため、和紙として流通している紙は非常に多岐にわた っています。そこで、和紙を選ぶ基準として注目することをおススメするポイントを5つほど紹介します。 1、和紙の産地 <国内>主な産地は埼玉県小川町の他、岐阜(美濃)、高知(土佐)、福井(越前)、京都(黒谷)など。価格は高価なものから比較的安価なものまで幅広い。<海外>主な産地は東南アジア、中国。価格は概ね安価。日本の商社が関わることで、かつてに比べ品質は向上、安定してる。
一般的に国産の和紙のほうが品質が良いと言われるが、品質は個人の技術や企業の品質管理によるところも大きく、一概に国産=品質が良い、外国産=品質が悪いとも言い切れなくなってきている。
2、製造方法 <手漉き>一枚一枚手作業により作られる。主な方法は3通り。◆流し漉き 簀を置いた木枠(桁)で汲み、揺すり、流し、十分な厚さになったら水を捨てる。丈夫で薄い紙を作るのに適する。
◆溜め漉き 金網の付いた木枠で汲み、そのまま水が切れるまで待つ。厚紙を作るのに適する。
◆流し込み原料を溶いた水を木枠に流し込み、そのまま水が切れ、乾くのを待つ。大きな厚紙、凹凸があっても問題の無い紙を作るのに適す。
<機械抄き>機械による抄造、乾燥。大量生産できる。現在の機械では、耳付きの紙、刷毛の跡の付いた紙 を作ることも可能で、手漉きとの見分けが困難なものもある。
<複合式>手すきを基本とするが、一部を機械化することで生産効率を上げた製造法。水を汲み込む作業を水を流し込むように機械化したものや、紙床を作らずに直接乾燥できるようなシステムにしたものなど。
3、原料 <生漉き紙> 木材パルプ(いわゆる洋紙の原料)を使わない和紙。生紙(きがみ)とも言う。 和紙の産地にもよるが、小川町では原料の産地は問わずこの名称である。国産楮 国産楮の主な産地は高知、那須。丈夫な紙ができる。小川町ではこの紙のうち、漂白の無いものを「細川紙」と言う。タイ楮 国産楮よりも安価だが、樹脂(脂分)を含む。厳密には楮ではない植物。中国楮 植物としては国産楮に近いが、黒皮を落とす処理が雑。価格としてはタイ産以上国産未満だが、雑な処理でチリが多いため手間代を考えると国産とあまり価格は変わらなくなってしまうケースも。パラグアイ産 近年輸入が始まり注目されている原料。国産と比較しても遜色ないとも言われ、処理も丁寧。価格は国産までは行かないまで も高価。修復などの厳密な強度を求めると国産には劣る。雁皮 国産とフィリピン産があるが、小川町ではフィリピン産が主に使われる。書画関連の紙の原料となるほか、出来上がった紙に害虫が付きにくい特性がある。三椏 国産と中国産があるが、中国産が一般的。現行紙幣の原料でもあり、印刷に適している。また、書道系の紙に適している。 <楮紙> パルプ(洋紙原料)を混合した和紙。小川町では楮 とパルプを配合した紙を「楮紙」と呼ぶことが多い。
4、漂白 <晒しと未晒し> 漂白してあるものを「晒し生紙」や「晒し楮紙」という。現在では塩素漂白が主流だが、日光により変色する。伝統的製法では流水に晒す方法があり、この製法では変色は起こらない。漂白の無いものを「未晒し生紙」、「未晒し楮紙」という。 また、近年では一度漂白した原料を未晒し風に色づけする「未晒し色」や「自然色」といったものもある。
5、乾燥 <鉄板乾燥> 現在、主流となっている乾燥法。熱した湯または蒸気を満たした鉄板に紙を貼り付け乾かす。乾燥まで約2分。紙の仕上がりは平滑で固め。<天日乾燥> 板干しともいう。木製の板に紙を張り付け、天日により乾燥する。天候次第だが、約2時間で乾燥。仕上がりは柔らかく、通気性に富む。仕上がりに平滑さが必要ならば、栃やイチョウなどの木を使うが、当工房では強い木目が必要な「たとう紙」を生産しているため、松の木を使用。
当工房ではこれらを踏まえて、和紙製造情報を発信しています。是非ご購入の際に参考にして下さい。また、こちらの製造情報にある項目は他の和紙の購入時にも役立つものと思いますので、あわせてご利用下さいませ。