Section 7
REFERENCE
新型コロナウイルス感染症影響下における
ユース世代の生活とボランティア活動
全国のYMCAでは約90,000名のユースが、学校や学習の場、ボランティア活動の場として活動をしています。コロナ禍でYMCAの活動が大きく影響を受ける中ユースもまた、さまざまな困難を抱えながら生活や活動を続けています。
日本YMCA同盟ユース委員会ではアンケート調査を実施し、今後のユースエンパワーメントの方向性を探りました。ご協力いただいたユースの皆さま、全国YMCAの皆さま、ありがとうございました。
調査からみえてきた顕著なポイント
大学3年 ー 活動も学業も責任が増す時期だからこその意欲低下
YMCAのユースは総じてコロナ禍でも感染予防対策に最も不安を感これまでの活動を見直し、作りボランティア活動への意欲を維持しているが、大学3年生は、1・2年生と比較して、意欲低下が見られる。学業での課題が重くなったこと、経験を経てより多くの課題が見えたり、その解決にも困難が立ちはだかるなど、それまでとは異なる責任と役割を担う姿が見られる。
ユースが必要としている支援
感染予防対策に最も不安を感じている。また、アルバイト等ができず、収入も減り、生活面の不安も増している。学業の継続や経済的な安定、感染予防に対する正しい知識や備えなどが求められている。
コミュニケーション、合意形成の必要性
これまでの活動を見直し、作り直す体験から「話し合いの大切さを実感した」というユースは多く、さまざまな努力がなされたことがうかがえる。明確な合意形成のためにも、スタッフとユース、ユース同士の相互のコミュニケーションや意思疎通がより求められている。
オンラインの活用とさまざまな工夫
オンラインによるプログラムも多数試みられ、回を重ねるごとに工夫があり、オンラインならではの「子どもとの関わり」も考えられていた。今後、新しいテクノロジーをユースがどう活用していくか、期待される。
・回答数199名
調査実施期間:2020年12月8日~22日
所属YMCA規模:規模101名、中規模47名、小規模29名、不明22名。
勤続年数:5年未満48名、10年未満26名、15年未満20名、20年未満25名
(合計119名)
若い世代が過半数
25年未満24名、30年未満23名、35年未満21名、35年以上12名(合計80名)
・分析手法:テキストマイニング
テキストマイニング(text mining)は、文字列を対象としたデータマイニングのこと。
通常の文章からなるデータを単語や文節で区切り、それらの出現の頻度や共出現の相関、出現傾向、時系列などを解析し、デザインとしてわかりやすく「見える化」するもの。
地域の中で、いまYMCAがやったら「おもしろいな」と思う活動(勤続20年未満)
勤続20年未満の若手のもので、一番目立つのがキャンプ、次に子ども、支援、体験、イベント、オンライン、地域、スポーツ、世界・外国・英語など。キャンプは、従来のキャンプの考え方に様々な要素を組み合わせたものが多くあった。キャンプ婚活、e-sportキャンプ、ソロキャンプサミット、音楽とアートのキャンプフェス、農業林業体験に地方創生キャンプ、キャンプ場でのテレワーク、Yの事務局をキャンプ場へ移すなど。
地域の中で、いまYMCAがやったら「おもしろいな」と思う活動(勤続20年以上)
人を中心に、より経験から俯瞰して、地域、支援、子ども、高齢者、居場所、障害、ボランティア、協働、企業などが目立っている。このボランティアという単語は若手にはない。若い世代には、社会貢献はより日常的なもの、オンラインも含めて境目のないものとの捉え方もできる。
「いま、誰かに聞いてほしい」悩み
多くのスタッフが、コロナ禍で家族や自分の感染、感染対策の管理、長時間労働にストレスを感じ、今後の事業や収入の見通しに不安を覚えていることが見て取れる。スタッフ間や会員とのコミュニケーションの希薄さがある。(頻出単語ほど大きく表現されている)
これからの社会はどのような社会になると思いますか。
コロナをまんなかに、関係性の希薄やつながり、その中でのオンライン、デジタルでのつながりへの期待が大きくある。格差、分断、孤立化、生活や繋がり方の多様化、価値観の変化などが見られる。
あなたが考えるおもしろいことが実現し、悩みも解決している未来の様子を想像してみてください。YMCAはどんなイメージですか
笑顔、希望、つながり、組織や制度もよりよくなり、隣人として伴走し、いきいきと生きられるイメージが見て取れる。