マーストリヒト大学 人文社会科学院
Faculty of Arts and Social Sciences, Maastricht University
Faculty of Arts and Social Sciences, Maastricht University
私はIPPグローバルガバナンスコースに所属しており、1年次の秋冬学期にオランダのマーストリヒト大学の人文科学院(FASoS)に交換留学に行きました。マーストリヒト大学は2つの点で魅力的な留学生にとって魅力的な大学だと思います。
1つ目は、その国際性の高さです。私が所属していたEuropean Studiesコースでは全ての授業が英語で教授される上に、ヨーロッパ各地からの留学生が所属しており、アジア出身者がいない環境の中で他の生徒と議論・協働した経験は、国際関係の研究のための多角的な視座を得ることに役立ちました。大学全体で見ても約7割がオランダ国外出身の留学生で、様々な背景と価値観を持った人々と関われたことは日本ではあまりできない経験だったと思います。
次に、多くの授業で少人数のチームで互いに協力しながら現実的な課題について議論する “Problem-Based Learning system(PBL)“システムを採用している点です。毎学期15人程度のゼミ形式の授業があり、生徒は持ち回りで司会を務めます。自分の担当回では、授業の構成を1から考え、議論が円滑に進むよう生徒の発言を引き出したり、意見を整理することに注力しました。少人数授業では、ただ授業を受動的に聞くのではなく、自らが他の人に影響を与えるような意見の生産者であることが求められました。
他にも印象に残っている点は、私が履修していたInternational Relations and Global Governanceでは、その日に取り扱う内容に合わせて先生が変わるオムニバス形式が採用されていたことです。時には、EU機関で実際に働く実務家が担当されることもあり、生の話を聞くことができて興味深かったです。
勉強以外では、マーストリヒトの立地の良さは留学生にとっても利点だと思います。オランダはヨーロッパのほぼ中心部に位置しており各地へのアクセスが良いので、タームの間の1〜2週間の休みやクリスマス・年末年始の休暇に加えて、普通の土日でもどこかに行きたいと思えば、比較的簡単に実行できます。私の友人には、土日を利用してパリやブリュッセルに出かけている人や、長期休みにバルセロナやミラノに行っている人が多かったです。私の印象に残っている旅行先はロンドンです。バッキンガム宮殿で衛兵交代式を直接見ることができたのは素晴らしい経験でした。
個人的に注意が必要だと思うのは、日本とは異なる気候と文化への順応だと思います。私が苦労したのは、ヨーロッパ特有の秋冬の寒い気候と短い日照時間です。冬になると午後4時前後には日が沈むなど、日照時間は日本の冬に比べてかなり短いです。また、冬のマーストリヒトは雨天の日も多いので気圧の変化に敏感な方は秋冬の渡航には注意が必要です。
次に、やはり日本よりは治安が悪くなってしまうことにも気を付ける必要があると思います。周りの友人には、携帯や財布を気づかないうちに盗られた経験をした人が何人かいました。とはいえ、マーストリヒトは他のヨーロッパの都市と比べると穏やかだと思うので、日本とは治安状況が異なることを頭に入れ、日常的に注意していれば、海外馴れしていない人にとっても住みやすい場所であることも間違いありません。
オランダやマーストリヒト大学は、「EU」の政治やその歴史、アイデンティティを学びたい人、「ヨーロッパ」の文化や雰囲気を感じたい人、そして様々な背景を持つ生徒と関わったり、自らの自主性を育みたい人にはぜひお勧めしたい留学先です。
最後になりましたが、今回の留学にあたって支援してくださったIPPの先生方、事務室の留学ご担当者様、一橋大学の留学派遣係のご担当者様、現地で対応してくださった先生方とスタッフの皆様に感謝申し上げます。留学前から留学後まで一貫してサポートしてくださり、無事に留学を終え日本に帰ってくることができたのは皆様のおかげです。本当にありがとうございました。