【卒業制作】

創作的生活と廃材への意識の活性化〜廃棄物アッサンブラージュ〜

相坂 海汰 AISAKA Kaita

主査・宇野あずさ/副査・石毛清八

本研究は、「アッサンブラージュ」の視点から、廃材を素材としたオブジェの制作である。

これまで私の制作・展示活動において沢山の情報を取り入れた作品を制作してきた。制作過程の中で本質が他の情報に隠れてしまう課題が生じた。それは作品の素材にするものの意味や秘めた力、鑑賞者がそれに感じる想いを丁寧に考察していく必要があった。古着を使った制作に取り組んでから、生活に伴って発生する「廃材」を作品制作の素材として取り入れるようにした。

このような経験から、私は日常生活や社会環境から生み出した工夫や営みにこそ、デザインが向かうべき課題があると考える。廃材に着目し、分類・整理を行い、想像力をもって混ぜ合わせ、組み立て、作品へ調合する「アッサンブラージュ」の視点から作品制作を行うことで、人とモノの間にある環境問題や消費生活に慣れてしまった価値について、あるいは視点や見方によって変わりうるモノの価値について、鑑賞者に衝撃と影響を与え、改めて廃棄物問題について考えてもらえるようなオブジェ制作を行う。

【卒業制作】

イラスト×生活景による景観価値の再発見

木村 玲瞳 KIMURA Reimi

主査・宇野あずさ/副査・東方悠平

本研究では、デジタルイラストなどの制作活動を通じて、自分が普段見慣れている景色を違う観点や異なる見方から考察することである。

本研究では現実と非現実が混在した世界観を示すことを目的として、最終審査に向けデジタルイラストを中心として制作する。展示方法は映写機を使用しスクリーンに映写、モニターに投影する。

実写とアニメーションを比較した場合、実写の強みは、現実世界に存在するものを映し出す手法である。そのため鑑賞者は、作品に対して共感しやすいという特徴を持つ。アニメーションの強みは、表現できる世界観が止まらず無限にあるという点である。イラストの絵柄やアングル、画面構成なども作者の自由に組み合わせることができるため、現実世界では有り得ないものや現象でさえも実現させてしまうことができる。

最終審査に向けて、これら二つの異なる手法を掛け合わせて、撮影した実写の写真にイラストを描き込んで実写アニメーションの手法を用いる。

私の生活景である青森県八戸市の、普段見慣れてしまった身近な景色を撮影し写真内にキャラクターを描く事によって、新奇さを感じられるような作品を制作していく。


【卒業制作】

生活環境における植物の活用に関する研究

齋藤大樹 SAITO Taiki

主査・宇野あずさ/副査・宮腰直幸

本研究は、住環境における自然の効果や観葉植物を用いた活用方法の過程から、今日における生活環境の要素として「緑」の役割を検討するものである。

私は、これまで公園や庭など生活空間に取り込む自然のあり方に着目してきた。 そのなかでも観葉植物は家庭やオフィス、店舗などさまざまな室内環境に置くこと で、緑が少ない環境で暮らす生活者に安心や癒しといった心理的効果に興味があっ た。とりわけおうち時間など室内で暮らすことが増える現代において、観葉植物は 快適な空間づくりに寄与することができると考える。その一方で、人間にとっては 問題なく生活できる環境であっても、植物にとって過剰な乾燥で枯れてしまう場合 がある。植物が枯れてしまうような過度な環境変化は改善しなければならないと考 える。

このような経緯から、人と植物が共生する良質な空間づくりを目的として、住宅 を対象に観葉植物の活用に関するブランディングに取り組むこととした。観葉植物 は種類が豊富なうえに好む環境が異なるため、生活者それぞれのライフスタイルに あった植物を提案することが重要である。私たちの身近な生活環境を植物の適切な 生育環境に紐づけて収集したくないようなブランディングを目指し、発表ではブラ ンディング構築における過程とその結果を報告する。

【卒業制作】

地域社会における紙媒体の可能性〜青森県八戸市のコワーキングスペースの広報物制作を通して〜

佐々木 雄貴 SASAKI Yuki

主査・宇野あずさ/副査・屋喜久子

情報インフラとしてインターネットが地位を確立するなど情報の伝達方法はますます多様化し、飛び交う情報量も膨大なものとなっている。 企業広告の手段や目的、内容が多様化する中で、より効果的に利用者や 地域に広報するためには、媒体の特⻑を把握することが求められる。ま た発信する側・受信する側それそれのニーズや掲載内容に応じて適切に使い分ける必要がある。

本研究では、⻘森県八戸市を拠点とするコワーキングスペースの 広報活動を目的とするチラシおよび冊子の制作を通して、地域社会 における紙媒体の可能性を検討し、情報発信方法における課題を考 察する。

紙媒体とは、情報が紙に印刷されたものを指す。紙媒体の制作対象 としたコワーキングスペースは、地元デザイナーと地域住⺠が繋がる 機会を創出することで八戸圏域の発展に貢献したいという想いから開設している。こうした経緯を企業の魅力として情報発信するため に、文章や写真、規格、用紙の質感など多角的に創意工夫できる A4 規格のチラシおよび A5 規格の冊子による紙媒体を制作するに至った。