経営学部は資格取得のための支援を行っています。具体的には、「日商簿記検定」、「税理士・公認会計士」、「FP(フィナンシャルプランナー)」です。
授業の中には、これらの資格取得に役立つものがあります。特に、名称に「簿記」とついている科目は、日商簿記検定の取得に向けた学習に役に立つでしょう。
ただし大学のカリキュラムは、あく までも学問を身につけるためのものです。そのため、次のことに注意してください。
授業では、必ずしも資格に直結するようなテクニックを教えてもらえるわけではありません。
実際に資格を取得するためには大学の授業だけでは到底足りません。自分で試験内容をカバーし、しっかりと対策を練る必要があります。
しかしながら、資格を念頭に置きながら受講する授業を選択し、しっかりと試験対策の自習をすれば、効率よく資格取得を目指すことも可能でしょう。
ここでは、経営学部の学習と関連のある資格について説明します。その後、経営学部の皆さんにとって大切な、資格学習の目的について補足します。
簿記の資格にはいくつかありますが、大学では「日商簿記検定」(HPはココ)を指していると思ってください(※)。
※ 知名度という点では日商簿記検定が圧倒的に高く、社会人であれば誰でも知っているといっていいでしょう。そのため、就職活動に役立つ簿記資格は日商簿記検定だと思ってください。日商簿記検定は3〜1級まであります(※)。決算書作成を中心としながら(3級)、関連する会計知識(経営計画作成など。2級・1級)も学ぶことができる資格試験です。
※ 「初級」もありますが、非常に難易度が低いのでここでは割愛します。合格にかかる時間は1~3ヶ月ですので、自習だけでも合格できるでしょう。
簡単な資格なので就職に役立つとは言えません。
しかし、3級には会計の基礎が詰まっています。ぜひ経営学部生全員に取得を目指してほしい資格です。
3級合格後の学習期間は早ければ3~6ヶ月、遅いと1年くらいです。自習だけで合格できる人もいますが、予備校などを活用した方が効率はよいでしょう。
予備校は、本学の学生は20%引きで受講できます(資料はココ)。
後で説明する「直前対策講座」(教材費のみ受講者負担、受講料は無料)もぜひ受講してください。
2級に合格する人は真面目に勉強する習慣があるので、就職を有利に進められる傾向があります(※)。
※ 2級の資格自体が就職活動で高く評価されることをあまり期待しないでください。例えば高校生のうちに2級を取得したのに、大学で全く勉強しなかった人は論外です!2級に合格すれば、企業就職以外の選択肢が増えます。例えば、商業高校教員、税理士、公認会計士などです。
次のような人におすすめです。
大学生活で時間を有効活用したい人
大学では会計を中心に学びたいと考えている人
商業高校の先生を目指している人
税理士を目指している人(2級取得後、すぐに税理士の勉強を開始できます)
学習には、2級合格後で早くて6ヶ月、通常は1〜2年かかります。挫折する人も多い資格です。
非常に難易度が高いので、予備校を活用すべきです。「資格の予備校TAC」であれば、本学の学生は20%引きで受講できます(資料はココ)。この講座を利用して合格した人もいます。
難易度の高い資格ですので、就職で有利です(※)。
※ 会計のスキルも評価されるでしょうが、難易度の高い資格に合格できる集中力や向上心がある人材はどこの企業も欲しいものです。次のような人におすすめです。
会計が大好きな人
向上心が高い人
公認会計士を目指している人(まずは1級に合格しなければ、会計士は目指せないでしょう)
会計ファイナンス・コースのカリキュラムで説明したように、経営学部では1年次から1級から3級までの科目を受けることができます。
簿記を学習したことがない人は3級レベルの科目から履修するとよい でしょう。
ある程度学習済みの人は、自分のレベルに合わせて2級レベルあるいは1級レベルの科目を履修してください。
ただし、大学の授業は学問の習得が狙いです。試験対策に直結するようなことが教えてもらえるとは限らないので注意してください。
学問としての簿記の習得は、より高いレベルで簿記を実践できるようになることを考える時、逆に近道となります。急がば回れの精神で取り組んでください。
簿記の資格試験は年3回行われます(6月、11月、2月)。毎回、傾向が異なります。
やや難易度の高くなる2級については、毎回の試験対策をした方が合格しやすいでしょう。
そこで皆さんの合格を支援するために、毎回の試験に合わせてTACの講師を招聘し、直前対策講座を実施しています。(TACによる紹介ページはココ)
ただし、この講座は基礎から2級を教えてもらえるのではありませんので、注意してください。自分で2級レベルの学習を行ってきた人が、試験の直前対策として受講することに適しています。
案内は、時期になったらmyTGやmanabaなどで皆さんに届きますので、見逃さないようにしてください。参考までに、2024年4月におけるパンフレットを掲載しておきます。
2級に合格した人は、税理士を目指した勉強ができるようになります。
1級に合格すれば、公認会計士も視野に入ってきます。
税理士になれば、確定申告業務の支援ができるようになります。税理士について詳しくは日本税理士会連合会のホームページを見てください(ココ)。
税理士になるためには、会計科目が2つ(簿記論と財務諸表論)、それから税法科目を3つ(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税から3つ。ただし所得税法と法人税法のどちらかは必修)に合格しなければいけません。
5科目の合格が必要ですが、1度に合格しなくてもよいので、時間さえかければ取得しやすい資格と言えます。
例えば、働きながら1科目2年、10年かけるのも一つのやり方です。
大学院で修士論文を書けば、税法関連2科目が免除されます。
そのため、大学生のうちに会計科目を2つ合格し、大学院を出て(税法2科目免除)、働きながらもう1科目に合格するというやり方もできます。
会計資格の最高峰です。1級に合格してから2年程度の勉強が必要とされますが、遅い人では3年以上かかるでしょう(参考URL)。
1〜2年生のうちに簿記1級に合格できるくらいの適性がないと、在学中の合格は難しいでしょう。
学生のうちに合格できるとは限らないので、東北大の会計大学院への進学も視野に入れてもいいでしょう。会計大学院の勉強も並行しないといけないので大変ですが、短答式試験の「財務会計論」「管理会計論」「監査論」が免除になります。
就職先はコンサル会社や監査法人があるでしょう。就職先の多さを考えると、首都圏での就職を考えた方が無難かもしれません。
日商簿記1級、税理士、公認会計士などハイレベルな資格を目指す人は、予備校に通って対策をすることが合格への近道です。
また、上記のような資格を目指す人は、まずはできるだけ早く日商簿記3級や2級に合格することが通過点となります。このような場合も、予備校を利用した方が時間の節約になる可能性は高いでしょう。
しかし、予備校の利用にはそれなりの資金が必要です。学生の皆さんが、大学での学習をこなしながら、アルバイトをして資金を稼ぐことはやはり大変です。
そこで、少しでも学生の皆さんの負担を軽減できるように、「資格の学校TAC 仙台校」のご好意により、東北学院大学生向けの割引価格のご提供をいただいています。
この価格を適用するためには、会計ファイナンス実習室へご連絡をいただく必要があります。上記のパンフレットの「お申込について」の欄にメールアドレスが記載してありますので、そちらまでご連絡ください。
上でも見たように、日商簿記検定2級を取得するとその後のキャリア設計の選択肢が広がります。
企業に就職するだけでなく、税理士や公認会計士も視野に入ってきます。商業高校の教員になりたい人にとっても、簿記資格は役に立ちます。
以下の資料は、どのような選択肢があるかを説明したものです。参考にしてください。(学内アカウントのみ閲覧可、ログインはココ)
ファイナンシャル・プランナーとは、金融商品、株式、保険、不動産、税金、年金、ローンなどの幅広い知識を用いて、個人の資産形成のためのアドバイスをする専門家のことです。FP資格には1級~3級までがありますが、資格の社会的な価値が出てくるのは2級からです。FPの試験範囲と本学の科目との関係は、おおよそ次の通りです。
FP基礎、金融資産運用設計:特別講義(FP資格)、ファイナンスⅠ
不動産運用設計、ライフプランニング、タックス・プランニング:特別講義(FP資格)
リスクと保険:対応科目なし
事業承継ほか:対応科目なし
FP資格に関心のある方は、次のホームページを参 照してください。
本学では会計を勉強するための専用の教室として会計・ファイナンス実習室があります。土樋キャンパスの総合研究棟3階です(場所はココをご覧ください)。
開室時間は、平日の9時~17時です(※)。
※ ただし、授業が行われている時間は利用できません。授業スケジュールは実習室を訪問して職員の方に直接尋ねるか、実習室のメールアドレスに問い合わせてください(kaikei●ml.tohoku-gakuin.ac.jp、●を@に置き換えてください)。会計・ファイナンスの学習をするための部屋ですので、周りに遠慮せず電卓を使った 勉強ができます。
また、参考書が充実している他、予備校の簿記講義を収録したDVDを閲覧できます。DVD閲覧のためのパソコンとヘッドホンも貸し出しています。(下の写真を参照)
学生の皆さんからよく受ける質問に、「資格を取れば就職に有利ですか?」というものがあります。
残念ながら、通常の就職活動では、資格それ自体が評価されることは多くないと考えられます(※)。
※ 税理士や公認会計士のように、その職種に就くには資格が必須の場合もあります。しかしながら、資格を取得した人たちが就職を有利に進めることが多いのも事実です。
答えは「レベルの高い資格を取得できる努力ができる人は、就職も有利」となります。レベルの高い資格が取れる人は、例えば次のような特徴を持っています。
短期間で大量のことを習得できる集中力
複雑なことを扱える理解力や粘り強さ
ハイレベルなことに挑む向上心や好奇心
これらの資質がある人は、当然、企業も高く評価してくれます。
みなさんが資格学習を通してこれらの能力を身につけることができるならば、就職活動も有利に進むことでしょう。
資格取得を目指すときには、「その資格を取る目的」を見失わないようにしてください。
特に、ある程度レベルの高い資格(日商簿記検定2級以上)を狙うときには、目的が明確でないとモチベーションが続きません。
また、資格取得を目指す場合には、大学で学ぶ目的を見失わないようにしてください。資格学習に集中するあまり、大学の授業が疎かになっては本末転倒です。
次のような狙いがあれば、資格学習をする意義が大いにあると言えるでしょう。
大学の授業の空き時間を有効に使って知識を深めたい
自分の将来やりたいことのために役立てたい(税理士や公認会計士になりたい、経営者になりたい、銀行員になりたい、など)
資格の知識を生かして,もっと勉強を充実させたい
ここまで紹介した経営学部のさまざまな授業を受けたり、自主的な資格学習をすることで、幅広く知識やスキルを習得することができるでしょう。
しかしながら、授業では各科目の基本的な知識を紹介することが中心となります。また、資格学習は型にはまったスキル、言い換えると明確な解答のある問題への対処能力の習得に主眼があります。そのため、ある特定の分野における「解答のない問題」について深く掘り下げるところまで行う機会は少ないでしょう。
各科目の担当教員は、その専門分野について、授業で説明しているよりもはるかに深い知識を持っています。
「自分は大学でこれを学んだ!」あるいは「自分の専門分野はこれだ!」と胸を張って言えるようになるためには、特定の分野に絞って深く学ぶことが不可欠です。
卒業論文は、学生の皆さんが、まだ誰も解決してこなかった学問的な問題に取り組んだ成果をまとめたものです。従って、卒論を執筆することを通して、学生の皆さんは、自らの専門分野に関して、他の誰もがなし得なかった知識生産を行なうことになります。すなわち、卒論を書くことによって、皆さんは自らの専門分野を持つことになります。
卒業論文は、ゼミ(演習)という科目の中で行うことになります。ゼミは経営学部のすべての教員が担当している科目で、その教員の専門分野に関わる卒論の執筆指導を受けます。ゼミは少なければ4〜5名、多くても20名程度の少人数授業ですので、教員から密度の濃い教育を受けることができます。
それでは、最後に各教員の専門分野やゼミの概要を見ていくことにしましょう。