大学の授業は、高校までと違うところがたくさんあります。このような違いが出てくるのは、高校までの授業では「暗記する力」が求められていたのに対して、大学からの講義では「考える力」が求められているからです。
以下では、皆さんが「考える力」を身につけて、大学で上手に学んでいくための初歩的なポイントをいくつか説明していきます。
大学の授業では、用語を「暗記」することよりも、「考え方」を理解することに重点が置かれています。ところが、「考え方」をすべて文章化するとどうしても長文になってしまいます。そのため、大学では「黒板をあまり使わない授業」が多くあります。具体的には、キーワードだけの板書だったり、パワーポイントで映すだけだったり、口頭説明だけの授業です。
だからといって、大学ではノートを作成する必要ないというわけではありません。大学では授業をきちんと理解するために、内容を自分なりに要約してメモしていくことが求められているのです。きちんとメモを取っておかないと、試験前にさっぱり授業内容が思い出せないなんてことになりかねません。
それでは、具体例を取り上げながらメモの取り方について見ていきましょう。ここでは、先生が「人はなぜ働くか」というテーマだけを板書して、後は口頭説明をしていたとします。メモを取るときに一番大事なのは「後で読んだときに、話の内容を思い出せるメモ」にすることです。
以下の「メモの例」を参考に、メモを取るコツについて見ていきましょう
(出典)伊丹敬之(2007)『経営を見る眼』東洋経済、p.16-17を参考に作成。
図1の例では、「稼ぎ」と「勤め」という用語が出てきています。これらの定義をきちんとメモしておくことで、先生がどういう意味でこれらの言葉を使っていたのかが思い出せるようになります。特に、先生が繰り返し説明する用語は試験に出る可能性も高くなってくるので、要注意です。
大学の授業では抽象的な概念について説明されることが多くあります。そのため、身近な具体例もきちんとメモしておくと、話の内容を理解する上でとても便利です。図1では、「勤め」が必要な理由について、定年退職して急に老け込む人を例に説明しています。また、「勤め」だけを求める人の具体例として、ボランティアを挙げています。
先生が説明したことだけでなく、あなたが思ったこともメモしておきましょう。たとえば、働く理由として「稼ぎ」と「勤め」の2つだけが挙げられていますが、もし他にもいろいろな理由がありそうだと感じたら、そのことをきちんとメモしておくのです。そうした疑問を後で先生に質問したり、図書館やインターネットで調べたりすることで、あなたの学びはいっそう充実したものとなるでしょう。ただし、このとき、「先生の説明した内容」と「自分が思ったこと」がきちんと区別できるようにしておきましょう。さもないと、どれが先生の説明した内容だったのかが分からなくなってしまいます。図1では、自分が思ったことは○で囲って分かるようにしてあります。
たくさんのメモを取っていると、後でノートを見返したときに、書き取った内容の流れが分からなくなってしまうことがあります。そこで、話の内容につながりがあるときには、矢印などで結びつけて、流れを明確にしておくとよいでしょう。図1では、働く理由として「稼ぎ」と「勤め」の2つが挙げられたことを受けて、「どちらか片方だけを求める人はいるのか?」という問いが立てられています。この流れを明確にするために、2つの文章が矢印で結びつけられています。
経営学部は10~20人の受講者で行う「少人数教育」が開講されています。具体的には次の通りです。
1年次:「基礎演習」
2年次:「総合演習」
3年次:「演習(3年)」
4年次:「演習(卒業研究)」
こうした少人数教育こそ、大学において一番重要な学びの場と言えます。ぜひ、受講することをオススメします。
それでは、これらの科目の特徴とはどのようなものでしょうか? 一番わかりやすい特徴は、少人数なので、学生一人ひとりがプレゼンテーションをしたり、議論を交わしたりする機会がたくさんできるということです。つまり、学生が主役の参加型授業だという自覚を持って、積極的に発言したり、授業時間外にも自分で資料を調べたりする姿勢を持つことが重要です。
ただ、先生によって扱う内容や形式は様々です。たとえば、専門的な内容について理論的に検討する先生や、「○×を解決するためにはどうすればよいか?」といった実践的な課題に取り組む先生もあります。そのため、ゼミを選ぶときには以下の情報源に当たってみて下さい。きっと、あなたの興味に合う先生が見つかるはずです。
シラバス:講義計画が詳しく書かれています。一番重要な情報源です。myTGから見てください。
教員紹介:この学習ガイドの最後にあります(ココをご覧ください)。先生の意外(?)な個性を発見できるかもしれません。
予備登録要項:少人数科目の募集が始まる時期に大学から皆さんに配布されます。各科目の具体的な内容が書かれていますので、必ず熟読するようにしてください。
大学でより多くのことを学ぶために、講義やゼミが終わったら先生に話しかけてみましょう。分からなかったこと、相談したいこと、まずは気軽に話しかけてみることです。きっとあなたの力になってくれるでしょう。
講義やゼミの後に時間がとれないときは、manabaの「掲示板」に書き込んだり、「個別指導機能」で連絡をしてみるのも手です(manabaのマニュアルはココ)。
先生にオンラインで連絡を取るときは、大学生にふさわしい整った文章を書くことが大事です。
オンライン上でメッセージを出すときには、「ビジネスメール」の書き方を基本として、適宜アレンジを加えるといいでしょう。これは、就職活動で企業と連絡を取り合うときの練習にもなります。大学生であれば必ず身につけるべきマナーとも言えるでしょう。
ビジネスメールの書き方は検索するとたくさん出てきます。ここでは、マイナビのWebページを紹介しておきます。ぜひ、ビジネスメールの書き方を身につけて、気持ちのよいコミュニケーションが取れるようになってください。
以上、大学での授業の受け方についてポイントを解説してきました。
しかしながら、大学での学びは「授業中」に学んだことだけ押さえておくのでは不十分です。
なぜなら、大学の授業ではレポート課題が多く出されるからです。
レポート課題は、授業中に学んだ内容に基づいて、自ら議論を展開していくことが要求されます。
次は「レポート作成のアドバイス」をみていきましょう。