高校までは「テスト」で成績をつけられることが多かったと思います。
しかし、大学ではテストの他に、「レポート」が課されることが多くあります。
テストの中の論述とは違い、ある程度の準備期間があります。授業にもよりますが、1ヶ月以上の準備期間が設定されることがあります。
レポートでは、この間に自分でしっかりと「情報収集」をした上で、「自分の考えを記述」していくことが重要になります。
情報収集の仕方は「情報収集と引用の手引き」のページで説明します。
ここでは、いかに自分の考えを記述するかについて解説します。
レポートで得点するためには、課題で示された「条件」を過不足なく満たすことが必須です。その上で、自分のオリジナリティを加えていくことが必要です。
条件を満たさないレポートは、(大きな)減点をされることになります。採点者(先生)が何を求めてそのレポートを課したのかをよく考える必要があります。
これは、就職活動のエントリーシート(志望動機など)、および就職後の企画書を作成していく上で、必須の重要なスキルです。
例えば、「おもてなしの経営学」(3年生向け)で実際に出されたレポート課題を見てみましょう。
この講義は、教員5名と外部講師5名、合わせて10名がオムニバス形式(輪番形式)で実施しています。
そこで出されたレポート課題の条件は以下の通りです。
教員による理論的な講義と外部講師の実践的な話の内容をまとめながら、おもてなしの経営とは何か、あなたの考えを1500字以上で論述しなさい。
論述にあたってはレポートとしての書き方が適切かにも留意すること。
これらの条件を図示すると以下の通りです(図1)。
図1 「おもてなしの経営学」のレポート課題の内容
1つ目の条件は、「レポートの内容」に、必ず外部講師と教員の話を根拠として含め、おもてなし経営について自分の考えを表明することが求められています。このポイントを抑えないレポートは、低い評価に終わるでしょう。
ですが、2つ目の条件を見ると、「レポートの書き方」にも留意しなければいけないことが明記されています。いくら優れた内容のレポートでも、書き方が悪ければ読者(採点者)に伝わりませんので、低い評価に終わることがあります。
レポートの書き方については、採点基準としてはっきりと書かれていないこともあります。しかし、大学のレポート課題では、大学生であれば当然できると期待される書き方がありますので、実際には評価対象に含まれていると考えておいた方がいいでしょう。
レポートの書き方にはいくつかのポイントがあります。
東北学院大学には、ラーニングコモンズ・コラトリエという学習スペースがあります(ホーイ記念館1階)。コラトリエには「レポートの書き方のコツ」という学生向けのパンフレットがあります。この手引きを活用してみると、レポートの書き方が詳しくわかるでしょう。
ここでは、その中でも皆さんに絶対に抑えてほしいポイントを2つに絞って説明します。それは、(1) 体裁を整える、(2) 適切に段落分けをする、です。
今ではインターネットを閲覧しない日はないほど、私たちは「インターネットの体裁」(非公式文書の体裁)に慣れ親しんでいます。
ですが、「インターネットの体裁」をそのままレポートに採用してはいけません!
「レポートの体裁」とは「正式な文書の体裁」です。以下の2つを必ず行うようにしてください。
レポート文頭の字下げを必ず行う。
不要な空白行を作らない。
具体的な改善例は図2の通りです。きちんとできるようになりましょう。
図2 字下げと改行を適切に行なったレポートの例(学内アカウントのみ閲覧可)
残念ながら、段落を分けずに長文のレポートを書いてしまう人もいるようです。段落分けのないレポートは論外と申し上げておきます。必ず、長文のレポートでは段落分けをしてください。
しかし、感覚的に段落分けをするのも不適切です。段落分けに絶対的なルールはないものの、やはり一定の方針があります。それは、「1段落1トピック」です。
トピックを作るときには、結論(主張)と根拠の関係を意識することが大切です。ポイントは以下の通りです。
レポートの最初に最終的な「結論(主張)」を示す。
必要に応じて、主張をいくつかの小主張に分ける。
それぞれの主張を支える「根拠」を示す。
レポートの最後に、レポートの内容を簡潔にまとめる。
1つ1つの主張や根拠が、トピックとなります。ただ、非常に短い説明ですむ主張や根拠は、まとめて1トピックとした方がいいでしょう。
それでは、先程のレポートの例を見てみましょう。この人は、(上の文書でははっきり書かれていないのですが)「おもてなしの経営」は2つの要素からなると考えています。
一人一人の顧客の事情を考慮したサービス
サービスが先で、利益は後
レポート課題の条件は、教員と外部講師の話を必ず含めることでした。そのため、レポートではこれら2つの主張ごとに段落を分けて、その中に教員と外部講師の話を根拠として含めるべきです(図3)。
図3 主張と根拠の関係
この構成の下では、図4にあるような段落分けが想定されます。改善前と改善後を比較してみましょう。
改善前は、第1段落でなんとなく自分の感じたことを述べています。第2段落、第3段落と進んでも結論は見えないままです。
改善後は、読者の理解を促すように、次の3つの工夫をしています。
第1段落で「結論」を述べています。こうすることで、読者はその後のレポートの展開を予想できるようになるので、非常に読みやすくなります。
第2段落以降も、「まず」、「次に」などと、議論の切れ目を明確に示しています。これも読みやすくする重要な工夫です。
最後の段落で、簡潔に「まとめ」を行っています。最初から最後まで、議論がぶれなく進んでいることがここで確認できます。
図4 構成を明確にした段落分け(学内アカウントのみ閲覧可)
いかがでしょうか? 同じ内容のレポートでも、書き方に最低限の工夫を加えるだけでグッと読みやすくなります。レポート作成の時にはぜひ意識してください。
「おもてなしの経営学」のレポート課題の例では、授業内容をもとに自分の考えを求める形式でした。このようなレポート課題では、他の資料を参照する必要がありません。
しかし、自らさまざまな資料を集め、その内容に基づいて分析、考察を加えることを要求するレポート課題もあります。特に、演習(4年生)で課される「卒業論文」では、情報収集は必須でしょう。
また、情報収集の必要なレポート(論文)では、どのような資料に基づいて論述しているのか引用を示すことが必須です。引用は極めて重要で、引用を忘れるとレポート(論文)が0点になることさえあります。
それでは、続いて「情報収集と引用の手引き」をみていきましょう。