JAASの活動に「もっと何かできるはず」と感じている会員のみなさん
その感覚は、JAASの原点を思い出すための大切なサインです。JAASの源流には「変わらない現実を変える」という思いがあります。
JAASはこれまで「日本の科学をもっと元気に!」という合言葉のもと、多くの会員の情熱と行動によって、社会とアカデミアをつなぐ新しい挑戦や科学振興のための新しい取り組みを行ってきました。この1年で組織を支える基盤が整ってきたいま、再びお互いの理想を語り合い、次の挑戦に踏み出すフェーズにきています。その舵取りをする今後の理事の顔ぶれの検討も始めなければいけない時期でもあります。
これまで多くの会員が各自の思いに基づいて、色々な課題や活動を提案したり、実際に実施したりしてきました。それらの活動を「横串」として貫けるようなキーワードを定め、2026年度はそれを元に、継続している活動を振り返ったり、新しい活動を練って実施していくことを試みます。
キーワードの案を3つ作りました。自分の関心に引っかかりそうなものを選んだり、そうなるように修正提案したり、あるいは別のキーワードを発案したりしていただくべく、そのためのオンラインワークショップを開催します。とりまとめをした後、12月中にアンケートを実施して、1月までにキーワードを1つ決定する予定です。
①自由な研究と研究の自由
②見えない価値とお金の行方
③優れた研究・研究者を育てる評価
11月5日(水)21:00~22:30
11月9日(日)9:00~10:30
11月12日(水)21:00~22:30
11月13日(木)12:00~13:30
https://us06web.zoom.us/j/85861112726?pwd=ZVrz3AoNunkWGpqnOESt4C6MC9teoV.1
ミーティング ID: 858 6111 2726
パスコード: 086705
研究は「制度や職業としての研究」だけでなく、誰もが好奇心から始められる営みでもあります。子どもの自由研究は応援され、中高生は探究することが求められる一方で、大人が好奇心のまま動くことは時に理解されにくい現実があります。しかし、本来は年齢や立場を問わず、知的探究心を育み、自由に問いを立てられる環境こそが豊かな研究文化を支え、日本の学術業界の活性化や、社会の発展に繋がるはずです。
日本科学振興協会(JAAS)は、競争的すぎない研究費や安定した職などの研究環境、研究キャリアや研究者の評価制度(DORAなど)についての問題提起や検討を通じて、大人の研究の自由について活動をしてきました。また、中高生などの10代の探究心や研究室配属前の学部生の自主研究をサポートする事業を展開するなど、若者の自由な研究を応援してきました。さらに、サイエンスコミュニケーションやシチズンサイエンスの活動を実施することで、誰しもが自由に研究できる社会が理想であると、社会に発信してきたと言えます。
これらの活動は、未来を担う世代の知的好奇心を伸ばすとともに、いま学術業界で様々な仕事をしている人達を元気にすることに繋がっています。研究の自由を大切にしながら、次世代がより多様で持続可能な研究文化を育んでいけるよう、JAASは科学への信頼を高める活動や市民との対話を国内外で重ね、誰しもが自由に研究していくような土壌づくりに取り組んでいきます。
研究に限らず、教育や美容、スポーツや娯楽のように価値を数値で測りにくい分野は少なくありません。それにもかかわらず、社会の中でお金の流れには偏りがあり、基礎研究にはなかなか資金が届かない一方で、教育・美容・スポーツ・娯楽には市場としてお金が回っています。また、ベンチャーキャピタルには投資が集まるのに、大学や基礎的な学問には資金が集まりにくいという現状もあります。
日本科学振興協会(JAAS)は、この「見えない価値」と「お金の行方」のずれに光を当ててきました。価値を数値で測りにくい研究の意義や可能性、科学の信頼性、博士の価値などを、社会と学術業界とが対話を通じて共有することを試みてきました。学部低学年の自主研究や10代の探究心を応援する事業を実施したり、科学教室を開催したりなど、筆記試験では測りにくい、好奇心という見えない価値の大切さを若者や社会に伝えてきました。つまり、お金には必ずしも直結しない基礎研究や好奇心の価値について発信してきたと言えます。
JAASは引き続き、社会の様々な立場の方々との対話を重ねることで、研究の持つ長期的・社会的価値を理解してもらい、資金の流れや支援につなげる取り組みを進めていきます。ただし、価値観を一方的に押しつけるのではなく、対話の中で「どうすればお金が学術業界に回ってくるのか」のヒントを見つけ、異なる価値観の人達と一緒にお金を回していけるような活動していくこと、また自らの考えを更新して、これまでよりも広い視野で活動していくことに挑戦していきます。
研究の評価は、単に成果の量やインパクトだけで測れるものではありません。評価は研究者の行動に影響を与え、研究の方向性や文化そのものを形作ります。特に若い世代の探究活動や学びをどのように評価するかは、将来の優れた研究者を育成することに直結します。実際、研究には「新規性」や「注目度」といった分かりやすい基準だけでは測れない、探究のプロセスや研究文化の健全性、公正性・倫理の実践など、多面的な価値があります。そのため、研究評価のあり方そのものを見直し、数値化しにくい価値をどう捉えるかが重要な課題となっています。日本科学振興協会(JAAS)は、こうした背景を踏まえ、研究を成果だけでなくプロセスから評価する取り組みに賛同し、研究評価改革を目指す国際的な宣言であるDORA(San Francisco Declaration on Research Assessment)にも署名しています。
また、必ずしも成果を求めず、好奇心を持つこと自体に価値があることをこどもたちに伝えたり、10代や学部低学年の若い世代の探究・研究についての成長を評価する新しい文化を育てる事業を展開したりしています。さらに、大学院生を含む研究者が自由な発想で研究を続けられる環境づくりやキャリア形成の支援、科学への信頼を高める市民との対話活動など、プロセスや社会との関わりを重視する多面的な評価の大切さを発信してきました。
こうした取り組みによって、成果主義に偏らず、誰しもが研究に挑戦を続けられる持続可能で多様な研究文化の基盤を整えることを目指しています。