新地アーバンデザインセンター(UDCしんち)

Ⅰ.現場の活動拠点「UDCしんち」の設置・運営と駅周辺整備の支援・効果の評価


出口敦(社会文化環境学専攻 教授、都市計画学)

地域主体のまちづくりにおいては、地域住民や自治体、地域に関連する企業と大学、研究機関による「公・民・学」の連携が極めて重要であると認識しています。これまでの私たちの経験からは、その成功のためには、地域に密着した拠点施設を設置・運営し、公・民・学連携を効果的に進めることが不可欠と言えます。アーバンデザインセンターは、東京大学柏キャンパスが立地する千葉県柏市柏の葉地区におけるUDCKの先駆的活動実績と実践知を踏まえ、同様の活動を国内各地で展開しています。2018年3月時点で全国に16のセンターが開設され、公・民・学連携を実践的に進めています。

これらの実績に基づき、本事業では、新地町および新地町の人々との協力に基づいて、公・民・学連携の「環境エネルギーまちづくり」を推進する活動拠点「UDCしんち」を構築していきます。

この拠点施設は、以下の教育研究事業を実施するにあたって、大学と地域の連携をスムーズに進めるためのプラットフォーム機能を担うとともに、毎年20名規模の大学院学生・留学生を地域に受け入れて頂き、フィールド演習を行う上での現地コーディネート機能も担います。大学院学生の学習機会を最大限拡げるため、Ⅰ〜Ⅲのテーマに関わる研究、大学院フィールド演習の指導、およびまちづくり支援を担う若手研究者を雇用し、UDCイニシアチブと協働しながら「UDCしんち」の運営体制を整えます。拠点施設は、大学院学生・研究者が現地に集う機会を創出するだけでなく、地域住民や地域の高等学校・中学校等との交流事業を企画・実施する場となります。大学院学生の社会活動の参加への機会を創出するとともに、地域の将来を担う人材として、福島県立新地高等学校の生徒をはじめとする町内の高校生・中学生を対象にしたエネルギー関連分野やまちづくりに関する学習の場を提供します。

また、新地町ではJR新地駅周辺の復興まちづくりとしての各種施設整備による賑わい創出も課題であり、土地区画整理事業によるインフラ整備後の施設整備を利用者、来街者や回遊者の増加へと繋げていくための計画支援や施設整備の効果の測定・分析・評価を行い、各種施設の運営や改善に向けた実務へのフィードバックを進めます。