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定例校長会

7月定例校長会 
教育長先生のご講話「世界遺産学習の推進を~心の中に大事なものを蓄えた『人づくり』」

◎7月8日(月曜日)におこなれたました7月定例校長会での教育長先生のご講話を紹介します。


1.世界遺産学習の始まり


☆世界遺産学習の歩み

・平成10年 12月2日に「古都奈良の文化財」が世界遺産に登録

・平成12年 副読本が刊行

・平成13年 世界遺産現地学習が始まる

・平成19年 「新しい世界遺産学習構築のための検討委員会」設置


 「古都奈良の文化財」が世界遺産に登録されてのを機に、奈良の子ども達にその良さを知ってもらおうと始まった世界遺産学習も、平成19年度に「新しい世界遺産学習構築のための検討委員会」を設置し、見直しを始めた。当時の様子を伝える資料があるので聞いてほしい。


2.平成21年度1月教頭会での話


 例えば、10年前を考えてみてください。平成12年の教育はどうだったでしょうか。


 平成10年に学習指導要領が告示され、小中学校では平成14年度の完全実施に向けて、その体制づくりに力を注いでいたと思います。状況としては、現在の状況とよく似ていていますが、その内容は、ずいぶん違うように感じます。当時は、ここにおられる教頭先生方も、それぞれの学校で、教務主任や研究主任、あるいは生徒指導主任として、現場の教育の先頭に立っておられたことと思います。私も都南中学校長として、新しい教育への対応に向け、先生方とともに力を注いでいたことを思い出します。


 総合的な学習の時間の導入に向けて、地域の人材バンクづくりやその体制づくりの推進。

 体験活動を通して人と交わり、探究活動をしながら学んでいく授業の開発。

 評価方法や「生きる力」を中心に据えた教育の在り方の研究など、それぞれの学校で、いろいろと模索されていたことでしょう。その時に、理想として思い描いていた授業や子どもの姿は、どのようなものだったでしょうか。


「子どもたちが自分で課題を見つけ、図書館で調べたり地域に出て調べたりして学習を進めていく。」あるいは、

「グループで協力し、一つの課題を解決していく。」また、

「調べたことをまとめて報告・発表し、生活の中に取り入れ、活かしていく。」

このようなものだったと思います。


 こうした中で、世界遺産学習が、小学校5年生で始まりました。平成13年度のことです。世界遺産見学を行うための予算化も行いました。しかし、その実態は、どうだったでしょうか。現地学習に協力していただいたボランティアガイドの方々からは、


「先生方は、後ろで腕を組み、ただ見ているだけだ。」

「学校は、学習も、子どもたちも、私たちに丸投げしている。」

「先生方も、しっかりと勉強をして、世界遺産の現地学習にのぞんでほしい。」

こんな厳しいご指摘をいただいたことが忘れません。


 それから10年。今はどうでしょうか。


 昨年の12月23日に開催された世界遺産学習プレサミットで、私は、この10年の変化を、とても大きく感じました。特に、開会式での済美小学校の大西先生のクラスの子ども達が行ったプレゼンテーションです。ご覧になった先生方も多いと思いますが、大西先生は、自分たちで、未来に残したい「新南都八景」を選定していく実践を行いました。


 室町時代に始まったといわれる「南都八景」を実際に調べ、見に行くことで、自分が知らなかった奈良の魅力や課題を発見し、この学習に入っていきます。その後、800人を超える大人の方々に、「未来に残したい奈良の風景」をアンケート調査していきます。そして、その中から上位30の景色をインターネットなどを使いながら詳しく調べ、クラスで「新南都八景」を決めていくというものです。大西学級の子ども達は、そんな自分たちの取組を、「新南都八景」の紹介とともに、全国からの参加者の前で発表してくれました。


 10年前に理想としていた学習の形や子ども達の姿と比べてどうでしょうか。すべての面で10年前に考えていた理想の姿を超えているとは言いませんが、現地学習を行い、多くの人と出会い、コンピューターを駆使した調べ学習やパワーポイントを使った発表をする。このような取組は、10年前の私たちの想像を大きく超えるものだと言えるでしょう。


 また、このプレサミットでは、奈良市立学校からは7人の先生方の実践発表がありました。その中の3人は、まだ教職5年に満たない先生です。全国大会に準じるような大きな研究大会において、若い先生方が、堂々と自分の取組を発表する。この10年間で、世界遺産学習が大きな広がりをみせ、その教育内容も深まってきたのです。1年ごとでの変化ばなかなか捉えにくいものですが、10年というスパンで世界遺産学習を捉えてみると、このような大きな変化となって目に見えてきます。もちろん、それは、それぞれの学校現場での先生方の日々の取組の積み重ねの成果と言えるでしょう。


 では、次の10年間は、どうなっていくのでしょうか。


 日々の積み重ねが大事だというものの、目標がない日々の積み重ねでは教育は変わりません。10年後の教育の姿、子ども達の姿を思い浮かべ、日々の教育を取り組んでいってください。


 ここで述べられている次の10年、令和と元号も変わりました。本校では、新しい時代に即した個別最適化学習を構築するためのモデル校として、「自動採点システム」の実証実験を行っています。個々の児童のテストをスキャナーで読み取り、個人情報が保護されたクラウド上で電子ポートフォリオとして蓄積されていきます。基本的な仕組みは、奈良市の小学校の算数で取り組んでいる「学びなら」のシステムと同じです。テストの解答パターンを分析し、個々の学習の在り方に応じた復習プリントであるリコメントシートが、そこの子のために3枚選ばれて届けられます。情報やデータの通信速度、AI(人工頭脳)の活用や電子データをもとに個別にオーダーメイドするようにプリントを印刷する技術など、ICT、IOTと言われる技術の目覚ましい発展があってできるようになった新しい教育の取組です。


 これからは、データ集積や分析などはAIなどの技術を活用し、事務的な作業の時間の短縮を図り、うまれた時間を子どものやる気や意欲を高めたり、理解したいという思いに寄り添うことなど人間である教員でしかできない指導にいかすことできるようにしたいと考えています。


3.平成21年当時の世界遺産学習


 当時、登美ケ丘小学校・辻倉先生の「心で感じて心で書こう」の実践や済美小学校・大西先生の「新南都八景」の授業、椿井小学校・小島教頭先生のフォトストーリーなど新しい実践が次々と開発された。何の教材もないところから、開発されたこれらの実践から、現場の先生の熱い思いが伝わってくる。


 子どもに授業を行うとすれば、まず、教員自身がそのことを深く知らなければならない。世界遺産学習も同じである。教員が奈良にある「本物」と出会い、奈良の良さを感じ、感動し、それを子どもたちに伝えていく。そうした思いから、平成24年度から東大寺修二会の本業を見てもらう研修を始めた。この10年間で、延べ1000人近くの教員が参加している。ほかにも、春日大社の式年造替の際の「檜皮葺」の見学や唐招提寺の鑑真和上像の「お身代わり像」の見学などの研修も行ってきた。


 世界遺産は偶然残っているのではなく、大切に受け継がれてきたからこそ、今、目の前にあるのだ。世界遺産学習の原点は、奈良の良さを本当に知ろうとすることにある。本当の良さを知れば、本物の実践が出てくる。だから、本物を見て、本物に触れることが大切だ。人は、感動すれば、誰かに伝えたくなる。だから、本物を触れる研修をしてきた。


4.残したいと願い、残していく営みが続く


 奈良にある素晴らしいものは、東大寺や春日大社、唐招提寺といった世界遺産に限ったものではない。身近な校区にも、昔から大切にされて残されてきたものや、未来に残していかなければならない素晴らしいものが、たくさんあるはずだ。


 例えば上深川地区に伝承される「題目立」。出演するのは17歳を中心とした青年たちが、近年は17歳の者だけでは人数が足らず、それに近い年上の者も一緒に演じ、継承していこうとしている。


 大柳生地区に600年続いてきた「太鼓踊り」は2012年を最後に休止となった。演じ手となる若者がいないからだ。しかし、このことに心を痛めた子どもたちが地域や保存会の協力を得て、その継承を行う実践が行われ、現在も続いている。この取組は、興東中学校(当時)がフォトストーリーにまとめ、ユネスコ協会の「私のまちのたからものコンテスト」に応募して最優秀賞を受賞した。


 自分が生まれ、育ってきた町の人々の思いを大切にして、今度は子ども達がその担い手となってつないでいく。そのためには、その価値をしっかりと伝える学びが大切だ。それが世界遺産学習である。こうした取組は、ユネスコの活動ともつながっている。


 本校には「ぼうけんの森」があります。この森は、開校当時は、ただの荒地の斜面でした。その荒地に先輩たちが苗木を植え、森への育ててくれました。一時、森の木々がうっそうと茂り、子ども達が入ることができなくなる「危険な森」になってしまいました。


 その森を、「鶴舞の憩いの森」「学びの森」となるように整備活動を始めてくれる先輩がいてくれ、少しずつ「ぼうけんの森」はみんなの森へと姿を変えていきました。「ぼうけんの森」を鶴舞の宝物として引き継ごうとしてくれたみんなの思いがあったからです。


 ふるさと納税制度を活用した「心のふるさと母校応援事業」により全国の方から280万円を超えるお志をいただくことができました。平成28年度には、木の伐採・剪定、階段の整備、舞台やベンチの設置などの整備事業を行うことができました。


 「ぼうけんの森」で安心していろいろな学習や活動ができるようになり、このすばらしさを「緑のバトン」として次の人へと渡せるように高学年の児童を中心に取り組んでいます。これらの活動は、ユネスコの活動ともつながる本校独自の活動です。


5.ユネスコスクールと連動した取組を


 奈良市では、31校園がユネスコスクールに加盟し、世界遺産も含め、地域とのつながりも大切にした取組を進めている。その地域に根差したユネスコの活動の一つとして平和の鐘の撞鐘がある。昨年度は34小中学校から332人が参加した。担任が子どもに働きかけ、こうした行事にも参加していくようになってほしい。世界遺産学習と連動させることにより、将来の担い手を育てていくことになる。


 本校では、ユネスコスクールとして「『ふるさと鶴舞』から『世界遺産のあるまち・奈良』へ、『地球市民』へ」と題して、発達段階に応じた取組を進めています。その中で、地域の方と豊かな出会いができるように心がけています。地域の方の地域を大切に思われている姿から学ぶことが大切だと考えています。その姿は、子どもたちにとって将来自分がどのように地域に貢献するか、地域の担い手となっていくかの良いモデルとなるからです。


 「ぼうけんの森」「あまづらせん」「からむし」などの地域の豊かな自然環境をいかした取組が、天平時代とも奈良の伝統産業ともつながっています。だからこそ、お寺や神社がない地域でも、世界遺産学習と連動させることは可能です。


 昨年度、横浜市で行われましたユネスコスクール全国大会において、このような本校のユネスコスクールとしての取組をポスター発表しました。また、大会に4名の教員を派遣し、全国の優れた取組を学ぶことができました。


 この大会だけでなく、「あまづらせん」に関わる本校の取組を、天平祭りの特別講演会や奈良女子大学の公開講座で発表してきました。またパンフレットにまとめ、奈良に観光に来られる方々が手にとってくださるように観光案内センターにも置いていただいています。また、今年6月には、日経サイエンスの8月号に本校の取組が紹介されました。これからも積極的に情報発信していければと思います。


6.世界遺産学習の推進(心の中に大事なものを蓄えた「人づくり」)を


 世界遺産学習の現地学習が始まって、もうすぐ20年が経つ。当時5年生だった子は、もう30歳になっている。7月3日の世界遺産学習推進懇話会で、「奈良教育大学の文化遺産教育専修のコースの学生が、世界遺産に関してよい本があると担当教員のところに持ってきた。それが『奈良大好き世界遺産学習』の副読本だった。」というエピソードを聞いた。その学生の中には、奈良市が行った世界遺産学習が息づいていると感じた。


 世界遺産学習で目指しているのは、心の中の大事なものを蓄えた「人づくり」にある。世界遺産学習の実践を推進し、現場の特に若い先生の背中を押していきたいと考えている。


 心の中の大事なものを蓄えた「人づくり」。この言葉の持つ意味の深さをしっかりと自覚して、これからもコミュニティ・スクールとして、地域の方々と協働し、本校の世界遺産学習を、ユネスコスクールとしての取組を推進していきます。ご支援・ご協力の程、よろしくお願い申し上げます。

登録日: 2019年7月11日 /  更新日: 2019年7月11日
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